Tag Archives: 互換性

PCプライバシー保護ゲートキーパー「Human Presence Detection」ー 人感検知の応用と実測

Allion Labs/Ralph Liao パソコンの普及に伴い、ほとんどの人が自分のPCを持つようになり、プライバシーが重視されるようになりました。コンピューターがHPD(Human Presence Detection、以下HDP)センサーを使用して、ユーザーがわざわざ手動でシステムをロックしなくても、ユーザーが席を離れれば、画面オフや画面ロックを自動的に行い、席に戻れば自動的に復帰する方法を、いかにして有効化するかが、多くのメーカーにとって1つの課題となっています。 HPDの応用範囲 このような状況下では、個人のプライバシーだけでなく、情報セキュリティにもより注意を払う必要があります。プライベートでPCを使用する時、一時的に席を離れた隙に、画面をロックしなかったためにデータが漏洩してしまうことを想像してみてください。個人のプライベートデータであろうと、重要な企業秘密であろうと、情報の流出はユーザーに多大な損失をもたらすため、以下の様なアプリケーションによって開発されました。 オフィスアプリケーション 公共スペースアプリケーション(例:カフェや図書館) セキュリティアプリケーション(例:在宅ワーク、閲覧を許可されていない者から会社情報を守る) では、HPDはユーザーにとってどのような利便性があるのでしょうか。 高速応答: ユーザーがDUTに近づくと、ユーザーの接近を即座に検出でき、マウスやキーボードに触れたり、電源ボタンを押さなくても、システムを自動的に起動することができる 省電力: [...]

マーケットで最も使用頻度が高い変換アダプター(USB Type-C→HDMIなど)にはどのような問題があるのだろうか

Allion Labs/Ralph Liao USB Type-CをHDMIに変換することについて 数十年にわたる時代の進歩とともに私たちの電子製品も USB Type-A コネクタからUSB TYpe-C コネクタに進化してきました。携帯電話、コンピューター、タブレットなどのポータブルデバイスは徐々に USB Type-Cのインターフェースを利用してきましたが、その名前の通り、ポータブルデバイスというものは持ち運びに特化しているため視聴用の大画面は装備されていません。YouTubeや自分で撮影した動画、Netflix、Disney+などを日頃ゆっくりソファに座って見たいユーザーからするとあまり適してはいません。そして市販のテレビは通常DisplayPortを持たないためUSB Type-CをHDMIに変換するアダプターはユーザーが最も必要としている機器の一つでもあり、携帯電話などの小型スクリーンを大型のテレビに映して鑑賞するのに非常に便利です。 HDMIは我々の家庭用テレビやパソコンディスプレイに最も普及しているインタフェースのひとつであり、テレビでは約2-4組のHDMIコネクタを搭載していることが多く、パソコンでは約1-2組のHDMIコネクタを搭載しています。USB [...]

規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題
規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題

電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。 充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。 USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい  USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。 どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。 [...]

検証結果から分かったIoT製品の問題点とは?

IoTと技術革新によって製品区分の垣根を超えた接続性の多様化が進んだことで、様々なIT製品を駆使した新しいライフスタイルが一般的になりました。例えば、帰宅時の掛け声ひとつで照明やエアコン、テレビなどの電源をONにできるようになるなど、日々の生活はますます便利になりつつあります。しかし、スマートデバイスがより広く利用されるにつれ、開発現場が遭遇する問題が多くなっていることもまた事実です。 この記事では、デバイス間の通信形態が一対一から多数対多数へと変化していることを踏まえ、製品の「クロスクラウド(複数のクラウド環境にまたがる)通信」、「一貫性に欠けるUI(ユーザーインターフェース)設計」、そして「無線信号の干渉」にありがちな問題点について紹介しています。   IoTテクノロジーと公共安全性 IoTテクノロジーは、現代の日常生活において様々な場所で役立てられています。ネットワークを経由して様々な製品(時計や家電、スマートフォンなど)と相互接続し、離れた場所から環境や人に対する識別、監視などを実現しています。また、周辺の状況や公共安全をモニターするために監視カメラや探知機といったスマートデバイス/センサーが至る所に設置されいます。例えば、外部から侵入者が施設内に入ろうとスマートウインドウに手をかけた時に、センサーが作動してセキュリティモードに切り替わり、警報機と監視カメラが起動します。 これまでのセキュリティシステムは、従来だと単に状況をユーザーに発信するだけでした。IoTによって相互に連携したシステム構築が可能となったことで状況に応じた対応ができるため、素早い行動が可能となります。 これらの製品群が実際の環境下で使用された際の信頼性を確認するために、アリオンIoTイノベーションセンター内にあるスマートキャンパス区画には、スマートガス探知機や警報機、施錠システムといった様々な設備を設置しています。そこで、アリオンでこれらの設備について検証を行ったところ、クラウド含めた全体で通信遅延を確認しました。   複数のクラウドにまたがった通信環境で遅延が発生 「There’s Smoke!」(煙だ!)と名付けたシチュエーションモデルでは、煙探知器はスマート照明とユーザーの持つモバイル端末に接続されています。教室内に煙がある時、警報機が作動して避難アナウンスを発し、照明が点滅することで出口がどこにあるのかを示します。また、他のキャンパスや施設内にいる生徒にも避難メッセージが発信されます。このシステムは緊急事態が発生した際に、個人が通知を受信できるように構築されています。以下の図はデータパッケージの通信経路を示したものです。  最初に、煙探知機はWi-Fi経由で「There’s Smoke!」から「クラウド1」にデータパッケージを送信します。そして、「クラウド1」はWi-Fiまたは4Gネットワーク経由で各モバイル端末へと緊急メッセージを送信し、同時に「クラウド2」と通信することでスマート照明をアクティブにします。しかし、我々が試験を行ったところ、クラウド1とクラウド2の間では10秒~40秒の遅延があったことを確認しています。人命が関わっている以上、この遅延期間は深刻な事態を招きかねません。   IoTテクノロジーとスマートリビング [...]

新製品の開発工程に欠かせない検証プロセス

新製品を市場でヒットさせるためには、消費者の製品に対する期待値を開発段階から高めていくことが鍵となります。新製品を販売するまでには、設計からプロトタイプの製作、量産に至るまで数多くの段階を要すため、膨大な労働時間を投入する必要があります。企画から製品販売まで一貫した設計のコンセプトをどうやって維持するのか。期待していた通りの機能と性能はどうやって確保するのか。どのように製品の品質を保障するのか。こうした観点での検証は、新製品の開発プロセスにおいて欠かせないものとなっています。   新製品の検証 開発の最終段階で製品検証を行うと、ソフトウェア/ハードウェア設計が原因で問題が複雑化し、解決が困難になる恐れがあります。さらに、開発初期の段階で発見されなかった問題点が見つかると、それに伴う設計変更が必要となり、開発スケジュールの長期化とコスト増加という新たな問題が引き起こされることもあります。新製品の検証は開発のプロセスによって異なる目的があります。 製品の検証プロセスは一般的に技術検証試験(Engineering Validation Test: EVT)、設計検証試験(Design Validation Test: DVT)、生産検証試験(Product Validation Test: PVT)の三つの段階に分かれています。   [...]