
サーバー調達品質の復号化–品質検証のための3つの要件
Allion Labs / James Ou アリオンは、サーバー業界およびアプリケーションシナリオ関連をテーマとした記事をシリーズで作成し、専門コンサルタントの観点から詳細に分析を加え、メーカーや業界の調達部門、クラウドサービス企業等を支援し、より多くの製品が結びつく市場情報とデータを入手してきました。 品質検証の3大要件:仕様、パフォーマンス、安定性 一般的な企業のコンピュータールームやクラウドサービス会社にとって、サーバー製品は最も重要なハードウェアインフラストラクチャであり、調達部門にとっても非常に複雑で難しい製品でもあります。高い単価に加え、様々なアプリケーションシナリオに基づき、それぞれに適合するハードウェアの仕様を策定する必要があります。更に困難なのは、その仕様やパフォーマンス及び安定性が、出荷受入時或いは量産時のサンプリング検査において、要件を満たしているかどうかを確認することです。 しかしながら、サーバー製品の仕様やパフォーマンス、安定性の検証は、企業の品質管理部門や一般的な外部テストラボでは実行できません。これらの検証は、ハードウェアと電気信号の品質の確認、サーバー運用における様々なシナリオパフォーマンス評価、異なる環境条件下での運用安定性をカバーしており、これらの関連するテスト設備とテスト機能分野はそれぞれ異なります。次に、これら3つの要件を検証するために必要な設備と機能について説明します。 サーバーの品質検証–高いスペックを持つ技術ラボがカギ サーバーはIT業界における様々な高い技術仕様を統合した製品であるため、ハードウェアの電気信号品質を検証する際、テクノロジーの最前線にあるラボにしかそのニーズを満たすことができません。 例えば、サーバーの特徴である高速信号と高スループットのデータ伝送について、業界の最新の技術仕様はPCIe Gen5および800G高速イーサネットであり、スループットはそれぞれ63GB /秒(x16)および112GB/秒です。このような高速電気信号を測定するには、50/70GHzオシロスコープと32GbpsのBERTを使用し、且つ様々なフォームファクタのテストフィクスチャを使用する必要があり、技術的なハードルは非常に高くなります。 性能評価に高価なテスト設備は必要ありませんが、アプリケーションのシナリオに応じて評価条件や結果を判読するには、かなり専門的な能力が必要です。例えば、エッジコンピューティングにおけるNB IoTと5Gアプリケーションのパフォーマンス条件の違い、クラウド仮想コンピューターとクラウド商用ソフトウェアのコンピューティングパフォーマンス条件の違い、クラウドストレージのホットデータとコールドデータのスループットパフォーマンス条件の違い等、ハードウェアの仕様、アプリケーションシナリオ及び使用量に従って、ワークロードパラメータを設計する必要があります。また、その結果の解読にも、アプリケーションシナリオテストの専門家による正しい情報とアドバイスが必要です。 様々な環境条件下でのサーバーの動作安定性も、検収のために非常に重要な品質要件の1つです。考慮すべき基本的なテスト条件は、温度(Temperature)、湿度(Humidity)、及び衝撃と振動(Shock & Vibration)で、これらは全て、サーバールームやデータセンターの中でサーバーに起こりうる環境変数です。サーバールームの環境とサーバーアプリケーションの動作条件をシミュレーションするテスト環境の実現は簡単なことではありません。例えば、アプリケーションサービスが120台のサーバーで構成されている場合、この環境をラボに完全再現するには、3つの42 / 48Uに対応可能なラックと、50〜60KWの熱負荷に対応可能なウォークインチャンバーのラックを準備する必要があります。この方法でのみ長期(500〜1000時間)の安定性テストを実施できますが、このような高スペックのウォークインチャンバーは、一般的なラボに備えられていません。 サーバー調達の品質検証要件に関する上記の3つの重要なポイントを組み合わせ、これら3つの分野でテスト設備とテスト機能を同時に備えるラボはほとんどありませんが、アリオンはその関連設備と機能を同時に備えた数少ないラボの1つです。アリオンは500万米ドル以上を投資してワンストップ検証サービスを確立・提供し、出荷受入時或いは量産時のサンプリング検査で仕様やパフォーマンス、安定性を検証することで企業の調達部門のニーズを満たし、サーバーの展開後に最高のユーザーエクスペリエンスサービスを提供できるようにします。 アリオンが提供するサーバー関連サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。 専属コンサルティングサポートを受けたい場合は、こちらにご要望をご記入ください。 ...

