USB-IFは、2022年11月1日から2日にかけてアメリカのシアトルで開発者向けイベント「USB Developer Days2022」を開催しました。このイベントでは、最新のUSB4 Version 2.0のリリースに加えて、USB Type-CおよびUSB Power Deliveryの更新についても説明されます。アリオンはこのイベントに参加し、今回発表したポイントから以下の通りまとめました。

 

USB4 Version 2.0の規格およびロゴマークの更新

 

 1. USB4 Version 2.0の規格について 

  • 従来のNRZの代わりに「PAM3」をベースとした新しい物理層アーキテクチャにより、最大80Gbpsの転送速度を実現
  • 非対称通信のオプション(120Gbps/40Gbps)を追加
  • 既存のUSB Type-Cパッシブケーブルケーブルを継続使用できる
  • 80Gbps USB Type-C アクティブケーブルケーブルが新登場する
  • 通信プロトコルがアップデートされ、より優れるようになった
  • USB Gen T tunnelingを利用することでUSB 3.2の伝送速度は20Gbpsまでサポート
  • Displayport 2.1おとびPCI Express 4.0の最新仕様に準拠する
  • USB4 Version 1.0、USB 3.2、USB 2.0やThunderbolt 3との後方互換性も維持

 

 2. USB4 Version 2.0のロゴマークについて 

USB4 Version 2.0規格の発表に伴い、関連するロゴマークがリリースされました。使用用途によって以下の3つに分かれています。

  1. パッケージ用
  2. USBデバイスのポート用
  3. USB Type-C cable assembliesのUSB Type-C ケーブル用。このロゴマークには2つのがあります。1つはSPR(60W対応)用であり、もう1つはERP(240W対応)用

 

新しいロゴマークでは、消費者が混乱するUSB機器の規格(USB 3.1 Gen1, USB 3.2 Gen2x2, USB4 Version 2など)は通信速度で表記されるようになりました。

 

またホストとデバイス用のパーフォーマンスロゴマークおよびUSB Type-C ケーブル用のケーブルロゴマークに分かれています。

認定取得した製品は新しいロゴを使用する場合、以下の手順に従ってください。

 

 3. 基礎仕様(Base Specification)について 

USB Power Delivery Release 3.1 v1.6およびUSB Type-C® Cable and Connector Specification  Release 2.2についても更新されました。

USB Power Delivery Release 3.1ではUSB4 Version 2.0 discoveryを追加され、USB Type-C® Cable and Connector Specification  Release 2.2ではUSB4 Version 2.0 discoveryおよびUSB4 80 Gbps active cables (LRD and OIAC)を追加されました。

 

USB認証の更新について

 

 1. 基礎仕様(Base Specification)について 

シグナルインテグリティSignal Integrity)の要求ではUSB4 Version 1.0認証プログラムをリリースする際には、USB4 Version 2.0のバンド幅を考慮したため、既存のケーブルは引き続き利用できます。しかし、USB4™ PD E-MarkerはUSB4 80Gbpsに対応する場合、宣言を更新することが必須となります。

またUSB-IFは、電力に関して、最大5Aの電流をサポートする場合、SPR電圧(最大20V)に加えて、EPR電圧(28V、36V、および48V)を伝送する必須となると要求しています。一方、最大3Aの電流をサポートする場合、SPR電圧のみ伝送すれば十分です。

 

 2. USB Type-C アクティブケーブル認証 

今回のUSB Type-C アクティブケーブルのアップデートでは、80Gbpsと非対称(120Gbps/40Gbps)への対応だけでなく、Hybrid Optical Active CablesやOptically Isolated Active Cables(OIAC)を含むActive Optical Cables(AOC)についても、より詳細かつ厳しい要求が求められています。

 

USB 3.2 LRDに対応するチップの認証では、Pre-channelフィクスチャ/ISIボードおよびPost-channelフィクスチャが設計されます。

 

テスト項目は、試験対象(DUT)のみで認証するStand-Alone Testおよび、パッシブケーブルまたはアクティブケーブルのいずれかを使用して認証するInteroperative Test(2セットのDUTを用意する必要がある)となります。

 

USB4 LRDケーブルは、この度USB Type-C仕様にアップデートされました。USB4 LRDケーブルの認証は、電気における挿入損失と出力ノイズに焦点を当てています。関連するテスト仕様(CTS)とツールは、アクティブケーブルワークグループ(Active Cable Work Group)で公開されています。

