Allion Labs/Henry Hung

応答時間(response time)は反応時間とも呼ばれ、信号を受信してから​​処理し、結果を出力するまでにかかる時間を指します。液晶モニターの場合、一般的な応答時間とは、最も暗いところから最も明るいところまでの時間(rise time)と、最も明るいところから最も暗いところまでの時間(fall time)に加えて、グレースケールの変化、つまり、グレーからグレーへの輝度変化時間(Gray to Gray response time)も含まれます。

応答時間測定の他に、もう1つの非常に重要な指標は、オーバーシュート(overshoot)とアンダーシュート(undershoot)です。これは、変調プロセスで信号が期待値を超えること指し、パーセンテージで表示されます。このデータは、応答時間のパフォーマンスにも影響します。

基礎知識を理解した上で、実際にあった事例の測定結果から、豊富な経験知識をもとに、データにどのような潜在的リスクがあるかをお伝えします。以下の表は、32インチ2560×144@165Hzモニターで、5x5xグレースケール画像を測定した結果を示しています。

Rise Time, Fall Time, Gray to Gray Response Time応答時間の詳しい解説

グレースケール応答時間の各項目データを分類して下の表に示すと、平均値は 10.97ms、最も良い値は2.37ms、最も良くない値は20.87msでした。これは文書表示用のモニターであれば許容できるパフォーマンスですが、eスポーツ用のモニターであればパフォーマンスは非常に悪いと言えます。

Avg. Response 10.97 ms
Avg. Rise 10.66 ms
Avg. Fall 11.28 ms
Best 2.37 ms
Worst 20.87 ms

モニターのリフレッシュレートは165Hzです。つまり、1秒間に165フレーム(frame)を更新でき、1フレームの更新(refresh window)に6.06ミリ秒かかります。

上記の表の結果から、画面をgray127からgray191に切り替えるのに2.47ms かかり、応答時間は1フレームの画面更新時間 (6.06ms) を下回り、画面は完全にgray191に変換されます。

frame1: gray 127
frame2: gray 191

ただし、gray127がgray0に切り替わるには20.87msかかり、応答時間が1フレームの画面更新時間よりも大きい場合、gray0画面に切り替わるのに3.44 フレームかかります。

frame1: gray 127
frame2: gray x
frame3: gray y
frame4: gray 0

画面の応答プロセス中にgray xとgray yが見られるのは、一般的な残像(ghosting)です。画面を更新する時間の要件を満たすためにさらに計算が実行され、30%のリフレッシュコンプライアンス(refresh compliance)が得られます。これは、モニターパフォーマンスの70%が不合格であり、残像が発生しやすいことを意味しています。

Refresh Rate 165 Hz
Refresh Window 6.06 ms
Refresh Compliance 30%

応答時間の指標に影響:オーバーシュート / アンダーシュート

次にオーバーシュート / アンダーシュートですが、一般的に液晶モニターのオーバーシュートは20%以下、アンダーシュートは15%以下とされています。

上の図の20つの結果のうち、38.67%と20.80%の2つがオーバーシュートとアンダーシュートの要件を満たしていないことがわかりました。整理すると10%の逆残像率(inverse ghosting rate)を得ることができ、このデータが低いほど、良いパフォーマンスが得られます。

Inverse Ghosting rate 10%

2 / 20 x 100% = 10 %

 逆残像とは? 

まずオーバードライブ(overdrive)の技術を理解する必要があります。液晶モニターでより良い応答時間を得るために、液晶ピクセルに電圧を印加することによってフリップ速度を速くし、応答時間を速くします。これがオーバードライブ技術です。

応答時間は短縮されましたが、トランジションの明るさが想定していた範囲を超えたため、ピクセルが想定値に戻って調整されました。

この調整プロセスで移動する物体を追加すると、明るすぎたり暗すぎたりすることで光と影が生成されます。下の図に示すように、過剰なオーバーシュートにより、物体の左側に逆残像の現象が発生します。

まとめ

eスポーツ用モニターの高パフォーマンスを判断する要素として、より速い応答時間の他にも、画面リフレッシュレートのコンプライアンスも重要な指標であり、電圧を過度に上げることによって引き起こされる過剰なオーバーシュート反応を避けるために、バランスを取る必要があります。

応答時間のパフォーマンスの測定に加えて、包括的なモニターパフォーマンスを得るためには、多くの項目(例: デルタ E、ガンマ、色域、均一性など) の測定を検討する必要があります。アリオンは長年にわたりモニターテストを行ってきました。ユーザーからの評価を確立し、ブランドイメージを高め、優れた製品価値を生み出すために、リリース前に製品を総合的な検証・評価することをお勧めします。詳細な情報や関連する製品検証が必要な場合は、オンラインフォームからお気軽にお問い合わせください。