品質管理は奥が深いと感じてしまうのか?品質管理・検証の専門家がポイント・基本知識を解説
誰しも「品質管理」という職業を聞いたことがあると存じますが、品質管理は、「品質保証(QA、Quality Assurance)」と「品質管理(QC、Quality Control)」に分かれているのはご存知ですか?工場では品質保証と品質管理をどのように区別しているのでしょうか?また、実務上何が違うのでしょうか?この記事ではグローバル企業ブランドのコンサルティングを請け負うアリオンが長年蓄積した生産ラインのQA、QCの経験を活かし、QA、QCおよび工場におけるアリオンの役割について分かりやすく解説します。 QA、QCとは? 1.QA(Quality Assurance)とは品質保証のことで、計画されたシステム性のある品質管理の仕組みを通して、外部(サプライヤー、提携業者、提携パートナ、お客様などを含む)および内部(新製品の設計から、研究開発、製造、出荷、アフターサービスまで)などの各作業および工程フローが全面的に標準規格のプロセスおよび要求を満足していることや製品の品質を保証する活動を指します。 よくある職種:製品の品質を保証する品質保証エンジニア(QE:Quality Engineer)、お客様の業務を担当するためにサプライヤーが雇用するお客側品質保証エンジニア(JQE:Joint Quality Engineer)、サプライヤーの評価、製品監査、品質サポートおよび材料受け入れシステム管理などを行うサプライヤー品質保証エンジニア(SQE:Supplier Quality Engineer)などがあります。 2. QC(Quality Control)は品質管理/品質検証のことで、製品の品質検証、品質の問題点を検出し分析、改善および不合格品の管理などを行い、不良品流出ゼロの確保や客様の要求を満足させ、顧客クレームゼロを目標とする活動を指します。 よくある業務内容:製品設計段階の設計品質管理(DQC:Design Quality Control)、原材料、部品、付属品、梱包材など材料の受け入れ品質管理(IQC:Incoming Quality Control)、製品の材料投入から梱包完了までの生産プロセス管理(IPQC:In Process Quality Control)、製品組み立て完了後の製品品質検査(FQC:Finish or Final Quality Control)、製品出荷前の出荷検査(OQC:Out Quality control)などがあります。 QAとQCの役割とは 1. 作業面から見た場合 QA作業は、製品の問題を事前に防ぐため、きちんと生産プロセスに従い、正しい方法で各作業が実行され、品質の管理ができていることを目標とした事前防止活動を指します。QCは主に半加工品/完成品から潜在的な問題点を見つけ出し、生産品がお客様の要求と製品スペックを満たしているかを確認し、良品と不良品を監視・管理することを目的とした事後対策の検査・検証活動を指します。 2. 技術面から見た場合 QCエンジニアは、仕様書と照らし合わせて検証作業を実行し、検査や検証を通して潜在的な問題を見つけ出し、その後の管理方法に対して監査を行うだけでよく、必ずしも原因を知る必要はありません。一方、QAエンジニアは、再発防止のために、どこに問題があり、問題の発生要因を理解し、問題解決の対策を知る必要があります。更には、8D ReportまたはQC Storyなどで問題点を改善する過程とその後の追跡管理を記録する必要があり、専門知識と技術が必要になる比較的システム化を要する業務になります。 3. 目的面から見た場合 QAはお客様の要求を満たし、お客様の信頼を得ることを目的とし、製品ライフサイクルにおいて制度化された管理を実行し、企業の品質管理体系を築き、相応のドキュメントを制定し、作業を実施した証拠を残し、工場における一つ一つの活動がお客様の要求に沿って実行されていることを証明します。QCは、主に工場内部の、検査・検証、デバッグ、フィードバックなどを含む製品が品質要求を満たすために用いる技術と作業方法を指し、不良品の投入、製造、出荷を防止し、品質の要求を満足したものだけをお客様に提供することを目的としています。 QAとQCは、作業面、技術面、目的面においてそれぞれ異なりますが、どちらも製品の品質を保証し、ユーザー側で潜在的な問題が発生しないようにし、企業とブランドイメージを保つことを最終目的としています。昨今、多くの工場ではマルチタスク効率が要求され、QAとQCの業務はそこまではっきり細かく分けられていません。企業によっては、品質エンジニアは同時にQAとQCの業務を兼任しているところもあります。そのため、品質エンジニアは、それぞれを分けて考えられる独立した思考能力を備える他に、QAをメインのQC補助、QCメインのQA補助の全能な品質エンジニアとなっています。 アリオンが提供するQA、QCを統合したお客様専用のカスタマイズ品質管理サービス アリオンは、グローバル企業ブランドのコンサルティングを請け負う企業パートナとして、工場に駐在して長年蓄積した生産ラインのQA、QCの経験を活かし、QA、QC精神を兼ね備えた品質管理標準作業フローを構築しました。製品の特性と検査項目に応じて、生産ライン関連の検査治具や検査設備を準備し、お客様の品質計画および品質検証基準に基づき、IQC、IPQC、FQC、OQC監査ドキュメントと品質レポート(歩留まり、問題点などを含む)を制定し、システム化と柔軟性を兼ね備えた品質管理SOPを提案し、あらゆる面からの検査と確認を行います。異常が発生した場合、即時にOEM/ODMメーカと問題点の検討、対処について打ち合わせ、改善策の推進と改善効果の追跡を行います。 アリオンはブランドメーカのQA、QC作業をサポートする以外に、工場サイド向けのサービスも提供できます。各開発段階のスケジュール通りに開発を進められるよう、さまざまな問題点を即時に対処しなければなりません。アリオンは専門の検査設備・機器を有しており、工場の検査設備の不足を補い、最短時間で検証を行い、根本原因(root cause)を洗い出しお客様をサポートします。 まとめ 定義からいうと、QCは事後の品質検査などの作業をメインとしており、製品には不良が存在するという考えを前提に、問題点を見つけようとします。QAは事前の品質保証や事前防止などの作業をメインとしており、問題点の発生率を低減させようとしています。両者がお互い協力し合う、または両者を兼ね備えた機能でないと工場内外の各関連部署に十分な信頼を与えることができません。アリオンは長年のブランドメーカのQA、QCサポートの経験を活かし、お客様に有効的な品質保持計画を提案しています。更には、訓練されたベテランの品質エンジニア(IQC、IPQCまたはOQC生産ライン検証技術者)を派遣し、生産ラインの生産フローに合わせて、定期的にランダムに品質抜き取り検査・検証を行うことができます。さまざまな段階で生産された製品の品質テストを通して、お客様の製品の技術と品質向上をサポートします。 ...

