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スマートフォンのユーザー・エクスペリエンス最適化検証―音質編(上)

消費者のスマートフォンに対する要求レベルがかなり上がってきています。以前に取り上げたディスプレイやカメラの品質はもとより、スマートフォンで音楽を聞く人が増えていることから、音楽愛好家にとっては音質の良し悪しこそが肝心です。しかし、単純に人の耳で音質の良し悪しを判断するのは主観的であるため、アリオンでは測定機器を用い、減衰、歪み、クロストーク、ノイズといったスマートフォンの音質を解析し、メーカーごとの違いを比較分析してみました。   試験対象 音質(音声周波数)試験は、出力と入力に分けて行いました。 出力の部分は、デジタル信号をアナログ信号に変換する(Digital to Analog、D/A)品質を指し、イヤホンジャック(プリ部)、アンプ(パワー部)、スピーカーは出力試験に属する。 入力の部分は、アナログ信号をデジタル信号に変換する(Analog to Digital、A/D)品質を指し、スマホ内蔵マイク、イヤホンマイクのジャックは入力試験に属する。 この両分野に対し、以下のように測定項目を定めました。 各測定項目の詳細説明は、こちら オーディオ製品用コンデンサ 音質評価分析(上) 標準試験下における差異   [...]

オーディオ製品用コンデンサ 音質評価分析(中)

前回に引き続き、特性の異なるコンデンサをさまざまな角度から測定装置を用いて音質の計測を行い、音質関連の測定項目の相違について試験しています。第一回試験では、PC市場でよく知られている音質試験を用い、この試験では測定周波数を人の耳が識別できる帯域20Hz-20KHzに設定しました。システムによるデコーディング音声信号サンプリングレートを通常の44Kと48Kの二種類としましたが、測定の結果は予想に反し、顕著な差を見出すことはできませんでした。   今回の第二回試験では、サンプリングレートが192KHz帯域のデジタル音声信号を信号ソースとしています。192KHz帯域は理論上、90KHz前後の周波数帯に達することができます。この新しい方法により、80KHzに達するSweep信号生成デバイスを製作し、AES-17フィルターによる40KHz制限の設定を解除しました。 試験は、歪みと周波数応答の二項目にポイントを絞って行うとともに、元来の10K ohmと320 ohm 負荷試験に、32 ohm(ほとんどのイヤホンの規格)の試験を加えました。 画像:帯域制限を緩和し、高周波由来の雑音もフィルタリングしない設定   1. 80KHzにおけるTHD+N(Total Harmonic Distortion Amplitude Plus [...]

ゲーム用ノートPCのノイズと音質測定

ゲーム用ノートPCの性能向上に伴い、ゲーム中に発生するPCの排熱とファン音による騒音の対策が大きな課題となっています。機体の温度が上昇すると、熱を下げるためにファンが高速で回転し、そこから発する騒音がユーザーを不快な気分にさせることがあるからです。アリオンの測定チームは、某メーカーから発売されているゲーム用ノートPCの中から、17.3インチの機種「A1」と15.6インチの機種「A2」の2台をピックアップし、比較試験を実施しました。実施した比較試験項目は以下の2つです。 1.    ノイズ試験 2.    スピーカー出力試験 なお、ノイズ試験ではキーボードのタイピングノイズとシステムが発するノイズの2つの側面から評価を実施しました。   タイピングノイズ(Keyboard Typing Noise) タイピングノイズ試験では、PCに電源に接続されていない状況で、一秒間に3回タイプした場合の音量データを取得しました。タイピングノイズの音量については、文字キーのタイプ時には最大55dB、エンターキーやスペースキーといったファンクションキーのタイプ時には最大60dBを超えないものとすることを基準としています。下図(図1)は実施環境の見取り図です。無響室内に75cmのデスクを配置し、その上に試験対象のPCを設置しました。そのPCのキーボードから5cm離した場所にマイクを設置し、ノイズを取得しました。   図1:タイピングノイズ試験 PCとマイクの設置位置 下記(表1)はノイズ試験の結果です。どの程度のノイズが発生したか、キー毎の計測結果を記載しました。これを見ると、A1とA2のすべてのキーが基準値を下回っていることが分かります。 [...]