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Bluetooth技術は、コンシューマー向け電子機器、産業機器、スマート製品など、さまざまな分野で幅広く活用されています。これに伴い、Bluetooth認証(Bluetooth Qualification)は、製品を市場へ投入する前に欠かせない重要なプロセスとなっています。一方で、Bluetooth SIG(Special Interest Group)は近年、認証プロセスに関する規定を継続的に更新してきました。2024年7月より、Bluetooth SIGは新たな認証プロセス規範であるQPRD v3を正式に導入し、さらに2025年7月にはQPRD v4へ更新されました。

度重なる仕様変更は、初めて認証に取り組むメーカーのみならず、経験豊富な開発チームにとっても大きな課題です。制度や運用ロジックの全面的な見直しにより、これまでのノウハウが通用しない「理解のハードル」や、不十分な理解による「上市の遅延リスク」が顕在化しています。

制度改定の本質:名称変更にとどまらない、根本的な考え方の転換

最新のQPRD規範において、Bluetooth SIGはBluetooth認証プロセスにおいて、以下のような複数の重要な変更を実施しました。

  • Declaration ID(DID)および Qualified Design ID(QDID)の廃止
    新たにReceipt Number および Design Number(DN)を次世代の識別子として導入
  • 新オンライン認証システム「Qualification Workspace」の全面導入
  • Subsetの適用条件および判定ロジックの見直し
  • IOPTテスト項目および適用範囲の更新

これらの変更は一見すると、手続きや用語の更新に過ぎないように見えますが、実際にはBluetooth SIGが製品の設計アーキテクチャおよび機能宣言の正確性をこれまで以上に重視していることを示しています。

認証に関する悩みを抱えており、「判定基準がどうしても分からない」と感じていませんか?

お客様のBluetooth認証を支援する中で、最も混乱を招きやすい要因は、テスト作業そのものではなく、Bluetooth SIG独自の認証評価ロジックであることが明らかになっています。

多くの国際認証機関とは異なり、Bluetooth SIGではBluetooth Core Specificationのバージョンを基準としてテスト内容や認証の可否を判断するのではなく、以下の要素を基に認証要件が決定されます。

  • 設計タイプの選択(Specify the Design)
  • 既存デザイン(QDIDDN)の組み合わせ方法

これらの条件によって、製品にテストが必要かどうか、適用されるテスト項目の範囲、既存デザインをどのように組み合わせて活用できるかが判断されます。

この認証モデルが存在する理由は、ほとんどのBluetooth製品が完全にゼロから開発されるのではなく、チップセットベンダーやモジュールサプライヤーの設計、あるいは既に認証済みの会員企業の設計を活用して開発されるためです。また、Bluetooth製品ごとに機能や利用シーンにおいて多岐にわたります。

このため、Bluetooth SIGは、製品をコア仕様のバージョンだけで表記するのではなく、実際にサポートしているBluetooth機能やプロファイルを正確に宣言することの重要性を、繰り返しメンバーに呼びかけています。

Bluetooth製品をコア仕様のバージョンだけで表記するのではなく、実際にサポートしているBluetooth機能やプロファイルを正確に宣言する

Bluetooth認証を正しく理解しよう

設計タイプの選択(Specify the Design):Bluetooth認証における最初の重要な意思決定

Bluetooth認証プロセスにおいて、Bluetooth SIGは設計タイプ(Design Type)を明確に定義しており、「Specify the Design」 は認証全体の流れを左右する最初かつ最重要の判断ポイントとなります。

Bluetooth SIGが定める設計タイプの選択肢は、以下の大きく3つのカテゴリに分類されます。

Option 1:既存デザインを単一で使用(Use a Single Existing Design)

すでに認証済みのデザインを、そのまま単独で流用する方式です。

Option 2新規デザインを作成(Create a New Design)

  • Option 2a:複数の既存デザインを組み合わせて新しいデザインを作成(Create a New Design that Combines Multiple Existing Designs)
  • Option 2b:その他の新規デザインを作成(Create Any Other New Design)

これらの中でも、Option 2aは特に組み合わせルールが複雑であり、Bluetooth SIGでは特定の条件を満たす設計の組み合わせのみを許可しています。許可されていない組み合わせを選択した場合、テスト自体を完了しても、後に認証の妥当性が問題となる可能性があります。

※Option 2a:適合する設計組み合わせの条件は以下の通りです。

Design 1 hasDesign 2 hasDesigns 3+ have (optional, additional Designs)
Core-Complete ConfigurationX2Core Layers onlyX2Core Layers only
Core-Controller ConfigurationCore-Host Configuration
Core-Controller ConfigurationCore-Host ConfigurationX2Core Layers only
Core-Host ConfigurationX2Core Layers onlyX2Core Layers only
Core-Controller ConfigurationX2Core Layers implementing LC3 specification only
X2Core Layers onlyX2Core Layers onlyX2Core Layers only

*Permitted Combinations for Option 2a: Create a New Design that combines multiple existing Designs

「認証済み」だが、どこか違和感のある製品たち

Bluetooth SIGのQualification Workspaceデータベースを確認すると、宣言内容が不十分、またはアーキテクチャに疑問が残る製品事例が散見されます。

例えば、一部のLE構成のマウス製品では、以下のサービスのみが宣言されているケースがあります。

  • DIS(Device Information Service)
  • HIDS(Human Interface Device Service)

しかし、本来必須となるプロファイルであるHOGP(HID over GATT Profile)が宣言されておらず、実際の製品機能と宣言内容が一致していません。このような問題の多くは、Bluetoothアーキテクチャやプロファイル機能に対する誤解に起因しており、監査(Audit)リスクを高めるだけでなく、ブランドの信頼性や製品の品質イメージを損なう恐れがあります。

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Bluetoothの認定は単なる書類手続きではなく、コンプライアンス戦略そのものだ

Bluetooth認証は、「テストを完了し、書類を提出する」だけの作業ではありません。それは、技術理解・設計判断・制度理解を統合したコンプライアンスエンジニアリングです。

アリオンは、本質的な認証コンサルティングとは、製品が市場に出る前の段階で、正しいアーキテクチャ選択と適切な宣言を支援し、潜在的なリスクを回避することだと考えています。

今後もアリオンは、専門的な試験能力と制度への深い理解を強みに、Bluetooth技術および国際認証分野におけるお客様の最も信頼できる長期的パートナーであり続けます。

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