アリオンSMT QC検証サービスのご紹介
SMT(Surface Mount Technology、表面実装技術)とは? SMT表面実装技術は、電子部品組立業界において最も普及している技術とプロセスです。電子回路表面実装アセンブリ技術(Surface Mount Assembly、略称SMA)は、表面実装または表面アセンブリ技術を意味しています。これはリード端子やリード線の無い表面実装部品(Surface Mount Components、略称SMC/Surface Mount Device、略称SMD)をプリント基板(Printed Circuit Board、略称PCB)の表面やその他の基板の表面に実装し、リフローはんだ付けや浸漬はんだ付けなどの方法で取付ける表面実装技術です。 SMT の基本プロセスとは? SMTは、クリームはんだ印刷工程、接着剤塗布工程、部品実装工程、リフローはんだ付け工程、洗浄工程、SPI工程、検査工程、不良品リワーク工程で構成されています。 部品のはんだ付けのための前準備として、クリームはんだや接着剤をPCB基板のランドやパッドに印刷する工程です。この工程ではクリームはんだ印刷機を使用します。通常SMT生産ラインの最初にある工程です。 部品をPCB基板に仮固定するための接着剤をPCBの固定位置に塗布します。この工程ではディスペンサー(接着剤塗布機)を使用します。通常SMT生産ラインの最初か検査設備の後にあります。 表面実装用の電子部品をPCBの固定位置に配置します。この工程ではチップマウンターを使用します。通常SMT生産ラインのクリームはんだ印刷機の後にあります。 熱ではんだを溶かし、表面実装部品をPCB基板に接合します。この工程ではリフロー炉を使用します。通常SMT生産ラインのチップマウンターの後にあります。 表面実装が完了したPCB基板上の残っている、フラックスなどの人体に有害なはんだ付けの残留物を除去します。この工程では洗浄機を使用します。洗浄設備の設置位置は特に決まっておらず、インラインでもオンラインでも構いません。 Solder Paste Inspectionの略称です。主にクリームはんだ印刷の体積、面積、高さ、位置ズレ、欠損、破損、高さの偏差などの不良検査を行います。 表面実装が完了したPCB基板に対して、はんだ付けの品質と部品実装の品質の検査を行います。この工程では、ルーペ、顕微鏡、インサーキットテスタ(ICT)、フライングプローブ、自動光学検査機(AOI)、X線検査システム、ファンクションテスタ(FCT)などの設備が使用されます。設備の設置個所は、必要に応じて生産ライン上の適当な位置に設置されます。 不良や故障が検出されたPCB基板のリワークを行います。この工程でははんだごてやリワークステーションなどを使用します。設備の設置個所は生産ライン上の任意の箇所です。 部品の配置により基板は2種類に分けられます: 片面基板 両面基板 片面基板の生産フロー: PCB設置 → SN(serial number)などのレーザー印字 → クリームはんだ印刷 → SPI → 部品実装 → AOI → リフロー→ 基板切断 → 検査 → 不良品リワーク 両面基板の生産フロー: PCB設置 ...

