Category Archives: Automotive – Testing Statistics

高級車なのに高級体験なし?対話型インフォテインメントシステム「MBUX」の実機テスト(Bluetooth接続ネットワーク編)

Allion Labs  前回の記事では、MBUXのナビゲーション機能について紹介しました。今回も引き続き、Bluetoothによるネットワーク接続の使用シナリオ評価についてです。 本題に入る前に、スマートフォンをインターネットホットスポットとして、車内でインターネットを共有する2つの主な方法について簡単に説明します。中でも最もよく使用されているのは「Wi-Fiテザリング」で、Bluetoothテザリング(Bluetoothネットワーク共有)はあまり使われていません。 「Wi-Fiテザリング」と「Bluetoothテザリング」の違い  Wi-Fiテザリング  スマートフォンのWi-Fiテザリングは、スマートフォンの4G/5GモバイルネットワークをWi-Fi信号に変換し、アクセスポイント(AP)として車両に接続し、一緒にインターネットにアクセスすることです。Wi-Fiテザリングのメリットは、一対多(通常最大8つまで)の接続が可能であり、転送速度もBluetoothテザリングよりもはるかに速い点です。しかし、電波がさまざまなワイヤレス信号から影響を受けやすく、空気や地形の影響も受けやすいという欠点もあります。Wi-Fiテザリングに接続しているデバイスのダウンロード速度は、一般的にはスマートフォンの30%〜70%程度に過ぎず、接続するデバイスの数が多いほど速度が低下します。また、消費電力も無視できないほどで、スマートフォンでWi-Fiテザリングを有効にした場合、約1時間ごとにスマートフォンのバッテリーが約10%消耗するという統計もあります。  Bluetoothテザリング(Bluetoothネットワーク共有)  スマートフォンのBluetoothテザリングは、スマートフォンの4G/5GモバイルネットワークをBluetooth信号に変換し、車両に接続して共有します。Bluetoothテザリングのメリットは、省電力で、高いセキュリティと互換性があり、有効距離が長く、低コストであることなどが挙げられますが、欠点はネットの速度が1〜3Mbpsであることです。特筆すべきは、Bluetoothテザリングの送信電力と待機電力がWi-Fiよりも低いため、単純に待機状態で1台のデバイスと接続する場合と比較すると、Wi-Fiテザリングは1時間で平均約10%のバッテリーを消費する一方で、Bluetoothテザリングの消費電力はWi-Fiのわずか1/3であることです。 Bluetooth接続ネットワーク編の評価結果  ケース1  ・ 使用シーン:Bluetooth接続によるネットワーク接続を削除したい場合 ・ 問題点:Bluetoothテザリングでインターネットに接続する時に、認証済みデバイスを削除できないことが分かりました。 ・ 正常な機能動作:認証されたネットワークデバイスにスムーズにアクセスし、認証済スマートフォンデバイスを削除するというコマンドを正常に実行できなければなりません。 ・ 考えられる発生原因:タッチスクリーンを押してトリガーコマンドを送信する際、ハンドシェイクプロセス中にスクリーンが入力コマンドを返さないか、車両からのフィードバックコマンドが届いていない可能性があり、これにより機能異常が発生する可能性があります。 [...]

高級車なのに高級体験なし?番外編ーBMW iDriveマルチメディアシステム

Allion Labs  以前寄稿したメルセデスベンツMBUXマルチメディアシステムの記事の中で、近年各自動車メーカーは販促の重要なポイントの一つとして、スマートコックピット機能の豊富さ、利便性、万能性などをメインに打ち出している、と述べました。広告とプロモーションが多く展開されていることから、消費者は自然とスマートコックピットに対する期待を高めており、購入時に重視する重要な機能の一つになっています。 世界で最初に車載インターネット機能を開発した有名な自動車ブランドであるBMWは、2023 BMW X4シリーズでiDrive 7.0のユーザーインターフェースを搭載し、360度ビューカメラシステム、ワイヤレススマートフォン接続システム(ワイヤレスApple CarPlayおよびワイヤレスAndroid Autoを含む)、純正スマート衛星ナビゲーションシステムを搭載しました。中でも最大の特徴は、AI人工知能を備えたスマートパーソナルアシスタントを初めて搭載したことです。ユーザーは、音声操作によりこれまで以上に便利で迅速な関連サービスを実行することができるようになり、技術レベルも前世代と比べて大幅に進化しています。 スマートフォンと車載IVIシステムのワイヤレス接続により、ドライバーの利便性は向上しましたが、使用にあたってまだ潜在的な問題がいくつかあり、それを深く理解する必要があります。前回のメルセデスベンツMBUXマルチメディアシステムの続きとして、今回はBMW X4 30iのユーザーエクスペリエンスを皆さんにご紹介します。 BMW X4 30iのユーザーシナリオ評価 [...]

コネクテッドカーの高性能計算時代の到来に、準備はできていますか?

