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スマートディスプレイブランドのODM品質管理の盲点:AI自動化テストで入力切替時のノイズ課題を解決

アリオンの34年間の実績経験から見る本質的な課題:ODM検証におけるギャップ ユーザーがリモコンを操作して HDMI、DisplayPort、USB-Cといった異なる信号源を切り替える際、本来期待されるのはシームレスでスムーズな映像体験です。しかし、研究開発と製造のすべてをODMに委託している多くのブランド企業様は、独立した検証リソースや品質管理メカニズムを欠いているため、製品が市場に出て初めて問題に気づくことも少なくありません。一見単純に思える信号源の切り替え動作も、実際にはODMの不十分な品質管理プロセスによって、偶発的なノイズや画面異常を引き起こし、ユーザー体験に直接悪影響を及ぼすだけでなく、ブランドの信頼危機に発展する可能性があります。 アリオンが34年にわたり蓄積してきた実績の知見によると、こうした課題のメインポイントは、「品質検証のギャップ」にあります。特にODMに依存するブランド企業様は、独立した検証リソースや専門技術を持たないため、ODMが提供するテストレポートに頼らざるを得ません。結果として、問題が表面化する前に有効な品質管理を行えず、製品リスクを増大させるだけでなく、ブランドの評判を損なう潜在的な危険性を抱えることになります。本事例では、お客様がAllion AV-AI 自動化検証ソリューションを導入し、数百回に及ぶ入力端子切り替えの自動テストを実施することで、問題の原因を正確に特定することに成功しました。その結果、検証期間を8日間から2日間に短縮し、データレポートを作成することができました。 Golden Qualification MethodologyとAV-AI自動化の組み合わせ:検証の正確性とスピードを向上 ある有名なスマートディスプレイブランドがアリオンの専門家チームに相談いただいた際、最新のスマートディスプレイ製品の研究開発と製造のすべてを中国のODMに一任していることを明かしました。表面上はコスト効率が良いものの、実際には重大なリスクが潜んでいました。当社が品質検証の管理状況を尋ねると、担当者は以下の現状をいいました。 自社検証ラボがない 品質管理は全面的にODMのテストに依存している 実行結果のレポートには具体的な実証データが不足している 当社は、長年にわたり培ってきたゴールデン基準テストメソッドと Allion [...]

オーディオ製品用コンデンサ 音質評価分析(中)

前回に引き続き、特性の異なるコンデンサをさまざまな角度から測定装置を用いて音質の計測を行い、音質関連の測定項目の相違について試験しています。第一回試験では、PC市場でよく知られている音質試験を用い、この試験では測定周波数を人の耳が識別できる帯域20Hz-20KHzに設定しました。システムによるデコーディング音声信号サンプリングレートを通常の44Kと48Kの二種類としましたが、測定の結果は予想に反し、顕著な差を見出すことはできませんでした。   今回の第二回試験では、サンプリングレートが192KHz帯域のデジタル音声信号を信号ソースとしています。192KHz帯域は理論上、90KHz前後の周波数帯に達することができます。この新しい方法により、80KHzに達するSweep信号生成デバイスを製作し、AES-17フィルターによる40KHz制限の設定を解除しました。 試験は、歪みと周波数応答の二項目にポイントを絞って行うとともに、元来の10K ohmと320 ohm 負荷試験に、32 ohm(ほとんどのイヤホンの規格)の試験を加えました。 画像:帯域制限を緩和し、高周波由来の雑音もフィルタリングしない設定   1. 80KHzにおけるTHD+N(Total Harmonic Distortion Amplitude Plus [...]

ゲーム用ノートPCのノイズと音質測定

ゲーム用ノートPCの性能向上に伴い、ゲーム中に発生するPCの排熱とファン音による騒音の対策が大きな課題となっています。機体の温度が上昇すると、熱を下げるためにファンが高速で回転し、そこから発する騒音がユーザーを不快な気分にさせることがあるからです。アリオンの測定チームは、某メーカーから発売されているゲーム用ノートPCの中から、17.3インチの機種「A1」と15.6インチの機種「A2」の2台をピックアップし、比較試験を実施しました。実施した比較試験項目は以下の2つです。 1.    ノイズ試験 2.    スピーカー出力試験 なお、ノイズ試験ではキーボードのタイピングノイズとシステムが発するノイズの2つの側面から評価を実施しました。   タイピングノイズ(Keyboard Typing Noise) タイピングノイズ試験では、PCに電源に接続されていない状況で、一秒間に3回タイプした場合の音量データを取得しました。タイピングノイズの音量については、文字キーのタイプ時には最大55dB、エンターキーやスペースキーといったファンクションキーのタイプ時には最大60dBを超えないものとすることを基準としています。下図(図1)は実施環境の見取り図です。無響室内に75cmのデスクを配置し、その上に試験対象のPCを設置しました。そのPCのキーボードから5cm離した場所にマイクを設置し、ノイズを取得しました。 下記(表1)はノイズ試験の結果です。どの程度のノイズが発生したか、キー毎の計測結果を記載しました。これを見ると、A1とA2のすべてのキーが基準値を下回っていることが分かります。 Note: Background sound (2nd pre-test): [...]