Tag Archives: 評価

規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題
規格や速度が多種多様で、絶対に軽視してはならないUSB Type-Cケーブルの互換性問題

電子機器の廃棄量を大幅に低減させるため2024年の秋から、電子製品は全面的にUSB Type-Cコネクタによる充電に変更すると、先日欧州連合(EU)で議会の決議を得て正式に法律が制定されました。これにより今後より多くの電子製品はUSB Type-Cインターフェースを採用すると予測されます。同時に、大容量のモバイルバッテリーやPD充電器の給電ニーズもその影響を受け、電力仕様が48V/5Aに引き上げられるでしょう。 充電の他にも、USB Type-Cはスマホ・タブレットなどの小型デバイスとパソコン間の接続に使用されています。また、USB Type-Cを使用することで、モニターやSSDもより高いデータ伝送速度、及びより多くの種類の通信プロトコルに対応することとなります。しかし、インターフェースが全面的に統一されると、デバイス間の接続は本当により便利になるのか気になるところです。 USB Type-Cを使用している多様な製品、そのケーブルのスペックもさまざまで分かりにくい  USB Type-CにはUSB 3、USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4…などさまざまなプロトコルが含まれていて、異なる製品の利用において、対応するUSBバージョンと速度も異なります(下表)。 どれもUSB Type-Cインターフェースが使用されていますが、プロトコルのバージョンと速度が違うため、最高のパフォーマンスを得るためには、システム/デバイス/ケーブルがマッチングしていなければなりません。また、異なるデバイスやシステムでは、必要になるケーブルも同じとは限りません。 [...]

スマートテレビに潜む深刻で見つけにくい問題とは?

Allion Labs/Franck Chen 調査会社Parks Associatesのレポートによると、近年のストリーミングビデオサービスの台頭により、スマートテレビは、すでにストリーミングメディアサービス向けのメインデバイスとなっています。テレビはもはや単純に「見る」だけのものではなく、現在製造されている新型テレビのほとんどが新しい機能を備え、コミュニティ、ゲーム、インターネット、ビデオオンデマンド、テレビアプリ等、これらすべてをテレビ上で実現することができ、デジタルホームエンターテイメントライフが当たり前なものとなりました。そのため、テレビメーカーは従来と違ったさまざまな新機能や、ユーザーの視聴習慣、さまざまな使用シーンを製品開発レベルで検討する必要があります。しかしながら、エンドユーザーが長く製品に触れ、有線と無線が混在する環境、さらに複雑且つ頻繁に使用される習慣や方法が存在する中で、今までにない問題が次々と発生しています。 テレビメーカーが直面する現実とジレンマ アリオンの長年に渡るテレビテストの経験よると、一般的なスマートテレビの深刻な問題の約 5~10%は、反復操作や長期間使用された後に確率的に発生します。このタイプの問題は一般的な方法では簡単に検出できないため、潜在的なリスクは実際の統計よりも高くなります。 確率的な問題であっても、市場で販売される数とユーザーの使用頻度を計算すると、実際のケースでは確率の数値よりもはるかに高くなることが予想されます。今日多くの消費者は、製品を購入する前に製品に関する情報と評価を検索し購入するかどうかを考えています。製品が発売される前に、これらの確率の問題を効果的に減らすことができなければ、顧客のクレームリスクと圧力が大きくなってしまいます。以上のことから、数%程度の確率で発生する深刻な問題も無視できないことを認識しておく必要があります。 しかし、一般的なマニュアルによる方法で、確率的問題を長時間または反復してテストすると、集中力の低下によるヒューマンエラーが発生しやすくなる一方で、工数が多くかかるのでテスト期間を長くしなければなりません。上記のジレンマに直面し、メーカーはしばしば板挟みになってしまいます。 アリオンは「時間コストの削減」と「一般的なマニュアルでは実現できない能力の克服」という2つの条件を同時に満たしながら、お客様が潜在的且つ深刻な問題を検出して製品競争力を強化できるよう効率的にサポートします。 「自動化キット」と「カスタマイズされたテストスクリプト」は必須であり、互いに補完し合うことで効果的に検出できます 今日のスマートホームアプリケーションエコシステムにおいて、消費者の直面しそうな問題をお客様が事前に発見できるように、アリオンのチームは、ハードウェアテスト、ソフトウェアテスト、互換性とVFT (仮想フィールドテスト) のテスト概念を統合しました。アリオンの設計開発した『スマートホームの主要シナリオテスト』(ACSTS、Allion [...]

