Allion Labs/Ralph Liao

MagSafe (マグセーフ)とは?

MagSafeは、2006年にMacBookで初めて使用された磁気ワイヤレス電力伝送の規格です。2020年10月13日、Apple社はiPhone 12およびiPhone 12 Proとともに、MagSafeの新しいバージョンをリリースしました。新バージョンの MagSafeは最大15ワットの電力を供給でき、Qi規格の下位互換性があるため、MagSafeはMac用MagSafeとiPhone用MagSafeの2つに分けて見る必要があります。

 

MagSafe for Mac

MagSafeは2006年1月10日に開催されたMacWorld Conference and Expoで初めて登場しました。磁力によって充電コネクタを固定し、誤ってケーブルに引っかかった場合でも、コンピュータが引っ張られて落下損傷することなく、充電コネクタが安全に外れるため、安全性が大幅に向上しました。

 

MagSafe 1

2006年から2009年にかけて発売されたMagSafe 1は、インターフェイスピンが長方形に設計されました。Macbookに取り付け可能で、充電中はオレンジ色、フル充電時は緑色に光るインジケーターライトがコネクタの両側に付いています。

MacBook Proに接続されるMagSafeコネクタ
2006-2009年に導入されたMagSafe 1 (出典: Wikipedia)

 

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L字型のMagSafe 1は2010年から2012年に発売されたもので、インターフェースピンは従来のものと同じですが、デザインがT字型からL字型に変更されています。

2010~2012年に導入されたL字型のMagSafe 1

図:2010~2012年に導入されたL字型のMagSafe 1

MagSafe 1充電器は、下の表に示すように3つの異なる電力を提供することができます。

MagSafe 1充電器は、3つの異なる電力を提供することができます。

 

MagSafe 2

2012年から2014年にかけて、ラップトップをより薄くより軽くするために、Apple社は新しいラップトップに対応するようにMagSafe 2を再設計しました。T字型のデザインを再び採用し、コネクタの材質をプラスチックからアルミニウムに変更しました。

2012-2014年に導入されたMagSafe 2

図:2012-2014年に導入されたMagSafe 2

MagSafe 2充電器は、下の表に示すように3つの異なる電力を提供することができます。

MagSafe 2充電器は、3つの異なる電力を提供することができます。

2015年以降、Type-CコネクタをサポートするMacBookが登場したため、Apple社 はMagSafe 2を廃止し、Type-Cによる充電を完全に導入しました。

 

MagSafe 3

2021年10月18日Apple社は新しいMacBook Proをリリースし、PD 3.1導入の恩恵を受け、100Wを超える電力で充電できるようになりました。新しいMacBook M1 Pro & M1 Maxには、最大140Wの充電効率を提供できます。これまで、MagSafe 1 & 2は充電ケーブルと充電アダプタを分離できない形で販売されていましたが、MagSafe 3はType-Cの恩恵を受けてケーブル形式が導入されたため、消費者は、MagSafe 3搭載のPDプロトコルに準拠した、様々なType-C充電アダプタを使ってMacBookを充電することができます。

2021年に導入されたMagSafe 3

図:2021年に導入されたMagSafe 3

 

MagSafe for iPhone

2017年にApple社が発表したiPhone 8とiPhone Xではワイヤレス充電(Qi)が導入され、その後に発売されたiPhoneはいずれもワイヤレス充電が追加されました。しかし、最高の充電ワット数の速度が7.5Wに制限されており、スマートフォンを充電器の上で固定できないため、スマートフォンが位置ズレして充電できなくなる可能性がありました。この問題を解決するため、Apple社は磁気吸引技術をワイヤレス充電器に適用し、2020年iPhone 12のリリースに伴い、iPhone用に設計された新世代のMagSafe充電器が発売されました。また、iPhone 12以降のすべてのシリーズにも、MagSafeの磁気充電機能が導入されています。

2020年iPhone 12のリリースに伴い、iPhone用に設計された新世代のMagSafe充電器が発売されました。

Apple社は電磁誘導の技術を使用しており、通電後磁気コイルが磁場に変化をもたらし、電子の流れを駆使して充電可能な電流を生成しています。電磁誘導に基づいて、スマートフォン内部のワイヤレス充電コイル(Charging coil)の外周に磁石(Magnet array)の円が追加され、MagSafe互換の充電器がスマートフォンを正しい充電位置で正確に吸着するため、密着吸着でズレにくい充電を実現しています。また、最大充電速度を従来の7.5Wから15Wに増加させ、ナノ結晶パネル(Nanocrystal)と2つのセンサーを追加して誘導磁場の感度を高め、同時にシールド層(E-shield)の設計を改良し、充電の安全性を高めています。

(Source: Apple公式サイト)

iPhoneは第12世代以降、MagSafeとQiワイヤレス充電の両方をサポートしていますが、使用方法に関して次のような違いがあります。

 

Made For MagSafe(MFM)認証とMagSafe互換(MagSafe Compatible)について

Apple MFM認証

MagSafeはApple社が導入した特許取得済みの技術です。磁気吸着により、使用中にモバイルデバイスがワイヤーに絡まる問題を効果的に防止することができ、現在では保護ケースや充電器、モバイルバッテリー、カードホルダーなどの周辺機器に広く利用されています。MFM認証は、以前のMade For iPhone (MFi)認証と同様に、周辺機器メーカーはMFM認証マークを取得するために、Apple社の厳格な審査プロセスに通過する必要があります。