Allion Labs  コネクテッドカーの開発トレンド 近年世界の車載用半導体チップ市場が急速に成長しています。2023年にモルガン・スタンレーが発表した最新レポートによると、車載ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(以降半導体市場は、今後5年間で3倍に成長すると推定されています。2023年に20億ドルに達する市場全体のポテンシャルは、2027年には60億ドルにまで成長し、年間平均成長率(CAGR)は29%と予想されています。同時に、車載HPCチップのカスタム設計ニーズの増加により、チップ設計サービスプロバイダーの累積収益は、今後5年間で20億ドル以上増加する見込みです。   評価結果 コネクテッドカーの開発トレンドにおいて、高速データ通信と車載HPCは、車両内の各電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)に対し、管理と演算処理を統合する必要があります。さまざまなECUのデータフローや低遅延ニーズに対応するために、車載HPCもPCIe基準およびAEC-Q100認証に準拠したPCIeパケットスイッチャーを装備することで、各エンドポイント間の高速統合や通信、データ転送を実現しています。 「高周波ミリ波レーダー」を例にすると、各レーダーセンサーデータはECUを介して車載HPCのリアルタイム画像処理ユニットに集中します。したがって、この種の高トラフィックリアルタイム画像処理には、転送速度が10Gbpsに達するAutomotive Ethernet MultiGBASE-T1のように、高速、低遅延、高い信頼性、同期性の高いリアルタイム転送インターフェースを搭載する必要があります。 PCマザーボードの概念と同じように、車載HPCはPCIeチャネルを介してCPUやメモリ、I/Oインターフェースを備えたプラットフォーム型アーキテクチャの統合を構築することで、車内のさまざまなECUの通信と処理を制御することができます。 さまざまなタイプの高性能計算と応用例: センサー環境情報のリアルタイム読み取り [...]

高級車なのに高級体験なし?対話型インフォテインメントシステム「MBUX」の実機テスト(カーナビ編)

Allion Labs  近年各自動車メーカーは販促の重要な項目の一つとして、インテリジェントキャビン機能の豊富さや便利さ、万能性などをメインに打ち出しています。広告宣伝の波及効果もあり、インテリジェントキャビンに対する消費者の期待がますます高まっており、車の購入に際して非常に重要な決め手となっています。 より卓越したドライビング体験を提供しつつ、ユーザーの高い期待に応えるため、アリオンは主な自動車メーカーやTier 1サプライヤーからサポートに関する問い合わせを多くいただいています。 製品仕様の策定、品質検証、ユーザーシナリオのシミュレーション、生産ラインへの自動化AIの導入に至るまで、様々な面で協力し、消費者の心にブランドの信頼を確立することを目指しています。 2018年AppleはWWDCで正式にiOS 12をリリースし、CarPlayでサードパーティ製カーナビゲーションシステムのサポートを開始しました。このアップデートが実施されるまで、CarPlayはiPhoneにインストールされているAppleマップナビゲーションでしか使用できず、2019年にリリースされたiOS 13に多機能ダッシュボードモードが追加されたものの、その時点ではまだAppleマップでのみ使用可能でした。サードパーティの地図アプリがダッシュボードモードを使用できるようになったのは、2020年3月にiOS 13.4がリリースされてからです。 カーナビにはGoogleマップとAppleマップのどちらを使う? スマートフォンと車載IVIシステムをワイヤレスで接続すれば、運転時の利便性が向上する一方で、実際の使用に伴う潜在的な問題も発生しやすくなります。そのため各自動車メーカーが新型車で相次いでCarPlay / Android Auto認証を取得しているものの、実際のユーザーエクスペリエンスでは、機能性と互換性の面でまだ多くの課題が残されています。アリオンはユーザー視点から、Mercedes-AMG [...]

期待はずれのインテリジェント自動車キャビンのユーザー体験ー対話型インフォテインメントシステム「MBUX」

Allion Labs  近年各自動車メーカーは販促の重要な項目の一つとして、インテリジェントキャビン機能の豊富さや便利さ、万能性などをメインに打ち出しています。広告宣伝の波及効果もあり、インテリジェントキャビンに対する消費者の期待がますます高まっており、車の購入に際して非常に重要な決め手となっています。 より卓越したドライビング体験を提供しつつ、ユーザーの高い期待に応えるため、アリオンは主な自動車メーカーやTier 1サプライヤーからサポートに関する問い合わせを多くいただいています。 製品仕様の策定、品質検証、ユーザーシナリオのシミュレーション、生産ラインへの自動化AIの導入に至るまで、様々な面で協力し、消費者の心にブランドの信頼を確立することを目指しています。 市場調査機関Canalysの資料によると、2022年に販売された新車の85%以上が、スマートフォンと接続可能な車載プラットフォーム機能を搭載しています。 注目すべきは、現時点で世界の自動車販売を累積したデータによると、800以上の車種がApple CarPlayをサポートしており、500以上の車種がAndroid Autoをサポートしていることです。 高級車ブランドの主要なメーカーであるメルセデス・ベンツも、CarPlayおよびAndroid Autoのサポートを欠かしたことはありません。更に昨年(2022年)Apple WWDC(Worldwide Developers Conference)で発表されたCarPlayの大幅なアップデート共同開発プロジェクトにも参加しています。 [...]