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CES2017直撃! 次世代技術の動向に迫る

2017年1月5日から8日にかけ、今年で50周年を迎えた世界最大規模の国際家電ショー、CES(Consumer Electronics Show)がラスベガスで開催されました。出展企業は過去最大の約150か国、3800社。来場者を含む17万人が参加し盛大に行われました。従来、CESはコンセプト展示が中心でしたが、今年は量産型モデルも数多く展示されていました。一番の注目はVR製品で、展示数は昨年比で79%増となりました。自動運転技術(ADAS)、車載デバイスなども人気で、展示スペースは約20万平方m以上割り当てられていました。CESの視察を通して、最先端製品を中心に9つの次世代トレンド予測を立てました。   自動車メーカーが積極的に出展 ADASなど最先端技術を各社が競う 今年は自動運転車に関するブースが昨年より増え、10ブース展示されていました。新興EVメーカーFaraday Future(ファラデー・フューチャー)がCES 2017開幕前のプレス向け発表会で、初の市販モデルとなるSUV型EV「FF91」を発表しました。FF91のEVとしての性能は、走行距離約608km、加速性能0-60mph、0-97km/h加速でメーカー公表値2.39秒をマークしています。また、ライバルであるテスラのModel Sとの比較走行試験の動画が公開されました。 FF91は運転手の顔認識システムや、車内温度と運転席の高さの自動調整機能、さらに、音楽、動画のカスタマイズ機能を備えています。また、ドライバーの降車後に車が自動的に駐車スペースへと向かう「駐車アシスト機能」も搭載されています。実際のお披露目では、現場の駐車スペース確保に問題があったため、本来のパフォーマンスができず、残念な結果となりました。 Faraday Futureは、ホームページ上で「FF91」の販売予約を開始   ホンダは「Cooperative Mobility [...]

