Tag Archives: 試験

HDMI高周波テストフィクスチャについて知っておくべきこと

Allion Labs/Tina Yu 市販されている電子製品の中には、HDMIインターフェースにHDMIのラベル(下図)が貼られているのをよく目にします。このロゴは当該製品が認証試験を合格し、HDMIの管理団体であるHDMI Licensing Administrator, Inc.(HDMI LA)から要求された規格に準拠し、市場で販売することができることを示しています。 (資料出典: HDMI公式サイトhttps://www.hdmi.org/) すべてのHDMI製品はHDMI認証試験に合格しなければなりません。通常HDMI認証試験を行う際に、テストエンジニアは専用のHDMIテストフィクスチャを通じて、各試験項目の手順に従い、必要な電気特性数値及び関連パラメータを測定しPass/Failの判定を行います。HDMIテストフィクスチャはHDMIコネクタの19 pinを取り出し、測定器への信号の橋渡しを行う役目を担います。このため、試験テストフィクスチャは認証試験では極めて重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 HDMIテストフィクスチャにおける潜在的なリスクとは? 優れたテストフィクスチャを用いることにより、自身の特性を排除し、忠実にHDMI製品の電気パラメータを測定することが可能です。一方、欠陥のあるテストフィクスチャを使用する場合、自身の特性がHDMI製品のパラメータに影響を与えてしまい、誤った試験結果となりかねません。 HDMI規格では、差動インピーダンスが75Ωより低い場合はFailと判定します。下図を例として、テスト機器にSMAケーブルのみを繋いだ場合では赤い波形となり問題ありませんが、HDMIテストフィクスチャに接続した場合では、白い波形のように測定結果が75Ωより低くなり、テストフィクスチャ自体には問題があることがわかりました。 [...]

動画がスムーズに再生されない一つの原因はHDMIケーブルなのか?

HDMIケーブルはHDMIを搭載した製品の信号転送に使われています。解像度1080pのコンテンツから4K・8Kコンテンツまで、転送必要な音声、画像などのデータ量が増えています。そのため、視聴したいコンテンツにより、HDMIケーブルも含めて適切なHDMI製品を選ぶことが重要なポイントになります。 優れたHDMIケーブルであれば出力デバイスのデジタル信号をディスプレイデバイスで完全に再現することができます。低解像度の720Pや1080Pのコンテンツを再生する際、多少ケーブルの品質が良くなくても表示できたりしますが、高解像度の4K/8Kのコンテンツを再生する際はケーブルによる良し悪しの差異が顕著に現れます。帯域幅が不足しているケーブルを使用することによって、コンテンツの表示が不安定になったり、点滅したりする場合もあります。 また、使用したケーブルがHDMI2.1の最大帯域幅に満たしていない場合、例えば4K30Hzであれば表示しますが、4K120Hzだと表示できない場合もあります。 HDMIケーブルを購入する際の注意点とは? 2021年のアメリカの小売市場では7,610億ドルにも及ぶ返品総額がありました。その中身を分析したところ、消費者の期待を満たしていないユーザーエクスペリエンスの悪さが主な原因となっていました。 上述のようにHDMIケーブルはディスプレイの表示に深く関係しており、安定した環境でコンテンツを視聴できるように以下にてHDMIケーブルを購入する際の注意点をピックアップしました。 1. HDMI認証を取得しているケーブルを購入する 2.ケーブルは長ければ長いほど信号が減衰するため、15M以上のケーブルを使用する場合、品質が良いとされているケーブルを購入する HDMIケーブルの関連試験にご興味がある方はこちら アリオンでは、HDMI認証試験の実施やその他HDMI性能の確認、HDMIケーブル生産ラインのバリデーション検査など、あらゆる面を網羅したサービスを提供しております。また、コンサルティングサービスの提供やケーブルの設計、高周波信号上の問題などへの対応も可能です。 HDMI製品や検証テストに関するご質問などございましたら、お気軽にアリオンにお問い合わせください。 お問い合わせ窓口 [...]

