今日ソリッドステートドライブ(SSD)が市場の主流になりつつあり、内蔵ストレージデバイスを選ぶ場合、一般ユーザーは従来の機械駆動式HDD(HDD)を優先して選ばなくなりました。本当にHDDは段階的に淘汰されてしまうのでしょうか? HDDは市場から消えておらず、依然として一定のシェアを占めています。SSDに比べてストレージ容量が大きいだけでなく、価格も比較的安く、サーバーなど多くのストレージスペースを必要とするデバイスの場合、コールドデータを保存するストレージの最初の選択肢です。

ハードディスク(HDD)の構造について
このトピックに入る前に、HDDのアーキテクチャについて簡単に紹介しましょう。HDDは、主に磁気ディスク、磁気ヘッド、ランプ、モーター、制御回路基板、SATA/SAS接続インターフェースなどの部品で構成されています。磁気ヘッドは、ディスクの半径方向に沿って水平に移動します。毎分数千回転というディスクの高速回転で、指定された位置にディスク上の磁気ヘッドを位置決めして、データの書き込み/読み取りを行います。

図1:HDDの構造

上記から明らかなように、機械駆動式HDDは、回転するディスクと、データの読み取り&書き込みのために、ディスクにほぼ貼り付けられている磁気ヘッドに依存しています。そのため、HDDの動作中に、外部の振動や移動及び落下などの予期せぬ干渉が加わると、HDDに予期せぬ問題が発生し、最悪の場合ヘッド/ディスクが損傷し、HDDの破損につながります。HDDがサーバー環境に設置されている場合、移動や落下に遭遇する可能性は低くなりますが、発熱が大きいことを考慮し、サーバーには通常、放熱を補助する高効率の冷却ファンが装備されています。高効率ファンの高速回転による筐体の振動は避けられません。ハイエンドのエンタープライズクラスのHDDは主にサーバーで使用され、高い信頼性が謳われるHDDが本当に信頼に足るものかどうか、サーバーの動作中、高周波振動の環境下で、通常の伝送性能を維持できるのでしょうか?

検証事例から実測値を比較してみた

アリオンは、サーバー関連コンポーネントの専門的なテストラボとして、関連する問題の検証に対応する検証ノウハウを有しており、実際のアプリケーション環境を通じて、HDDがテストに合格できるかどうかを確認しました。次の図2は、検証を実行する準備が整ったサーバーの概略図です。実際のテストでは、サーバー内のすべてのHDDスロットにHDDが設置され、カスタマイズされたソフトウェアに従いファンの速度が制御されています。ファンの速度をさまざまなパーセンテージに設定した上で、同時にHDDでパフォーマンステストを実行し、テスト結果を記録しました。また、テスト実施前に、他の設備の振動による干渉を避けるため、テスト用HDDを安定したプラットフォームに置いた上でパフォーマンステストを実行し、結果を基準値として収集しました。パフォーマンステストの方法は、書き込みテストを行い、4K/256Kのブロックサイズと一致させることです。さまざまなブランドのHDDの違いを比較するために、メインブランドが製造するエンタープライズクラスのHDDを3つ選び、テストを実施しました。

図2:検証を実行する準備が整ったサーバーの概略図

ファンの速度は、最高速度の半分の速度、即ち50%の速度設定から始まり、その後10%ずつ徐々に高めていき、最終的にファンの最大速度に達しました。異なる速度範囲で、性能が基準値と大きく異なるかどうかを比較します。

 A. 256KB のシーケンシャル書き込みの場合 

まずは、この3台のHDDの性能を256KBシーケンシャル書き込み時の元データと比較してみましょう。下のグラフ(図3)からわかる通り、256KB のシーケンシャル書き込みの場合、3台の HDD は異なるファン速度においても、そのパフォーマンスが0〜1%とほとんど差がなく、容量の大きなファイルの書き込みは、高周波振動の影響を受けていないことが分かります。

図3:256KB のシーケンシャル書き込みの場合

 B. 64KBのランダム書き込みの場合 

次に、下の図4で64KBのランダム書き込み部分を見てみると、HDD BとHDD Cはファン速度70%と90%で性能差が少し大きいですが、その差は約2%に落ち着いています。全体的に見れば、パフォーマンスの違いはそれほど大きくなく、許容範囲内であることが分かります。

図4:64KBのランダム書き込みの場合

 C. 4KBのランダム書き込みの場合 

最後に、小さいファイルである4KBのランダム書き込み部分を見てみましょう。下の図から、ファン速度70〜90%でのHDD Bのパフォーマンスの差が4%であることがわかり、2台のHDDを使用すると、明らかな違いが見られます。5%は許容範囲ですが、長期間の使用環境では、デバイスの老朽化に伴い、HDDパフォーマンスへの影響は無視できなくなります。

図5:4KBのランダム書き込みの場合

上記3台のHDDの結果から、パフォーマンスの差はすべて5%以内で、HDD Bは小さなファイルのパフォーマンスがわずかに不安定だっただけで、3台のHDDいずれも、サーバー内の高周波振動干渉下でも、一定の安定したパフォーマンスを維持することができています。このことから、現在HDD技術は成熟しており、高周波振動の干渉防止部分は一定のレベルにあることがわかります。

別の検証事例から発見した潜在的なリスクは要注意

上記の検証事例のほか、別の検証事例においてテスト中に遭遇したケースを共有したいと思います。この試験対象はデュアルヘッド設計のHDDで、従来のヘッド設計のHDDよりも高いパフォーマンスを提供できます。同じテスト方法を使用して結果を検証すると、ファンが最高速度で動作している場合、4KBと64KBのランダム書き込みのパフォーマンスの差は5%を超えていることがわかります。業界の標準では、パフォーマンスの差が5%を超えるHDDは、シスム全体のパフォーマンスに必ず影響するとされており、このパフォーマンスの差が発生する問題には注意が必要です。

図6:別の検証事例において4KBと64KBのランダム書き込みのパフォーマンスの検証結果

上記のサーバー関連の信頼性試験以外にも、アリオンはサーバー関連のコンポーネントに対応する検証サービスを提供しています。サーバーコンポーネントの品質ニーズに対し、アリオンの専門的でカスタマイズ可能な検証サービスを通じて、製品品​​質の検査確認の面でお客様をサポートし、さまざまな問題について専門のコンサルタントサービスを提供することができます。詳細なサービス内容については、アリオンの公式Webサイトをご参照ください。

アリオンが提供するサーバー関連サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。

専属コンサルティングサポートを受けたい場合は、こちらにご要望をご記入ください。