Allion Labs / Chris Wu
前回はThreadについて簡単に説明しました。今回は、Threadに関連する認証サービスをご紹介します。
Thread認証のバージョン
現在ThreadはV1.1、V1.2、V1.3の3つのバージョンに分かれており、製品はいずれか1つのバージョンに対して認証を取得することができます。これら3つバージョンに対するテストはそれぞれ独立していますが、下位バージョンをサポートする必要があります。
例えば:
- Thread V1.2認証を取得したい場合、Thread V1.1およびV1.2認証テストに合格する必要がある
- Thread V1.3認証を取得したい場合、Thread V1.1、V1.2、およびV1.3認証テストに合格する必要がある
- Matter認証を取得したい場合、必ず Thread V1.3認証テストに合格する必要がある
Thread V1.1 Testing
(Foundational) |
Thread V1.2 Testing
(DUA, multicast, low power) |
Thread V1.3 Testing
(Wi-Fi / Ethernet host connectivity) |
|
Thread V1.1 Certification | 必須 | 不要 | 不要 |
Thread V1.2 Certification | 必須 | 必須 | 不要 |
Thread V1.3 Certification | 必須 | 必須 | 必須 |
Thread認証取得の流れ
Thread認証テストのフローには、会員申請、プレテストの実施、CID(Certification ID)の取得、本認証の実施、テスト審査、製品認証証明書の授与があります。以下、詳細な手順説明です。
1. 会員登録:
認証テストを申請する前に、協会会員に登録する必要があります。会員には主に3つのレベルがあり、違いは以下の通りです。
Sponsor | Contributor | Implementer | |
Inheritance | 可能 | 可能 | 可能 |
ATL Testing /Pretesting | 可能 | 可能 | 不可能 |
Internal Pretesting | 可能 | 可能 | 可能 |
Test Bed | 別途有償 | 別途有償 | 別途有償 |
Test Harness Software | 無料 | 無料 | 別途有償 |
(Source: Thread Group)
ここで注意すべき点は、Implementerレベルの会員は、新製品の認証テスト(ATL Testing)を実施することができず、認証済みの製品やコンポーネントを使って継承(Inheritance)認証テストを実施することしかできないことです。
2. プレテストの実行:
プレテストは、メーカー自ら実施することができます。環境設備が完全でない場合は、アリオンのようなThread認証試験機関と協力してプレテストを実施することができます。
3. CIDの取得:
各製品をテストに送る前に、関連する製品情報を全て書類に記入し、協会に提供する必要があります。協会は情報を確認した後、CIDとしてその製品に番号を割り当て、このCIDは製品の専用IDとして使用されます。
4. 本認証の実施 (ATL Testing):
適切な認証テスト機関を探す際、長たらしいテスト認証スケジュールを短縮するため、製品をより詳しく理解し、テスト中に問題が発生すれば迅速に修正できるような、長期的に協力できる認証機関を選択することをお勧めします。
5. 審査:
テスト完了後、テスト報告書の結果を協会に提出し、完全性と正確性の確認を受けます。協会はテスト結果をもとに必要に応じて、追加データの審査、データ収集やテスト分析を行う場合があります。
継承(Inheritance)認証を実施する場合、認証機関を通じて認証テストを実施する必要はなく、関連する継承書類を記入し、協会に提出して審査を受けるだけで結構です。
6. 製品認証証明書の授与:
製品がテストを完了し合格すれば、正式な証明書が発行され、Threadロゴ(Thread Certified Component または Built on Thread)を使用することができます
(Source: Thread Group)
Threadはインターネットプロトコル(IP)の技術プロトコルを採用しているため、様々なIPプロトコルをサポートするアプリケーション層に接続することができます。以下の図は、ThreadがMatter、DALI+、HomeKitなど、様々なIPプロトコルに基づくアプリケーション層をサポートしていることを示しています。ユーザーは、任意のアプリケーション層を一つ選択して、自身に属するアプリケーション層を開発することもできます。
Threadテスト認証を取得するメリット
1. 製品の信頼性向上:認証テストに合格することで、製品がThread規格に準拠していることが保証され、製品の信頼性と安定性が向上します。これにより、メーカーや消費者は製品が技術標準規格要件を確認することができ、故障や問題を減らして製品の品質を向上させることができます。
2. 製品の互換性の確保:認証テストに合格することで、規格に準拠した製品同士が相互に通信および操作できることが保証されます。これは、各メーカーの製品が、それぞれ別々の技術要件や規格を採用している場合があるため、多くのスマートホーム製品にとって非常に重要です。認証テストに合格することで、様々なデバイス間の相互通信の互換性を確保することができます。
3. 製品の市場競争力の向上:認証テストに合格することで、製品が高品質で信頼性を備えていることが示され、企業や消費者の関心を引き購入を促すことができます。
アリオンが選ばれる理由
アリオンは、Thread Group協会が正式認定した第三者機関のテスト認証ラボ(ATL)として、高品質で専門的なテストサービスを提供し、お客様の製品がThread規格および要件、通信プロトコル、データ形式、コマンドなどに準拠することを保証するお手伝いをしています。
当社ではThread認証試験および関連するサービスを提供することができます。
- Threadプレテストおよび認証テストサービス
- 技術相談及びコンサルティング
- 相互接続性・運用性テスト
ワイヤレス信号に対するテストについては、乱雑な信号がテスト結果に影響を与えるのを避けるため、専門のテスト設備と環境を完備しています。
Thread認証テストに合格すれば、製品にThread認証マークが与えられます。これは製品がThread規格および要件を満たしていることを証明する重要なマークであり、スマートホームおよびIoT市場への参入に必要な条件の1つです。
アリオンはBluetooth、Wi-Fi、Thread、Matterなどの公式第三者認証テストラボです。豊富なノウハウとテスト経験を持ち、お客様が製品の初期段階で問題を発見し、すぐに調整や最適化を行うサポートをすることで、製品開発スケジュールの迅速化と開発コストの削減を実現します。
本記事の内容やテストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームからお問い合わせください。
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