映像の鮮明さを左右するハイダイナミックレンジ(HDR)

「2010年、秋の夕暮れ時、我々一行はイスタンブールのブルーモスクに到着した。空が徐々に暗くなってゆく頃合い、濃い青の夜空の下で、街路灯に照らされた街並みは非常に美しいものだった。鳥の群れが建築物の中央にあるドームの上空で飛び回るその瞬間、私と友人はカメラを取り出し、その瞬間の美しさを写真に残そうとした。しかし、カメラの機能を調整したり、違う角度から撮影したりしても、捉えた画像は自然さに欠け、肉眼に映った画像をリアルに残すことができなかった。」   上述は、アリオンのシニアテクニカルマネージャーであるリックの旅行感想です。読者の皆様も同じような経験をしたことがあると思います。眼前の光景で感じた感動を写真に残すためには、撮影者本人の高い技術力はもちろん、カメラの性能、外部環境などの条件が整うことが要求されます。このほか、テレビに映る映像と現場で見る場面ではまた大きく異なります。テレビで輝度が低い映像を映し出すときは黒一面しか見えず、逆に太陽の光線が強い場合では白一面しか見えないことがあります。一体何が原因で、視覚効果の差異が発生するのでしょうか。   ハイダイナミックレンジ(High Dynamic Range:HDR) 撮影機材やディスプレイは時の流れによって技術的に洗練され、新しく変わっていきます。しかし、技術開発の制限はまだ存在しており、画面上で表示可能な動的コントラストは肉眼で捉えられる映像と比べると限られています。肉眼では光の位置、暗い場所を明確に判別でき、そして最も明るいところと最も暗い場所を対比して見ることができます。ダイナミックレンジとは、機器が識別可能な明暗比率の幅広さを表す数値のことです。太陽の光があたる場所でも当たらない場所でも目に映る世界をよりリアルに、忠実に再現するディプレイを作り出すため、メーカー各社は映像のダイナミックレンジを広げることを目標としています。そして、ハイダイナミックレンジ技術の技術基準を定めることで、規格の品質を守ろうとしています。   二枚の画像を用いてHRD技術を利用する前と利用後の差を説明します。一枚目の図は、標準的なダイナミックレンジ(図3:SDR)です。一番左側の画像が人の目に映る街の夜景で、真っ黒な背景色と明るく輝くヘッドライトが強烈に対比しています。 シャッターを押したその瞬間から、機器が捉えるダイナミックレンジは人の目に映るダイナミックレンジより縮小し始めます。そしてポストプロダクション、マスタリング等の工程を経ることでダイナミックレンジは更に縮減し、最後に画面表示されるのが一番右側の画像です。その画像はまるで漂白されたように白飛びしてしまい、背景も暗く、ヘッドライトの光線も弱くなっています。   二枚目の図は、ハイダイナミックレンジ技術を利用した図です(図4:HDR)。一番左の画像は図3と同様に肉眼が捉えた街の夜景です。シャッターを押した瞬間から、ポストプロダクション、そしてマスタリングを経て画像を画面表示した後でも、ダイナミック画レンジは同様に保つことができます。夜景の背景色は暗く、バスのヘッドライトも明かる、明暗の対比が明確であり、オリジナル画像に非常に近いものです。   HDR及び関連技術認証 [...]

