Allion Labs/ Alvin Tsai & Chris Wu

前回のシリーズ文章では、「TR-398室内Wi-Fi性能テスト基準」(以下、「TR-398規格」といいます。)の背景情報及びこのテスト基準が発表される重要な意義を簡単に紹介し、またTR-398規格の影響範囲からはじめ、環境構築及び要件設定等をわかりやすく説明しました。今回は前回に引き続き、TR-398規格内のテスト項目である伝送容量を説明していきます。

カテゴリー2:伝送容量(帯域幅)(Bandwidth

2-1.マルチユーザーとの接続テスト(Maximum Connection Test):必須項目

32台のデバイスが無線APに同時接続されている時でも、接続が途絶しないことを確保でき、且つパケットロスを最小に抑えることができるかどうかを検証することを目的とします。

 

 

テスト基準

テスト基準:

  • 各テスト配置に対し、各システムのパケットエラーレート(PER)は、1%未満であること。
  • 各テスト配置に対し、全ての接続システムの総スループットは、次の事項に適合すること。
    • 32台の接続システム(11n)に対し、ダウンリンクとアップリンクの合計スループットは、64Mbps×99%以上である。
    • 32台の接続システム(11ac)に対し、ダウンリンクとアップリンクの合計スループットは、256Mbps×99%以上である。

 

2-2.極限性能テスト(Maximum Throughput Test):必須項目

これは、短距離内で測定してテスト対象物の極限性能を見つけ出すことを目的とし、設備のデータ伝送能力を評価する指標です。

テスト基準

テスト基準:

テスト内に使用されるGIに基づき、測定された平均スループットは、下表の性能要件を満たさなければなりません。

Wi-Fi Configuration (DUT)Wi-Fi Configuration
(Peer STA)
Bandwidth(MHz)Downlink throughput requirement (Mbps) GI=400nsUplink throughput requirement (Mbps) GI=400nsDownlink throughput requirement (Mbps) GI=800nsUplink throughput requirement (Mbps) GI=400ns
802.11n(Nss=2)802.11n(Nss=2)20100909090
802.11ac(Nss=2)802.11ac(Nss=2)80560560504504
テスト例

テスト例:

異なるAPに対して極限性能テストを実施することで、各ベンダーの製品を比較し、同一条件において明らかな違いがあることがわかります。

 

2-3.エアタイムフェアネス(Airtime Fairness Test):必須項目

エアタイムフェアネスは、低速なデバイスのネットワーク時間を犠牲にすることによって、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させる機能です。信号の長距離伝搬または障害物の通り抜けにより更に大きな減衰が生じた場合、データレートが低レベルになります。スペース資源を使い切った時、MCSの低いシステムで過大な時間を使用することはMCSの高いシステムにとって公平ではありません。

 

テスト例1

テスト例1:

このAPに複数のシステムを同時接続し、平均パフォーマンステストを行った結果、各システムの最大接続数は、あるべき平均範囲から明らかにずれています。

平均パフォーマンスの予想パス条件:

  1. STA1_throughput_1は、STA2_throughput_1とSTA1_throughput_1の平均値±5の範囲内にあること。
  2. STA2_throughput_1は、STA2_throughput_1とSTA1_throughput_1の平均値±5の範囲内にあること。
  3. STA1_throughput_2は、STA2_throughput_1とSTA1_throughput_1の平均値±15の範囲内にあること。.
  4. STA1_throughput_3は、STA2_throughput_1とSTA1_throughput_1の平均値±15の範囲内にあること。
テスト例2

テスト例2:

このAPに複数のシステムを同時接続し、最大パフォーマンステストを行った結果、接続パフォーマンスがあるべき帯域幅の数値より明らかに低いことがわかります。

最大パフォーマンスの予想パス条件:

  1. STA1_throughput_1 + STA2_throughput_1は、予想帯域幅速度より高いこと。
    (2.4G: 80 Mbps, 5G: 475Mbps)
  2. STA1_throughput_2 + STA2_throughput_2は、予想帯域幅速度より高いこと。
    (2.4G: 54 Mbps, 5G: 280Mbps)
  3. STA1_throughput_3 + STA3_throughput_3は、予想帯域幅速度より高いこと。
    (2.4G: 50 Mbps, 5G: 230Mbps)

 

今回はTR-398規格内の伝送容量分野に関する3つの必須項目であるマルチユーザーとの接続テスト、極限性能テスト及びエアタイムフェアネスを紹介しました。説明にテスト例を加えることで、テストのパス及びフェイルの条件を印象強く理解できるでしょう。次回のシリーズ文章では、テストカテゴリーである「カバー範囲」及び「マルチユーザーサポート」内の多様なテスト項目及びテスト条件を説明します。アリオンの科学技術文章にご期待ください!