HDMI 2.1認証試験でよくある問題とその分析– Part I I :Sink機器編

前編のPart IではHDMI 2.1 Source機器においてHDMI2.1認証試験でよくある問題について紹介しました。本編では、それに続きSink製品の認証テストにおいてよくある問題について紹介します。 FRLの電気テストは従来のTMDSモードに比べ複雑 前編でも示した通り、HDMI 2.1における最大の変更点は、従来のTMDSモードに加えて、新たにFRL (Fixed Rate Link)伝送モードが追加されたことにあります。FRLを通して、帯域幅はTMDSの18GからFRLの48Gに向上したことで、8Kの映像データ伝送を行うことができます。FRL信号は伝送の前にLink Trainingのコミュニケーションを実施する必要があります。そのため、FRLの電気テストも比較的複雑になります。従来TMDSの電気テストでは、テストツール側の+5Vをパワーサプライに接続し、5V電圧を供給するだけで、SinkからSourceに接続した状態をシミュレーションすることができ、電気テストが行われていました。  しかしFRLの電気テストでは、特殊な設備でSourceをシミュレーションし、SinkとのLink Trainingプログラムを実行しなければなりません。また、SinkがジェネレータのBERT信号を受信した後、Sinkのレジスタ内にエラー数が記録されます。この時、SourceはSCDCを通してSinkのエラー数を読取り、SPECの規格を満たしているか判断します。 自社開発したSCDC/EDIDエミュレータ「AJSC-1」はHDMI Forumに認可され、FRLの電気特性テストに使用することができます。このテストツールはSourceをシミュレーションし、SinkとLink [...]

スピーカーの性能を「見える化」するには必要な検証とは?

家電製品の中には、スピーカー機能が内蔵されている製品も少なくありません。近年では、Bluetoothスピーカーやスマートスピーカーが流行っていて、市場においてスピーカー機能が内蔵されている製品種類は日々増えています。あらゆるスピーカー製品の中から、消費者が選択肢に入れて購入を考える決め手となっているのは、スピーカー製品のワット数や有効帯域幅などにほかならないでしょう。しかし、各メーカーのスピーカー製品の実性能は、本当に製品パッケージや説明書などに表示されている通りでしょうか? 過去には一部のスピーカーメーカーがマーケットシェアを占めるため、誇張した性能表示をして消費者から好評を得ようとしていました。製品に関連する規範が無い状態では、知らずに購入してしまったエンドユーザーは仕方なく受け入れるしかありませんでしたが、近年ではビジネスモデルの変革とインターネットの普及に伴い、製品評価の透明化が進み、各スピーカーメーカーは企業としての信頼性やブランドイメージを気にかけ、次第にスピーカー製品の電気音響性能の表示を重視するようになりました。 アリオンは実測の事例からポイントとなる試験項目をピックアップしてスピーカーの性能測定について以下に説明します。 スピーカーの性能は本当に数値化できるのか? 1. スピーカーのワット数: 当社の市場調査の結果から、この性能指標が一番「水増し」される可能性が高い項目だと分かりました。テスト結果に信憑性を持たせるため、この性能指標に対して、当社では国際規格であるIEC 60268-5:2007規格を参照しスピーカーのワット数の検証テストを行っています。 まず、スマートフォンをHost側として、Bluetoothスピーカーを接続し、Host側で1kHzと0dBFSの信号を出力し、音量を最大まで上げます。 次に、Bluetoothスピーカーに内蔵されているアンプとスピーカー単体間の接点の電圧(Vrms)を測定します。続いてアンプを取り付けていない状態のスピーカー単体の定格インピーダンスReを測定します。計算式P = (Vrms^2) / Reを用いて、スピーカーの最大入力信号の条件下の最大出力電力を計算します。 1つの検証事例を例に挙げると、上記の公式で計算した結果、以下の数値が得られます: [...]