Allion Labs / Franck Chen

スマートテレビのネットワーク接続機能の重要性

スマートテレビは、ウェブブラウジング、オンラインゲームプラットフォーム、動画配信などのサービス以外にも、Googleアシスタント、Alexaなどのビルトイン音声アシスタントを介して、ユーザーと対話することもできます。また、自宅のスマート家電を制御するスマートホームのハブとして使うこともできます。

スマートテレビがこうした機能を実行するにあたり、不可欠なのは「ネットワーク接続」機能であり、特に最近ではほとんどのユーザーが「Wi-Fi」を使用して接続しています。つまり、Wi-Fi接続とは、スマートテレビの脳と神経ネットワークのようなものです。この機能が不安定だったり問題があったりすると、ユーザーは、テレビメーカーが打ち出しているスマートテレビの「スマート」な能力に大きな疑問符を付けるでしょう。

スマートテレビWi-Fi接続問題とは

前述した様に、今日のスマートテレビは、更に多くのアプリケーション機能とデバイス接続をサポートしていますが、環境内でのワイヤレス干渉も増えてきており、様々な要素が組み合わさって何千もの問題が生じています。

メーカーが製品の開発やテスト中に、様々な使用シナリオや環境的干渉、デバイス接続の多様性に対する想定が不十分な場合、次の厄介な2つの問題に直面しやすくなります。

1. 製品がリリースされる前に、隠れている深刻な問題を発見することができず、その結果、ユーザーがクレームを言ったり悪いレビューをつけてしまう

2. ユーザーからクレームを受けた後、問題を再現できず、長期間問題を解決できない

アリオンはテレビテストで10年以上の経験があり、色々な主要ユーザーシナリオを、迅速、正確且つ効率的に策定し、お客様の「潜在的リスクの早期発見」や「ユーザーからクレームを受けた問題の再発防止」をお手伝いします。

近年多くのお客様から相談を受けています。以下では、アリオンの専門性とアドバンテージを活かし、お客様の課題解決をサポートした例をご紹介します。

事例共有

 ■ テスト背景 

お客様からテストの委託を受け、お客様の代わりに最大スループットテスト用に5つの無線APを選び、それらを競合他社と比較しました。

 ■ 製品問題点 

お客様の製品の「特定のモデルのWi-Fiチップ」に、互換性やアンテナ設計の問題が潜んでおり、その結果「特定のモデルのAP Wi-Fiチップ」で測定されたスループットデータが、他のテレビのスループットデータよりもはるかに低いです。

 ■ クレームリスク:★★★★☆ 

スループットが低すぎると、ユーザーがストリーミングビデオを視聴するときに深刻なフリーズが発生する可能性があります。また、選んだ無線APは市場でトップ10のブランドであり、お客様の製品が発売された後、ユーザーからクレームを受けるリスクが非常に高いと考えられます。

 ■ 本テストの測定条件 

 ■ テスト結果と分析 – 概要 

5台の無線APと接続したテスト平均結果によると、「DUT1」および「DUT2」が2.4G – 20MHzにおける測定したスループットデータは、他の製品よりも低くなっています。

◆スループット問題を分析(1):Chip VS Distance 

以下、DUT1、DUT2及び無線APブランドA、B、Cに対し実験と分析を行いました。

① さらに調査を進めた結果、DUT1とDUT2は同じWi-Fiチップを使用していることが判明した

②テレビと無線APの距離を1mから0mに移動させて検証したところ、測定したスループットが向上した

③無線AP Brand-Cのデータで改善が見られるが、比較すると明らかに不十分である

④機種は違うが③と同じチップの無線APで追加検証を行ったところ、同じ現象が測定された

◆スループット問題を分析(2):Data Rate 

Data Rate-TXについては、ログを見てみると、スループットが低い理由の1つとして、無線APが1つのアンテナだけを介して送信していることが分かります。

◆スループット問題を分析(3):RSSI(Received Signal Strength Indicator、電波強度) 

最後にRSSI分析の観点から見ると、信号が強い状況下で、測定されたスループットは増加せず逆に減少しています。 当社のテスト経験によると、これは信号の過飽和の問題が原因である可能性があり、ソフトウェアとファームウェアモジュールを交換またはアップグレードすることで改善することができます。

まとめ

上記の検証結果を受け、アリオンは、テレビのWi-Fiチップに潜在的なテレビと無線AP間の相互接続性またはアンテナ設計に問題があることをお客様に報告しました。その後に、お客様はテレビの Wi-Fiチップモジュールをすぐに交換し、アリオンのテストレポートと提案についてお褒めの言葉もいただきました。

よく「良い仕事をするためには、まず良い道具を準備する必要がある」と言う通り、アリオンは、ワイヤレステスト設備と環境に数百万ドル規模で投資しており、他社では真似できないトップブランドの無線AP(200台以上)と周辺機器(1000台以上)も提供しています。アリオンではあらゆる方向からお客様の製品が抱える潜在的な問題をチェックすることができます。

更に、アリオンが自社開発したACSTS(Allion Critical Scenario Test Solution)自動化テストキットを使って、低確率、長時間、正確な測定などといった様々な問題の解決をサポートします。

Wi-Fiに対応するあらゆる製品(テレビ/セットアップボックス、ノートPC、スマートフォンなど)の不具合問題でお困りの場合は、オンラインフォームからお気軽にお問い合わせください。