Allion Labs / Joe Lee

今日の世界では、身の回りの至る所に無線信号があります。ネットワークに対するニーズは、今や単に接続してデータをブラウズするだけではありません。普通の伝送ではさまざまなニーズを満たすことはできず、高品質のマルチメディア伝送、4K、さらには8K画質やBlu-rayの動画、また多くのユーザーによる同時接続、さまざまな無線製品の効率的な使用といったニーズへの課題があります。このように、ネットワーク、特に無線ネットワーク環境というのは大きな課題であり、無線の技術をより先進的なものへと向上させ、その強いニーズを満たしていくこととなります。

設立20周年を迎えたWi-Fi Allianceは、IEEE 802.11axという規格を基に、今年9月まったく新たなWi-Fi認証であるWi-Fi CERTIFIED 6™(Wi-Fi 6)を打ち出しました。これにより無線ネットワークは本格的に新しい時代に入り、現代社会の人々の無線ネットワークに対するニーズを満たして、より速く、安全性が高く、省エネとなった無線伝送が提供されます。

Wi-Fi Allianceは1999年に設立され、20年にわたる成長を続けてきました。Wi-Fi Allianceは、無線製品の品質と互換性のために、IEEE 802.11規格に基づいて多くの試験や認証を開発し、2018年末からはサポートする規格を「世代」によって命名する方式で分類しています。始まったころのWi-Fi CERTIFIED a/b/gの成長期から、2009年に打ち出された第4世代のWi-Fi CERTIFIED nに至り、Wi-Fi製品全体が成熟段階へと導かれることとなりました。2014年にバージョンアップした第5世代のWi-Fi CERTIFIED acにはさらに多くの無線技術が導入され、今年Wi-Fi Allianceが打ち出した新しい第6世代のWi-Fi 6認証に至るまで、各世代はみな無線ネットワークに多くの新技術が加えられたことを示しています。次の表は、Wi-Fiの各世代の伝送速度です。

IEEE Band(GHZ) Speed(Mbps) Since
802.11a 5 54 2000
802.11b 2.4 11 2000
802.11g 2.4 54 2003
802.11n(Wi-Fi 4) 2.4/5 72~600 2009
802.11ac(Wi-Fi 5) 5 433~3467 2014
802.11ax(Wi-Fi 6) 2.4/5 600~9608 2019

 

技術的に見ると、各世代のWi-Fiは異なる帯域、変調、セキュリティ、データストリームなどを使用し、当然のことながら伝送能力は異なり、またバージョンアップされた技術を取り入れています。各項目のデータを次の表を用いて説明します。

図1:各世代のWi-Fi規格の比較

Wi-Fi 6最大の変革は、もとの第4世代、第5世代からの大幅な速度アップのほか、安全性の部分でも現在最高のセキュリティ規格であるWPA3を採用したこと、また長らくWi-Fi最大の課題であった電力消費の面についてもソリューションを打ち出したことです。現在、IoT製品は市場にあふれており、またそういった現状はネットワークと補完しあって成り立っていますが、Wi-Fi技術はIoTの世界に絶対にかかせません。そこで省エネ技術によってIoT端末に急速伝送能力を持たせ、製品のバッテリー寿命を向上させるようサポートしたのです。次に、Wi-Fi 6のキーテクノロジーをご紹介します。

A. OFDMA (orthogonal frequency division multiple access)

以前のWi-FiはOFDM技術を使用していましたが、OFDMAは帯域の割り当てをさらに効率化しています。例えば、もとは各ユーザーが同じタイムスロットを保有し、すべてのユーザーに同じリソースが割り当てられ、ある周期ごとに1回リソースが割り振られていました。しかし実際の運用上、ウェブページのブラウズやメッセージの送信を行うユーザーの使用量は、映画を見るのよりも少なくて済みます。OFDMAでは、リソースはより細かく分割され、OFDMAのリソースはユーザーのニーズの違いによって調整されます。そのため、使用に際してはよりフレキシブルな調整と割り当てが行われ、しかも割り当ての周期も固定されません。これにより、帯域の使用率をさらに向上させ、遅延の発生も引き下げることができるのです。

B. 1024 QAM (quadrature amplitude modulation)

直角位相振幅変調(QAM)は、搬送波に振幅変調を施す方式で信号を伝送するもので、802.11nでは64QAMを、802.11acになると256QAMを使用し、最新のWi-Fi 6ではより高次の1024QAMを使用しています。1024QAMはコンスタレーションではより密集していることが分かります。これは搬送波間の間隔が密集しているためです。このため、EVMに対する要求も厳しいものとなりますが、科学技術の進歩により、電子部品の信頼性はより高く、発振器はより正確になっていることから、以前は限界と見なされていた256QAMがさらに向上を続けられたのです。図2のコンスタレーションから、802.11axの使用する1024QAMは802.11acの使用する256QAMと比べて伝送の際により多くの容量を使用できることが分かります。Wi-Fi 6は、1024QAMという技術の使用によってだけでも前世代と比べて速度を25パーセントアップすることができ、同時にMCSにおいてもより多くをサポートし、0~11の符号化方式を定義しました。