USB4 Gen4 LRDケーブル認証では、USB4 Gen 2/3に近い、時間領域でデータを傍受し、パラメータが仕様に準拠しているかどうかを確認します。USB-IFは解析工程の簡略化と分析時間の短縮を実現できるよう、LinearCableSigTestツールを開発する予定があります。また、ETTツールは、テストプロセスを簡素化するために、LRDテスト用のSBUメッセージを生成するように更新される見込みです。

 

Optically Isolated Active Cablesについては、明確な認証プログラムの開始日程はありませんが、OIACに対する要件は以下の通りです:

  • USB 2.0伝送はオプションとなる(USB 2.0に対応していない場合、USB 2.0に速度低下するとビルボードがポップアップして通知されます。)
  • Vbus、Vconnは対応しない(Vbus、Vconn、GND wiresはない)
  • OIACの両端に接続されたUSBデバイスはセルフパワーが必須となる
  • DP Alt Mode およびUSB4 Gen4の非対称通信モードはオプションとなる
  • Thunderbolt 3に対応することが必須となる

 

OIACに接続するホスト/デバイスの要件は以下の通りです。

  • OIACの両端に接続するUSBデバイスは、ソースVconnであることが必須となる
  • OIACの両端に接続するUSB デバイスは USB Power Delivery をサポートすることが必須となる
  • OIACの両端に接続するUSBデバイスのうち、1つはDR_SWAPを実行することが必須となる
  • OIACの両端に接続するUSB機器のUSB Power Delivery enginesが,USB Power Deliveryの転送遅延を受け入れることが必須となる

 

 3. USB Power Delivery認証 

USB-IFでは、各製品のVDOについて具体的に言及し、明確な方向性を示しています。関連情報は以下となります。

 

 4. USB4認証 

USB-IFはこの前、USB4最終製品がUSB部分の認証テスト項目について更新しました。ユーザー体験の向上を図るため、USB-IFは、USB4チップ製品のみ適用されていたテストを、USB4最終製品にも認証取得の要件とすることを決定しました。

 

USB4製品は、USB3、DisplayPort、PCIeなど、異なるトンネルを持っており、これらのトンネルをHub/DockやPeripheral Deviceを介して各コネクタに変換し、それぞれの標準最終製品と接続します。そのため、USB4の互換性要件は非常に厳格であり、USB4 Interopのテストには3週間かかると述べられています。

 

USB4製品をUSB3.2またはUSB2.0の速度で使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • USB 3.2またはUSB 2.0の速度で動作する場合、USB4の機能を発揮できるUSB device classを使用すべきですが、より低いパフォーマンスが許容される
  • USB3.2またはUSB2.0の速度で動作する際に、USB device classでUSB4の機能を発揮できない場合、USB Billboard Device Classを使用してポップアップ表示を行い、エンドユーザーに製品の機能が制限されていることを警告することが必須となる
  • USB4がPCIeトンネリングでデータ転送し、USB3.2またはUSB2.0の速度に低下した場合、データ転送はMSC Classに変換し行われる(パフォーマンスが低下することを許容します)。
  • USB4 がグラフィックカードのデータ転送に PCIe トンネリングを使用し、USB3.2 または USB2.0 の速度に低下した場合、それに代わる同等の機能がないため、USB Billboard Device Class を使用する。

 

USB4 Version 2.0の認証については、USB-IFはVersion 1.0で策定したテスト項目とツールを引き続き使用し、Version 2.0で追加された新機能は新しいテスト項目とツールで検証する予定です。当認証はVersion 2.0とVersion 1.0の区別ではなく、USB4コンプライアンスプログラムのみとなります。

USB-IFにより、USB4 Version 1.0製品の認証を継続しますが、V1製品とV2製品に対する新しいテスト項目がまだ定義されていないため、猶予期間中は一時的に免除されることになります。USB4 Version2.0認証スケジュールは以下の通りです。

 

USB Type-C Active Cablesテスト項目にご興味がある方はActive Cable Work Groupにお気軽にお問い合わせください。

今回の発表内容についてご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

アリオン株式会社 お問い合わせ窓口:service@allion.co.jp

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※ 2 USB4® and USB Type-C® are registered trademarks of USB Implementers Forum.

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