購入前に確認するべき注意点とは?市販中のセットトップボックスを評価と分析 – 互換性編
セットトップボックス(STB)は、2012年に流行り始めたテレビインターネット端末装置が由来となっており、TVセットトップボックス、テレビボックス、STB、AV(Audio Visual)機器業界ではIRDとも呼ばれています。セットトップボックスに搭載されているOSは主にtvOS(Apple TV)、AndroidまたはLinuxなどがあり、Wi-Fiや有線ネットワークを介してインターネットに接続し、HDMIや色差端子を通して画面をテレビに表示します。インターネットに接続すると、従来の一般的なテレビでビデオ・オン・デマンドサービスの利用、Webサイト(Webページ)の閲覧、海外のテレビや映画の視聴、テレビゲーム機能の利用などが可能になります。 セットトップボックスは操作が非常に簡単で、価格も約$50~200ドルほどなので、一般人に幅広く受け入れられています。その影響を受け、より多くのスマートテレビの新商品がリリースされ、AndroidなどのOSを直接テレビ本体のマザーボードに搭載し、従来のセットトップボックスを内蔵するというトレンドが生まれましたが、価格も比較的高くなってしまいます。そのため、多くの家庭では、セットトップボックスをメインとしており、場合によっては異なるブランド(メーカ)のもので計2~3台のセットトップボックスを持っている家庭も珍しくありません。 また、現在市場には数十種類ものセットトップボックスがあり、消費者は逆にどのように機能が良く、安定した製品を選ぶか分からなくなってしまいます。今回試験した項目は、セットトップボックスの各種機能に対し、下記の4項目となります。 互換性 ワイヤレスネットワークのパフォーマンス アンテナとノイズ耐性のパフォーマンス HDMI/CEC機能 それでは、まず、セットトップボックス/ドングルレシーバーの互換性の良し悪しを確認しましょう。これらの製品には、必ず接続しなければいけない設備が2つあります。1つ目はディスプレイ・モニターです。HDMIまたは色差端子を通して画面をテレビやモニター、スクリーンに表示して、操作や視聴を行います。2つ目はネットワーク設備(有線/無線)です。昨今では有線ネットワークポート(LAN port RJ45)を排して、直接ワイヤレスネットワークを使用するデバイスが多くあり、ワイヤレスネットワークを介してインターネットに接続することで、セットトップボックス/ドングルレシーバーの機能を拡大することができます。一般的によく利用される機能としては、動画ストリーミング配信サービスの視聴、SNS閲覧、ネット通話、オンラインショッピングなどがあります。 ディスプレイとインターネットの接続以外に、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスキーボード・マウスなどのBluetooth搭載するデバイスも考慮しなければいけません。また、セットトップボックス自体にUSBポートが付いているものもあり、USBメモリや外付けハードディスクなどのストレージデバイスを繋いで音楽、動画や画像再生を行うこともできます。 セットトップボックスと無線アクセスポイントとの接続の問題点を確認するため、市販の家庭用アクセスポイントを50台用意し、セットトップボックス/ドングルレシーバーと接続し、以下のテスト項目を行いました: - OOBE (out of box experience) - 詳細接続(セキュリティ、チャンネル、バンド幅などの設定) - 電源管理(スリープモードまたは再起動後に、再接続するかどうか) ほとんどのセットトップボックス/ドングルレシーバーは正常に無線アクセスポイントと接続が出来ましたが、一部のものは以下のような接続問題が発生しました。 1. 無線アクセスポイントに特定のチャンネル、バンド幅またはセキュリティを設定すると接続ができない 2. 無線アクセスポイントの接続が切れた後、自動で再接続しない3. セットトップボックス/ドングルレシーバーのインターフェースにはワイヤレスネットワークの接続に成功しましたと表示されているのに、インターネットが使用できない このような問題が発生した場合、ユーザーは製品に欠陥があると文句を言ったり、製品の設計が失敗していると考えたり、最終的には返品のリスクまたはブランドイメージも低下することになってしまいます。 またHDMIポートからテレビ/モニターへの接続テストでは、異なるブランドと型番のテレビ/モニターを30台用意し、以下のテスト項目を行いました。 - HDMIホットスワップ - 画面表示 - 電源管理 試験結果から一部の製品に互換性の問題があることが分かりました。 1. 画面の表示が正常ではない(アンダースキャンあるいはオーバースキャン) 2. 電源投入/電源切断後、スクリーンに画面が表示されない なお、セットトップボックスとBluetoothイヤホン・キーボード・マウスなどの接続は特に問題はありませんでしたが、パフォーマンス上かなりの遅延や効果音の遅延等といったことが判明しました。これに関しては、次回の記事でBluetoothパフォーマンスについての実測結果をご説明する予定です。 セットトップボックス/ドングルレシーバーは昨今の普及率が一番高いと言える電子製品で、価格も安く、リーズナブルにご家庭の一般のテレビをスマートテレビに変えてしまうことができ、便利で簡単な操作で、見て楽しい、聴いて楽しいエンターテイメントで楽しみたい人々を満足させることができます。 アリオンは次回の記事においてセットトップボックスのワイヤレスパフォーマンスの比較や評価結果、ネットの速度、遅延および信号の送受信能力に対する影響などについて分析していきますので、乞うご期待! 関連テストサービス:スマートTV検証ラボ お問い合わせ窓口 ...

