Allion Labs / Joseph Lin

コンピュータの発明以来、メモリはコンピュータプラットフォームにおいて不可欠な役割を果たしてきました。メモリはメインメモリと外部メモリに分けられ、メインメモリとは、中央処理装置(以下CPU)が直接アドレス指定できるストレージスペースです。主な機能は、CPUが処理するデータを一時的に保存し、CPUがデータにアクセスする際に使用されます。外部メモリとは、ハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)など、コンピュータでのアクセス速度が遅い記憶媒体を指し、私たちが普段使っているオペレーティングシステムや各種ソフトウェアは、外部メモリに保存されています。

メインメモリは、コンピュータプラットフォームでCPUと外部メモリの間のブリッジの役割を果たしています。コンピュータアーキテクチャにおいて、CPUの計算速度は非常に高速ですが、一方でHDDまたはSSDのストレージ速度は非常に低速です。そのため、CPUと外部ストレージメモリの間に、高速バッファデバイスが必要となります。

CPUがデータを処理する際、まず外部記憶メモリからCPUが処理するデータを取り出してメインメモリに一時的に保存し、その後CPUが処理する際にデータがCPUに高速転送されるため、途中の待機時間が大幅に短縮されます。この様に、メインメモリはコンピュータプラットフォームで非常に重要なブリッジの役割を果たしています。

図1:メインメモリには、CPUと外部メモリの間の重要なブリッジの役目がある

最近のコンピュータプラットフォームでは、メインメモリに高速性と拡張性が求められるため、ほとんどの場合で複数のメモリチップで構成されるDual In-line Memory Module(以下DIMM)などのメモリモジュールの形式がとられています。この記事では、DIMMをメインとしてお話しします。

図2:メインメモリのイメージ

DIMMの信頼性検証

現在のコンピュータプラットフォームではメモリが必要不可欠であり、複数のメモリチップで構成されるDIMMは更に重要です。情報化社会の進展により、私たちの生活の多くはコンピュータと密接な関係にあるため、コンピュータプラットフォームのDIMMの重要性が一層増しています。

近年はデータ量が膨大になっているため、データ処理の速度が重視されるようになり、またメモリモジュールの高速化や大容量化も進んでいます。JEDECが発表したDDR4メモリの最高仕様はDDR4-3200に達し、DDR4の単体容量も256GBに拡張しています。

DIMMの高速化と大容量化に伴い、メモリモジュールの信頼性がますます重要となっています。メモリモジュールの信頼性が不十分な場合、コンピュータが故障したり、更にはデータにエラーや破損が発生します。

DIMMの信頼性検証は、以下の様にいくつかの方向に分けることができます。

1. アセンブリテスト(Assembly Test)

組み立てられたメモリモジュール(DIMM)に対して、基本的な読み取り・書き込みテストを行い、モジュールの各ピンの機能が正常であるかどうかを確認します。

Test Patterns

Walk Address Test
(Address Line Test)
Walk Data Test
(Data Line Test)
CS Test
CKE Test
DQM Test
DQSN Test
ODT Test

2. 機能テスト(Functional Test)

テストされたDIMMが、アセンブリテストで完全に合格すると、続けて機能テストが行われます。テストでは、様々なデータロードを使用してモジュール上の各メモリチップの読み取り・書き込みが行われ、各チップのステータスが正常かどうかを確認します。

Test Patterns

MATS MARCH_M
MATS+ MARCH_U
MATS++ MARCH_X
MARCH A MARCH_Y
MARCH B Moving Inversion (MOVI)
MARCH C Checkerboard
MARCH G Hammer Read (Hammer Test)

3. SPDプログラミングテスト(SPD Programming Test)

メモリ上のSPD(Serial Presence Detect)チップで書き込み・読み取りテストを行い、SPDチップが正常に機能しているかどうかを確認します。

Test Patterns

SPD Read Test
SPD Write Test
SPD Verify Test
SPD Address Test
SPD Event Test
EEPROM ID Check

4. 電圧と温度の4象限変化テスト(4 Corner Test)

DIMMの電圧と温度を極限値まで調整し、極限状態でのメモリモジュールのパフォーマンスの信頼性をテストします。温度と電圧の組み合わせは4つあります。

  • 温度範囲:低温– 高温(テスト温度は製品仕様とアプリケーションシーンによる)
  • 電圧範囲(DDR4):低電圧 – 高電圧(テスト電圧は製品仕様とアプリケーションシーンによる)

5. システム全体の統合テスト

個々のハードウェアに対する上記のテストに加えて、DIMMのアプリケーションシーンによって、様々なインストールの組み合わせ(DIMM per Channel、略DPC、チャネル毎のDIMM)、パフォーマンステスト、ストレスや安定性テスト(Stress/Stability Test)等、システム全体にインストールされているDIMMの統合テストを検討する必要があります。

主にMemtest86とPrime95を使用して、システム全体の信頼性検証を提供します。お客様のアプリケーションニーズに応じて、システム検証中にシステムアタッチメントを調整し、マシン全体の様々なシステムの信頼性検証の条件と環境をカスタマイズすることも可能です。

アリオンのメモリモジュール検証サービス

DDR4メモリモジュールは、現在メインで市場に流通している商品です。アリオンには2つのDDR4メモリモジュール用の独立したテストプラットフォームがあり、DDR4 UDIMMおよびRDIMMの信頼性検証サービスを提供しています。

特定の検証ニーズに対し、検証の方向性を調整し、テスト項目をカスタマイズすることで、信頼性検証要件を確実に満たすことができます。また、アリオンの豊富なシステムサイドの検証能力により、包括的な統合テスト検証も提供することができます。

  • CST Eureka 2933 DDR4 Memory DIMM module Tester

高速且つ正確な検証サービスを提供します。

図3:テスト設備のイメージ

  • TurboCATS TCIII-3200ST DDR4 DIMM module Tester

各種プリセットテスト項目に加え、特定の検証ニーズに合わせて、検証方向の調整やテストパターンのカスタマイズを行うことができます。

図4:テスト設備のイメージ

アリオンのメモリモジュール検証サービスについてご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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