主要クラウドストレージを徹底比較

情報量の爆発的な増加に直面している現代において人々は情報を求め続けており、データ転送やデータ共有、保存技術もそれに伴って高まってきました。多くの企業がこのトレンドに狙いを定め、発展著しいクラウド技術の波に乗っています。企業はこの新しい「クラウドストレージサービス」(Cloud Storage Service)を次々と打ち出し、クラウド市場という新たに登場した巨大なパイの奪い合いをしているのです。これまで主流だったハードディスクとUSBメモリーに頼ったデータ保存だけでは既に時代遅れであると言えるでしょう。クラウドストレージは、携帯電話、タブレット端末、パソコン及びスマートテレビのように、現代社会に生きる人々の生活の中で最もよく使われるIT技術となりつつあります。そして、その利用シーンとデータ転送技術の全てを一つに融合することで、双方のシームレスなアクセスを可能としているのです。 市場に溢れるさまざまなクラウドストレージの中で、一体どのサービスがどんなニーズに対応しているのでしょうか?機能、パフォーマンス、互換性及びユーザビリティを兼ね備えた革新的なサービスを提供できるクラウドベースのアプリケーションは、新たな問題や困難な課題と、ソフトウェア検証やユーザエクスペリエンス検証のニーズをもたらしています。 アリオンは利用者全員のユーザビリティを満たすクラウドストレージこそが、市場において有効な価値を築くことができると考えています。検証にあたり、市場で代表的な6つのクラウドストレージを選定しました。本稿ではこれらのサービスの比較分析と評価を行っていきます。 注)仕向け国により各社のサービス内容が異なる場合がございますので、日本国内のサービスと若干異なる場合がございます。予めご了承下さい。   クラウドストレージサービスの比較分析 6つのクラウドストレージは、現段階では基本的に全てのサービスを無料で利用可能であり、一部有料で保存容量を増加するなどのサービスを提供しています。無料で利用可能な容量が増えるにつれて、市場競争力は高まるかもしれません。しかし実際の利用シーンに基づいて観察を試みると必ずしもそうとは言えず、ユーザは各々が持つ個人用機器との互換性があるかどうかを重要視しているのが実情だと分かります。つまり、クラウドストレージを利用する場合、データ転送と保存容量だけでは機能とユーザビリティの本領を発揮できるものではないということです。本レポートでは、無料で利用可能なデータ容量に関する検証を除外し、利用状況に沿った検証を中核として、各クラウドストレージのインターフェース、ユーザビリティ、機能性、互換性などについて評価を行うことにしました。 A) インターフェースデザイン(Interface Design) B) アップロードデザイン(Upload Design) [...]

エンタープライズ向けストレージの傾向とSSD性能検証

エンタープライズ向けストレージ機器の変化 昨今、小さくスリムなIT製品が市場を席巻しています。スマートフォン、タブレットからウェアラブルデバイスなどの製品は、個人の行動パターンを変えただけではなく、多くの企業を新しい経営形態へと発展させました。新しいテクノロジーがもたらした利便性に対処するために、リアルタイムでのデータ保存、情報の素早いシェアといった技術の重要性が高くなっています。 多くの企業は大量のデータ保存と読み書きを常に必要としています。多数の製品とサービスを支えるために不可欠なバックボーンとして、クラウドサーバは最も重要な役割を果たします。 一般的な企業におけるエンタープライズレベルのシステム運用は、大きく分けて企業内部の情報システム部門とクラウド・ネットワークサービスの二種類に分けることができます。前者は会社内部で構築、運用、利用している場合とデータセンターに管理を外注している場合があり、利用者は主に社内の人か特定のクライアントです。後者はデータセンターを構築、運用することで、不特定多数の一般ユーザーに情報サービスの提供することができます。 両者は規模と利用対象者に違いがありますが、エンタープライズレベルの運用品質としては両者とも一般家庭や個人システムより遥かに高いもので、24時間体制の高い信頼性と利便性を誇り、大量のデータを大量に保存と読み書きが可能な高いパフォーマンスと安定性を持っています。 エンタープライズ向けストレージシステムの管理において重要なのは、サーバそのものです。ビジネスユースのサーバは、主に演算処理、保存、ネットワークの三つに機能が分かれています。このうち、現在では演算処理速度(CPU、RAM)が保存速度より遥かに高いため、各企業は研究開発のリソースをストレージに投入することで全体のパフォーマンスの向上を図っています。 ソリッドステートドライブ(SSD: Solid State Drive)はその性質上、読み書きがデジタル信号で且つマルチチャンネルで行われるため、ハードディスクドライブ(HDD: Hard Disk Drive)が持つ機械特有の制限がなく、読み書き速度もHDDより早く、消費電力も低く抑えられます。しかし、NAND Flashは単価が高価な上、信頼性と寿命について考慮すべき点があるため、これまではビジネスユースのシステムとしては積極的に利用されていませんでした。 それが、近年ではNAND [...]