Apple MFM認証のロゴマーク

図:Apple MFM認証のロゴマーク

MFM認証の充電デバイスは、iPhoneに最大15Wのワイヤレス充電速度を提供可能です。充電中は、黒い背景に緑色の稲妻の充電アイコンアニメーションが表示されます。

MFM認証の充電デバイスは、iPhoneに最大15Wのワイヤレス充電速度を提供可能です。

(Source: Apple公式サイト)

 

MagSafe互換(MagSafe Compatible)

MagSafe互換(MagSafe Compatible)とは、充電器に磁気吸引の機能があることを意味していますが、MFMの認証に合格していないため、iPhoneを充電する場合、上の表で述べたように、Qiワイヤレス充電仕様だけ、つまり最高7.5Wの速度でしかワイヤレス充電できません。しかし、他のAndroidデバイスを充電する場合(Androidデバイス自体もQi 15Wの充電速度に対応していることが前提ですが)、仮にMagSafe Compatible充電ボードが15Wの充電速度を提供可能であれば、この充電器は当然Androidスマートフォンを最大15Wの速度でワイヤレス充電することができます。

 

実測比較:MagSafe Wireless Charger VS MagSafe Compatible Wireless Charger

アリオンでは、市場で売れているスマートフォン向けMagSafe/ MagSafe Compatible充電器で比較実験を行いました。3つのMagSafe充電器を選び、様々なMagSafe充電器の充電性能を比較し、さらに、様々なMagSafe保護ケースを使用して、バッテリーが0%から100%充電されるまでの時間を記録しました。

充電時間を見てみると、保護ケース無しの状態で、Apple社純正MagSafe充電器(216分)では、B社のMagSafe Compatible充電器(252分)よりも充電時間が大幅に短いですが、未認証のサードパーティブランド(222分)とほぼ同じでした。B社の充電器は、保護ケースなしの場合、スマートフォンを15Wで高速充電できず、MagSafe互換7.5W充電の状態でした。

MagSafeワイヤレス充電器は、アップル以外のスマートフォンも充電できるため、ワイヤレス充電に対応していて、バッテリー容量と筐体サイズがiPhone 12 Proに似ている別のAndroidのスマートフォンを選び実験しました。同様にApple社 Type-CとMagSafe充電器を使用して、保護ケース無しの場合と2つの MagSafe保護ケースをつけた場合の充電時間を測定します。

測定データを見ると、Samsung S9の保護ケース無しでの充電時間は、Apple社純正MagSafe充電器と未認証のサードパーティブランドの充電器は220分以下ですが、B社のMagSafe Compatible充電器の充電時間は323分に達していることが分かります。したがって、Apple社 とAndroidのどちらでも、Apple社純正MagSafe充電器は安定した出力で充電できますが、B社のものは充電が非常に遅く、未認証のサードパーティブランドのものは充電が非常に速いことがわかります。

一方、Apple社とAndroidスマートフォンでの2つの実験で、MagSafe保護ケースをつけた場合、Apple社およびB社の充電器は、保護ケース無しの状態よりも速く充電できることがわかりました。研究の結果、ワイヤレス充電は電磁誘導技術によって充電されるため、充電による発熱が充電器の充電速度に影響すると言われています。スマートフォンの充電速度が速いほど、熱が高くなることため、優れたワイヤレス充電器は、過熱しないように充電速度を制限する保護メカニズムが作動します。保護ケースを装着すると、ワイヤレス充電器とスマートフォンとの間にモノが挟まれ、充電器が感知した熱によって保護メカニズムが作動しないため、充電時間のほとんどを最大電力で充電できます。品質が保証されている充電器と比較すると、未認証のサードパーティブランドの充電器は設計と保護の面で保証がないため、保護ケース無しでの充電速度は速かったり遅かったり様々で、保護ケースの厚さが増して安定した充電ができなくなる場合があります。

 

まとめ

スマートフォンは現代人の日常生活に欠かせないものです。スマートフォンの耐久性と寿命を高めるため、ほこりや水が入りやすい接続端子を最大限小さくするという方向性で、スマートフォンメーカーは今後も研究開発を進めていきます。この前提の下で、スマートフォンに優れたワイヤレス充電体験を提供することは、各メーカーにとって非常に大きな課題となっています。

MagSafe/MagSafe Compatible充電器向けの評価テストについて、アリオンは以下のテストに対応することが可能です。

  • 互換性テスト
  • 機能性テスト
  • 耐久性テスト
  • ユーザーエクスペリエンステスト
  • 競合製品の分析と品質向上コンサルティング

上記のテストに加えて、アリオンは長年蓄積した豊富な経験により、お客様の製品に合わせてカスタマイズしたコンサルティングサービスを提供し、製品の設計初期段階から製品の開発と設計に参加し、評判の良い高品質な製品を生産できるようサポートします。さらにアリオンは、システム、スマートフォン、USBハブ、Power Deliveryアダプタなど、包括的な設備とブランドをカバーしており、お客様の製品に対し最高の品質管理を行うことができます。

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