Allion Labs/Ralph Liao

パソコンの普及に伴い、ほとんどの人が自分のPCを持つようになり、プライバシーが重視されるようになりました。コンピューターがHPD(Human Presence Detection、以下HDP)センサーを使用して、ユーザーがわざわざ手動でシステムをロックしなくても、ユーザーが席を離れれば、画面オフや画面ロックを自動的に行い、席に戻れば自動的に復帰する方法を、いかにして有効化するかが、多くのメーカーにとって1つの課題となっています。

HPDの応用範囲

このような状況下では、個人のプライバシーだけでなく、情報セキュリティにもより注意を払う必要があります。プライベートでPCを使用する時、一時的に席を離れた隙に、画面をロックしなかったためにデータが漏洩してしまうことを想像してみてください。個人のプライベートデータであろうと、重要な企業秘密であろうと、情報の流出はユーザーに多大な損失をもたらすため、以下の様なアプリケーションによって開発されました。

  • オフィスアプリケーション
  • 公共スペースアプリケーション(例:カフェや図書館)
  • セキュリティアプリケーション(例:在宅ワーク、閲覧を許可されていない者から会社情報を守る)

では、HPDはユーザーにとってどのような利便性があるのでしょうか。

  • 高速応答: ユーザーがDUTに近づくと、ユーザーの接近を即座に検出でき、マウスやキーボードに触れたり、電源ボタンを押さなくても、システムを自動的に起動することができる
  • 省電力: ユーザーが一定の距離まで離れると、画面が15秒以内に自動的にオフになるか、システムがモダンスタンバイモードに入る
  • 情報セキュリティ: モダンスタンバイモードに入った後、システムがロックされる。ログインパスワード、指紋ロック解除、Windows Hello顔認証ロック解除機能により、離席時のログアウト忘れやパソコンの電源切り忘れにより、第三者からコンピュータ内のデータが盗まれるリスクを防ぐ

HPDが正確に何をしているのかは、次のシンプルな図で説明すると、誰でも簡単に理解することができます。

図:HPD動作のイメージ

人が感知エリアから離れると、システムは自動的に画面をオフにして情報漏えいを防ぎます。また、自動ロックも装備されており、より高いレベルの保護を実現しています。逆に、人が感知エリアに入れば、画面が自動的にオンになり、ユーザーはすぐに作業状態に入ることができます。

HPDの便利で安全な機能は、Windows 10において3つの主要なシステムブランドによって開発され、次のシステムにインストールされています。

  1. Dell Latitude/ Precision(HPDセンサーと専用アプリ“Express Sign-in” 付き)
  2. HP EliteBook X360 1030/1040 G7(HPDセンサーと専用アプリ“HP Presence Aware”付き)
  3. Lenovo ThinkPad X1 Nano Gen 1(HPDセンサーと専用アプリ“Lenovo Vantage”付き)

主要ブランドの関連開発に対応し、HPDはWindows 11のOSにも組み込まれていますが、機能を有効にするには、次の条件を満たす必要があります。

  1. システムがモダンスタンバイをサポートしている
  2. 内蔵HPDセンサーとカメラ機器(NB、外部モニター、外部カメラなど) を備えている

MicrosoftのHPD仕様によると、様々な距離設定の下で、システムはスリープ状態から15秒以内に復帰する必要があり、失敗率は5%未満でなければなりません。アリオンは実測テストを通じて、テスト対象のDUTがFW毎に異なる問題を抱えており、Failとなってしまう割合が非常に高いことを発見しました。画面をオフにできない、感知可能なエリアに入ってもシステムを起動できない、感知エリアに誰も入っていないのにシステムが自動的に起動する、などの問題が発生する可能性があります。

図:実測テストの結果

まとめ

上記の潜在的なリスクに対し、アリオンは、仕様の定義と実験で発見した問題点に基づき、関連テスト項目と技術コンサルティングを提供しています。IoTエコシステムでの長年のテスト経験により、製品の安定性、信頼性、および接続製を効果的に向上させることができます。

関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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