図2

 

C. MU-MIMO (Multi-user multiple input, multiple output)

MIMO(多入力/多出力)技術は新しいものではありません。802.11nで設備の運用が開始され、それまでのシングルユーザー(SU: Single User)ではある時間内に単独のユーザーにしかMIMOの伝送を割り当てられなかったのが、802.11acではマルチユーザー(MU: Multi User)となり、ダウンリンク(Downlink)では最大4空間ストリーム(4 Spatial Streams)までのサービス提供が可能となりました。最新のWi-Fi 6は最大で8本のアンテナまでの設計をサポートすることで、MU ダウンリンクおよびアップリンク(Uplink)を同時提供し、8空間ストリームの伝送を同時に行えるようになりました。

図3

 

D. TWT (Target wake time)

Wi-Fi 6は、伝送スピードが速く、構築コストが低いなどの強みがあり、しかも生活においてすでに広く受け入れられていますが、その欠点は電力消費がかさみ、待機時間が短いという点です。一方、今日のスマートライフの枠組みでは各種のIoT製品が広く人々に使用されていますが、IoTは待機時間が長いという特性があり、実際に多くのセンサーの待機時間は95パーセントにも達します。このためWi-Fi 6も、このニーズに対応してTWT技術を導入することで、待機時間と電力消費の問題を改善しています。

TWT技術は各装置のWake Timeを定義して、使用していないときは装置をスリープさせ、一定の時間にAwakeする(目覚めさせる)ことができます。次の図をご覧ください。Access PointがBeaconメッセージ中にTW時間を表示し、装置ごとに異なるTW時間を定義します。例えば、近接センサーのTWは短く、温湿度検出器のTWは長くすることができます。TW時間が来るとTriggerメッセージを送信して装置をWake upし、稼働させます。それまで、装置はすべてスリープしている状態です。このように簡単かつ有効に省エネ効果を達成できます。

図4:Wi-Fi 6のTWT技術

E. BSS Coloring

これまでの無線ネットワーク伝送では、高密度の環境ではデータに衝突が発生し、再送をくり返して効率に影響していました。このためCSMA/CDメカニズムを使用してデータの衝突を避けていましたが、CSMA/CD方式は伝送の前にまずチャネルが伝送中かどうかを調べ、空いていれば伝送可能とするものです。こうしたメカニズムは設計が容易ですが、高密度の無線環境では待ち時間が長くなります。

一方、BSS Coloringはヘッダ(Header)を利用してアクセスポイントが属する色を設定するものです。図を用いて説明すると、同じ色に設定されたBSS Colorは、伝送の際に他のBSS Colorを無視します。たとえ同じチャネルであっても他のBSS Colorの干渉を無視するため、待ち時間を減らすことができるというものです。特に今日のような無線ネットワークがどこでも混雑している状況では、このようなメカニズムで干渉に対抗し、伝送効率を効果的にアップすることができます。

図5:BBS Coloring概略図

Wi-Fi 6は前述のような新たな技術を導入することで、以前よりも伝送速度を上げ、リソースの使用においてもさらに効率化を図っています。また干渉への対抗力が強く、マルチユーザーによるマルチタスクの伝送をこなし、電力管理による省エネメカニズムも備えています。このほかにも、Wi-Fi 6には下位互換性があり、802.11a/​b/​g/​n/​acの安全性も向上し、周波数帯の運用も最適化されています。このため、Wi-Fi 6の試験認証では、Wi-Fi 6自体のほかに次の関連試験も実施する必要があります。すべてに合格することで、Wi-Fi 6の絶対的な高い品質と性能を備えていると製品に表示することができます。下図の小さな三角形はWi-Fi 5認証で実施が必要となる項目、大きな三角形はWi-Fi 6で実施が必要となる項目を表しています。

  1. Wi-Fi CERTIFIED™ n
  2. Wi-Fi CERTIFED™ ac
  3. Wi-Fi CERTIFED WPA3™
  4. Wi-Fi CERTIFIED Agile Multiband™ (MBO)
  5. Protected Management Frames (PMF)

図6:Wi-Fi 6 認証項目

アリオンは、多くのラボのなかでも、現在Wi-Fi Allianceが認定したWi-Fi 6の試験設備を3組保有する、もっとも設備の整ったラボであり、試験時間の効率も最も高くなっています。また、Wi-Fi協会の推進する試験はその他30項目ありますが、現在アジア地域の認定ラボのなかで全ての項目を完全に実施できるのはアリオンだけであり、試験実施能力では現在最高のラボと言えます。アリオンが貴社の製品のWi-Fi 6認証取得をサポートします。Wi-Fi 6認証ソリューションページまたはメールservice@allion.comにてお待ちしています。