スマートテレビのUX/UIの設計において見落としてはならないことを4つの事例でご紹介
Allion Labs/Franck Chen 有名なマーケティングリサーチ社のStrategy Analytics 2021年調査レポートによると、2020年年末の時点で、世界中の6.65億を超える家庭にスマートテレビがあり、スマートテレビを有している家庭の割合は全世界の34%を占めています。2026年には11億の家庭がスマートテレビを有し、普及率は全世界の51%を占める見込みです。 (Source: Strategy Analytics) OTTストリーミングメディア(YouTube、Netflixなど)とその他のホームエンターテイメントが盛んになり、二年間にわたるパンデミックの影響に伴い、スマートテレビの普及率と重要性がより高まっており、エンドユーザーが製品に接触する時間が増え、テレビをより良いものへとグレードアップする意向も強くなってきました。従来のテレビからスマート機能が付いているテレビに買い替える消費者が増えているということは、ユーザー体験を如何に迅速に、より良いものへと改良・最適化するかが関連メーカにとっては最も重視すべき課題となるでしょう。UX/UIの設計において見落としてはならないことを認証業界一のアドバイザーであるアリオンがご共有いたします。 OOBEとは? まず、OOBEが何なのかについて説明します。近年では、消費者が買い物をする際、その商品に対する第一印象のほとんどはネットで配信されているさまざまな製品やサービスの「開封レビュー(レビュー動画)」の紹介から得ていると思います。まさにそれがOOBE (Out-Of-Box Experience)で、ユーザーが商品を開封して使用し始めた最初の印象と体験を指しています。 OOBEはハードウェアとソフトウェアの2つに分けられます。 良いハードウェアOOBEは、商品を手にした時のパッケージ・梱包・デザインが期待通りだった場合の感動と期待を上回るクオリティへの驚嘆をユーザーにもたらします。全体的に商品に疵や欠損が無く、組み立てが簡単で明確な指示がありユーザーがすぐにでも使いこなせるなどが該当します。 良いソフトウェアOOBEは、ダウンロード/インストール、ウェルカムページから初期設定までの手順、ガイドなどがユーザーに便利・快適・スムーズだと思われるかどうかなどが該当します。 要するに、良いOOBEは消費者が自ら進んで新しい商品を購入した喜びを分かち合いたくなり、インターネットを通じて開封レビューなどを行い、商品を良い方向に宣伝する効果があります。 UI/UXデザインの重要性 ユーザーがさまざまな機能を体験する前に、最も直感的な印象や感覚を与えるのは製品やソフトウェア自体のUI(User Interface)とUX(User Experience)のデザインです。 - 良いUIデザインは質感が良かったり、気持ちのいい配色デザインだったり、製品の見た目を良くします。 - 良いUXデザインは、操作がスムーズだったり、便利だったり、違うシチュエーションにおいてユーザーに優しいヒントやインタラクティビティがあったり、製品の使い勝手が優れています。 とにかく、良い製品にはUIとUXデザインのどちらも欠かせません。 では、どのようなOOBEとUI/UXがテレビを購入した大抵の消費者にとって重要なポイントなのでしょうか?また、違う国・地域、異なる習慣においてどのような項目を考慮しなければならないでしょうか?アリオンが30年にわたる経験を以て、テレビの設計において評価のポイントをピックアップし、4つの事例から困難な点や改善のアドバイスを共有します。 事例1-OOBE篇 2種類の異なるメーカ(Brand A、Brand B)の高性能テレビをテストの対象としています: テスト項目(1) 初回の電源投入から初期設定画面が表示されるまでの時間 Brand-Aは電源投入時のローディング時間が3分ほどかかり、ローディングの進捗を表す%プログレスバーが表示されません。これはユーザーをイライラさせたり不快感を与え、更にはシステムのパフォーマンスに異常があったり、クラッシュやフリーズが発生しているのではないかと思わせてしまいます。一方、Brand-Bはわずか4秒で設定画面が開いたので、ユーザーにシステム動作がスピーディーでスムーズだと感じられます。 ◆アリオンから一言◆ これは昔のパソコンと今のパソコンの立ち上げ速度差のようなものです。前者はユーザーの期待に水を差し、せっかく高いお金をかけて高性能なテレビを買ったのに無駄になったと思わせ、製品の評価に酷く影響してしまいます。そのため、クレーム殺到や業績がガタ落ちすることのないよう、製品をリリースする前にきちんとした検証テストをすることをお勧めします。 テスト項目(2) ワイヤレスAPと接続成功するまでにかかる時間 違うメーカブランドの異なる型番のAPでワイヤレス接続テストを行ったところ、Brand-Aはノイズの有無に関わらず、接続にかかる時間がBrand-Bの2~4倍でした! ◆アリオンから一言◆ この競合分析から、Brand-Aには平均20~40秒の待ち時間が必要なのが分ります。ユーザーにとってはこのテレビの接続能力が明らかに「遅い」と感じられ、製品に対する印象を悪くします。 お客様の問題点を洗い出し、改善のサポートをするため、アリオン以下に更なる分析とアドバイスを行っています。 以下3つのタイミングの測定からお客様の製品の問題点の洗い出しをサポート テスト結果 1. TVのIP address取得(In Sniffer)時間の測定について、全体的にBrand-AとBrand-Bに顕著な差は見られませんでした。(difference < 0.2 secs.) ...

車載ワイヤレスネットワークのパフォーマンスをどのように評価するか?
Allion Labs / Cache Her Wi-Fi技術はこれまで様々な電子機器に応用されてきました。スマートライフの品質に対するユーザーの要求の高まりとともに、車の通信システムにおいてもWi-fi技術が追加されるようになり、ドライブ体験や車内で利用できるエンターテイメントサービスの利便性が向上しています。 例: ワイヤレスで画像や動画を見る Car Play と Android Autoを利用 車内の各種IoT デバイス 車内でワイヤレスネットワークの接続機能を提供 この記事では、主に車で提供可能なワイヤレスネットワークサービスについて紹介します。 SIMカードは10年も前から車に取り付けることができていました。その主な目的は、車の測位・運転データの送信・緊急救助サービス等で、ドライバーや乗客にネットワークサービスを提供するものではありませんでした。 しかし、通信とインターネットサービスの急速な発展により、今日では音楽鑑賞やカーナビ、地図検索等、車内で利用できるサービスは多様化しており、乗客が利用できるワイヤレスネットワークサービスも提供されています。 IVI機器は4G / 5G SIMカード(またはe-SIM)とともに、車載IoTデバイスをサポートする小型なワイヤレスネットワークサービスステーションです。特に長時間の運転環境において、乗客を楽しませるインターネットツールを提供します。 現在、車載用ホットスポットととして、公共交通機関での利用が一般的です。例えば、高速鉄道や長距離バスでは、ビジネスやインターネットエンターテインメント向けにワイヤレスネットワークが提供されていますが、いくつかの自動車メーカーが車載用ワイヤレスネットワークサービスを導入するなど、自家用車のワイヤレスネットワークが徐々に普及しています。 車と車のワイヤレスネットワーク接続機能とパフォーマンスの課題 車用ワイヤレスのハードウェアとソフトウェアの設計には、サポートされている周波数帯域(2.4G / 5G)・接続可能なデバイスの数・伝送速度・アップロードとダウンロードを同時に行う機能・マルチユーザー機能・ネットワーク伝送の遅延・他機器の干渉による影響・アプリケーションのパフォーマンスと遅延・各種ネットワークデバイスとの互換性等の問題があります。 実際に再現しました:車におけるワイヤレス性能の比較 アリオンは、ワイヤレスネットワーク共有をサポートする2台のIVI機器(モデルAとモデルB)を選び、ワイヤレスネットワークのパフォーマンスをテストしました。図1は、4人乗りの自動車で乗客が各座席でモバイル端末(スマートフォン・タブレット・ノートパソコン等)を使用し、ワイヤレスネットワークのパフォーマンスを共有している状況をシュミレーションしています。 図1:テストのイメージ 車載用ワイヤレス機能のテスト項目: 最大同時接続下の安定性 最大伝送速度 ワイヤレスネットワークの通信時間の公平性テスト 距離と伝送速度のパフォーマンス 車内の各座席における伝送の公平性 マルチデバイスの同時利用パフォーマンス 連続接続/切断環境下での安定性 長期使用時の安定性 無線信号の共存下での機能 接続機器: 異なる端末を用いることでテスト結果に差異が出ないようにするため、このテストではすべてGoogle Pixel4を使用しました。 テスト結果の比較: モデルAとモデルBはどちらも安定しており、複数のデバイスが同時に接続されている場合も設定したトラフィック(2Mbps)で維持されています。また、モデルA,モデルBとも、アップロード時のパケットエラー率は0%に維持されていますが、モデルAではダウンロード中のパケットエラー率が各端末デバイスで14%〜18%と高く、ダウンロードには大いに改善の余地があります。モデルBのダウンロードにはそのような問題はありません。 一般的な無線ルーターの場合、伝送速度はリンクレートまたは物理レートの約70%〜80%である必要があります。しかし、テスト結果によると、モデルBの伝送速度は45.3Mbpsで、接続速度(65Mbps)の約70%です。一方、モデルAの伝送速度はわずか39.9Mbpsと、接続速度(65Mbps)の約60%にとどまるなどパフォーマンスはやや劣っており、この部分には改善の余地があります。 このテストの目的は、2つの端末が異なる距離で使用され、割り当てられた時間とトラフィックが公平であるかどうかを確認することです。テスト結果から、全体的な伝送速度はモデルBがモデルAよりも優れていることが分かります。モデルAとモデルBの伝送速度の差は15%以下ですが、モデルBのばらつきはモデルAよりも小さく、安定しています。 車内では各座席間の距離はそれほど変わらないため(2メートル以下)、Wi-Fi信号の減衰はそれほど大きくなりません。各座席でのモデルAとモデルBの伝送速度も許容範囲内です(1080Pオンラインストリーミングビデオの視聴時、約10Mbps)。また、モデルBの各座席でのダウンリンク/アップリンク伝送速度のパフォーマンスはモデルAよりも優れています。 上記の実験データから、モデルBはモデルAよりも車内のダウンリンクおよびアップリンクの伝送速度が優れていることが分かります。 ...

メモリモジュール(Memory DIMM module)に必要な信頼性対策とは?
Allion Labs / Joseph Lin コンピュータの発明以来、メモリはコンピュータプラットフォームにおいて不可欠な役割を果たしてきました。メモリはメインメモリと外部メモリに分けられ、メインメモリとは、中央処理装置(以下CPU)が直接アドレス指定できるストレージスペースです。主な機能は、CPUが処理するデータを一時的に保存し、CPUがデータにアクセスする際に使用されます。外部メモリとは、ハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)など、コンピュータでのアクセス速度が遅い記憶媒体を指し、私たちが普段使っているオペレーティングシステムや各種ソフトウェアは、外部メモリに保存されています。 メインメモリは、コンピュータプラットフォームでCPUと外部メモリの間のブリッジの役割を果たしています。コンピュータアーキテクチャにおいて、CPUの計算速度は非常に高速ですが、一方でHDDまたはSSDのストレージ速度は非常に低速です。そのため、CPUと外部ストレージメモリの間に、高速バッファデバイスが必要となります。 CPUがデータを処理する際、まず外部記憶メモリからCPUが処理するデータを取り出してメインメモリに一時的に保存し、その後CPUが処理する際にデータがCPUに高速転送されるため、途中の待機時間が大幅に短縮されます。この様に、メインメモリはコンピュータプラットフォームで非常に重要なブリッジの役割を果たしています。 図1:メインメモリには、CPUと外部メモリの間の重要なブリッジの役目がある 最近のコンピュータプラットフォームでは、メインメモリに高速性と拡張性が求められるため、ほとんどの場合で複数のメモリチップで構成されるDual In-line Memory Module(以下DIMM)などのメモリモジュールの形式がとられています。この記事では、DIMMをメインとしてお話しします。 図2:メインメモリのイメージ DIMMの信頼性検証 現在のコンピュータプラットフォームではメモリが必要不可欠であり、複数のメモリチップで構成されるDIMMは更に重要です。情報化社会の進展により、私たちの生活の多くはコンピュータと密接な関係にあるため、コンピュータプラットフォームのDIMMの重要性が一層増しています。 近年はデータ量が膨大になっているため、データ処理の速度が重視されるようになり、またメモリモジュールの高速化や大容量化も進んでいます。JEDECが発表したDDR4メモリの最高仕様はDDR4-3200に達し、DDR4の単体容量も256GBに拡張しています。 DIMMの高速化と大容量化に伴い、メモリモジュールの信頼性がますます重要となっています。メモリモジュールの信頼性が不十分な場合、コンピュータが故障したり、更にはデータにエラーや破損が発生します。 DIMMの信頼性検証は、以下の様にいくつかの方向に分けることができます。 1. アセンブリテスト(Assembly Test) 組み立てられたメモリモジュール(DIMM)に対して、基本的な読み取り・書き込みテストを行い、モジュールの各ピンの機能が正常であるかどうかを確認します。 Test Patterns Walk Address Test(Address Line Test) Walk Data Test(Data Line Test) CS Test CKE Test DQM Test DQSN Test ODT Test 2. 機能テスト(Functional Test) テストされたDIMMが、アセンブリテストで完全に合格すると、続けて機能テストが行われます。テストでは、様々なデータロードを使用してモジュール上の各メモリチップの読み取り・書き込みが行われ、各チップのステータスが正常かどうかを確認します。 Test Patterns ...

2.4GHzの共存問題はワイヤレスマウスに影響を与えるか?
Allion Labs/Allen Liao キーボードやマウス等のワイヤレスデバイスは、PCやゲームなどを利用するうえで、日常生活に欠かせないものとなっています。これらのワイヤレスデバイスは、通常Bluetoothまたは2.4GHzの無線技術を使用してワイヤレス操作を実現しています。 これらのワイヤレス通信は必要不可欠な技術である一方、ユーザーが不便と感じる場面もあります。例えば、ビジネス環境において、ユーザーが複数のコンピューターを一つのBluetooth®マウスで操作したい場合、マウス自体に、接続したいコンピューターを自由に指定できる機能が存在しないため、複数のコンピューターを制御するには、使わないコンピューターのBluetoothを一旦オフにするなど、いくつかの作業が必要でした。 このような負担を軽減するため、メーカーはデュアルモードワイヤレスマウスを販売しています。デュアルモードワイヤレスマウスは、Bluetoothと2.4GHzの無線の両方をサポートし、2.4GHzの無線はPC側ではUSBドングルを使用して接続します。マウス側のスイッチでBluetoothモードとドングルモードを自由に切り替えることができるため、簡単に2つのコンピューター間での接続を切り替えることが可能です。 図1:ドングルとBluetoothのモード切り換えでマルチタスクを実現 利用されるもう1つの分野は、昨今非常に人気のあるeスポーツ業界です。eスポーツでは、非常に高いマウス感度と応答速度を必要とします。Bluetoothを接続に使用すると、求められる伝送スピードをほとんど満たすことができません。その理由は、USB HID仕様を通じたBluetooth®デバイスの反応が悪いためです。そのため、eスポーツ用のマウスでは、メーカーが独自に開発した高速ワイヤレス技術を使用することで、ユーザーのニーズを十分に満たすワイヤレスマウスを実現しています。独自開発の技術を使用しているため、コンピューター側ではUSBドングルを使用します。 図2:市販されているeスポーツ用マウスは、ドングルで高速伝送を実現 以前、共存状況下においてワイヤレスキーボードに発生し得る問題についてご説明しました(Bluetooth®キーボード性能検証と分析を参照)。今回は、ワイヤレスマウスの共存パフォーマンスについて説明します。オフィス環境であろうとeスポーツの大会であろうと、環境全体は様々なワイヤレスデバイスによって干渉を受けてしまいます。アリオンは豊富なワイヤレステストの経験に基づいて、2.4GHzワイヤレスの共存がワイヤレスマウスに与える影響を以下の様に要約しました。 マウスカーソルの移動中にラグが生じる マウス操作が全く機能しなくなる 2.4GHzのワイヤレス共存問題に対応するためにBluetoothも、メーカー独自の2.4GHz無線技術も、周波数ホッピングメカニズムを使用しています。しかし、ホッピングメカニズムを使用していれば、完全に干渉の問題を防止することができるのでしょうか?こうした接続の問題は、ユーザーエクスペリエンスの低下を引き起こす可能性があり、ブランドの信頼性にも影響を与えるため、十分にテストを行う必要があります。 これらのワイヤレス共存の問題について、この記事で3つのセクション「環境設定」「パフォーマンス判断基準」「実際のテスト結果」を通じて、市販されている2種類のオフィス用のデュアルモードワイヤレスマウスを選び、ワイヤレス信号が干渉を受ける状況下で発生した問題とその劣化について比較を行いました。 図3:市販されている2種類のデュアルモードワイヤレスマウス 環境設定 デュアルモードワイヤレスマウスのテスト項目は、安定したテスト結果を導き出せるように、外部からの電波干渉を排除するため全て電波暗室で実行します。テスト過程において、干渉状況下のデュアルモードワイヤレスマウスのパフォーマンスを分析するために、マウスカーソル移動ジグを使用して定性的・定量的な移動を実行し、レポーティングレートの数値とカーソル移動の軌跡を記録します。全体的なセットアップは図4の通りです。 図4:デュアルモードワイヤレスマウスワイヤレス共存テストのセットアップ図 干渉テストシーンのシミュレーションは、異なるワイヤレス通信テクノロジー(Wi-FiやBluetooth)、通信デバイスの数、信号密集度(高速または低速テクノロジー)等、複数の異なる干渉シーンを考慮する必要があります。 デュアルモードワイヤレスマウスの性能パフォーマンスを判断する基準 今回のワイヤレス共存テストの判断基準は、そのマウスの反応速度とカーソルの滑らかさに基づいています。テスト項目は以下の通りです。 レポーティングレート (Reporting Rate、以下RR) をモニタリングする 一般的なワイヤレスマウスのRRはおおよそ125Hzですが、共存干渉の影響により、その値が100Hz以下に減少すると、利用する際にマウスの制御/反応能力が低下したことが感じられます。 カーソル移動の軌跡をモニタリングする RRのパフォーマンスに加えて、カーソルの動きの滑らかさをビデオ録画でモニタリングし、ユーザーが使用時に発生する状況を推察します。 実際のテスト結果 レポーティングレート (Reporting Rate、以下RR) をモニタリングする D社製とL社製の2つのデュアルモードワイヤレスマウスを使用し、図5の干渉状況の悪化の影響を検証しました。グラフのX軸は干渉条件、Y軸はRRの変化をそれぞれ表しており、基本的にRR値が高いほど良好であると言えます。 Bluetoothモードとドングルモードのどちらのテスト結果からも、干渉量が増加すると、Wi-Fi干渉状況下でL社製のマウスのRRが低下し、D社製のマウスは125Hz前後で維持できていることが分かりました。干渉量を増加させて3つのWi-Fi干渉状況にすると、L社製のマウスのRRはわずか40Hzまで急激に低下してしまいました。しかし、D社製のマウスは引き続き100Hz以上を保っています。最後に、5つのWi-Fi干渉と3つのBluetooth干渉を同時に発生させると、2つのマウス間のRRギャップが更に大きくなりました。 図5:BluetoothモードとドングルモードによるReporting Rateテスト結果 カーソル移動の軌跡のモニタリング結果 上記の干渉シーンで、L社製のマウスの実際のユーザーエクスペリエンスがどのようなものになるのか、図6・7・8で説明します。図6は、干渉がない状況を示し、カーソルが引っ掛かることなく非常にスムーズに移動していることがわかります(カーソルの残像に注目してください)。しかし、3つのWi-Fi干渉状況(図7)ではあまり滑らかでなくなり、5つのWi-Fi干渉と3つのBluetooth干渉(図8)が同時に発生すると、カーソルの動きの不連続性や引っ掛かりの現象が明らかに発生しました。この時点ですでに使い勝手が悪く、ユーザーは製品を返品したいと感じる可能性があります。 図9は、図8と同じ条件下におけるD社製のカーソルパフォーマンスを示しており、スムーズではないものの、それでもユーザーの許容範囲内に留まっています。 図6:L社製マウス干渉無し環境におけるカーソルパフォーマンス 図7:L社製 3つのWi-Fi干渉下におけるカーソルパフォーマンス 図8:L社製 5つのWi-Fiと3つのBluetooth干渉下におけるカーソルパフォーマンス 図9:D社製 5つのWi-Fiと3つのBluetooth干渉下におけるカーソルパフォーマンス 結論 上記のRRとカーソルパフォーマンステストの結果を要約すると、D社製のデュアルモードワイヤレスマウスは、ワイヤレス干渉下でも優れたパフォーマンスを維持できていることが判明しました。2つのメーカーのワイヤレスマウスになぜこのような大きな違いがあるのでしょうか。アリオンは以下の可能性があると推測しています。 ...