CES 2015で見えた未来の技術トレンドとは? – CES 2015参加報告

CES(国際家電ショー)で毎年注目を集めていたスマートフォンですが、2015年のCESでは人々を驚かせるような新製品はどのメーカーからも発表されませんでした。スマートフォンは既に技術的に成熟していると見られており、各メーカーの製品には大きな違いがなく、また革新的な技術も見られません。一方で2014年に続いて2015年の展示会でも最も注目度が高かったのはウェアラブル端末でした。アリオンはこの最先端製品に焦点を当てて、未来のトレンドに関する4つのポイントを整理しました。 1. センサーとスクリーンの普遍化 将来的にはスクリーンとセンサーが至る所に溢れることになると考えられています。例えば寝室のスマートミラー、調理台を映し出すキッチン用プロジェクター、巨大なデジタル看板など、携帯可能な小型サイズから大型のスクリーン、更にはコンピュータで制御された自動車に至るまで、すべてが通信制御できるようになることでしょう。クラウドを利用することで、携帯端末か備え付けの端末かに関わらず、すべてのインターフェイスを制御することが可能となり、製品同士の境界線はますます曖昧になります。 2. 新たな移動手段の登場 新たな移動手段の提案として、電動スクーターが更に進化して電動ローラーシューズとして再構築されるなど、CESでは数多くの画期的な製品を見ることができました。このような製品は手の届かない場所にあるように思えますが、例えばGogoroの電動スクーターは、旅行における新たな移動方法の選択肢を提供しています。 3. スマート家電の拡大 「スマート」と「ネットワーク」の二つは、CESにおいて最も重要なキーワードでした。今やどこへ行っても様々なタイプのセンサーを目にすることができます。例えば玄関の扉では、コンピュータビジョン技術を搭載したカメラが顔認識でゲートを自動的に解錠したり、腰に巻いたベルトがユーザーに対して運動するように促したり、リビングのTVがおすすめの番組の視聴を提案したりします。このような技術は『人間的思考』をベースにしているため、日常生活の中に自然に入り込むことで、『何をするのか自分で考える』というごく当たり前の機械を減らすきっかけになるかもしれません。それ故に考えさせられることもあります。たとえば、人間の思考がネットワークとプログラミングによってコントロールされてしまうような、映画のような未来が現実となってしまうことも、あり得ない話ではありません。 4. 使い勝手を考慮したヒューマンインターフェイス これまでの操作方法といえばマウスとキーボードによる操作が主流でしたが、今では徐々に直感的なジェスチャを使った方法に変わってきています。スマートウォッチ、アイトラッキンググラス(Tobii)、ジェスチャーリング(Ring)やリストバンド(Fitbit)といった製品は、我々の生活の中に徐々に溶け込みつつあります。デザインの力でウェアラブル製品はどんどん洗練され、お洒落な製品として販売されるようになりました。ウェアラブル製品はスマートフォンなど他の製品と組み合わせて利用するケースが多いため、他の製品との接続互換性や、製品同士を連携するためユーザーインターフェースの使い勝手がますます重要な購入要因となることでしょう。 今回のCESでは数多くのネットワーク家電を見ることができました。アメリカの調査機関であるIDCが公表したデータによると、スマート家電市場は2013年から2020年までに年間成長率が17.74%に達し、2020年には517億米ドルの市場規模となることが予想されています。2015年現在、市場は既に新しいスマート家電製品で溢れかえっています。携帯電話を使って電源のOn/Offができるといったこれらの新製品に対して、消費者は欲しいと思いながらどこか思いとどまっている部分があるようです。スマート家電技術をもっと普及させるためには、人々の生活や利用習慣を取り入れることで、よりシンプルでスマートなシステムを提供する必要があります。 スマート家電を開発する際、家庭内には複数の人が暮らしているという点を見落としがちです。アリオンは認証試験と技術コンサルティングの専門機関として、ユーザー利用状況をシミュレーションした包括的な検証サポートを提供します。各種認証サービスや相互接続性試験の豊富な経験を持つアリオンに、ぜひお気軽にお問い合わせください。 G.hn規格とコンティニュア規格の紹介 HomeGridフォーラム(以下HGフォーラム)からアジアで初めて認定を受けた試験場所として、アリオンはCES 2015においてG.hn規格のプロモーション活動をHGフォーラムと共同実施しました。HGフォーラムは次世代の有線ホームネットワーク規格「G.hn」を推進する業界団体であり、世界最大級の通信サービス業社、システム・チップセット製造業者など数多くのメンバー企業で構成されています。CES2015ブースではG.hn規格を組み込んだスマートTVとWi-Fiルーターを展示しました。また、G.hn規格における3種類の主要なシステムタイプ(電源線、同軸ケーブル、電話回線)を含めた複数ベンダー間の互換性機能デモを実施しました。これは、G.hn電源線とPLC(電力線通信)スマートホームシステムを介してHD映像を複数のTVに映すという大規模なネットワークを構築しています。 アリオンのグローバル技術統括本部長であるMark [...]

CES 2014シリーズレポート(2): 戦国時代に突入するワイヤレス給電業界

        ワイヤレス給電技術の業界団体のひとつであるA4WP(Alliance for Wireless Power)は、今年のCES2014でコンシューマー向けのブランドネーム「Rezence」(レゼンス)を大々的に発表しました。第一世代の懸念点だった材料と距離的な制限問題を克服し、最適化された磁界共鳴方式の採用により、広域かつ長距離での給電を複数機器に対して同時に可能となり、ワイヤレス給電の柔軟性が向上しました。加えて、A4WPはPMA(Power Matters Alliance)との提携を発表し、二つの給電方式、「磁界共鳴方式」と「電磁誘導方式」を協同開発に関する合意書に署名しました。この提携は、会員数でも市場販売数量でも業界をリードしているWPC(Wireless Power Consortium)にとって明らかな脅威となりました(これら3つのワイヤレス給電の業界団体に関する更なる情報については、アリオンのトレンド速報「ワイヤレスチャージングが開く新しい世界」をご覧下さい)。 WPC、A4WP、PMAという3団体が激しく対立している原因は、各団体が発表した給電規格の原理が異なることにより互換性が確保できない点にありました。この団体間での非互換問題は市場の混乱を招き、市場を限定してしまうことに繋がります。ワイヤレス給電業界において、電磁誘導方式と磁界共鳴方式があることは、両者の統一に大きな障害となる技術的な問題になっています。 現在のトレンドとしては、WPCが最多の会員数を擁する業界団体であり、対応製品の市場投入も順調です。また、WPCは電磁誘導と磁界共鳴の両方に対応したワイヤレス給電技術の標準化を進めています。このような積極的な活動は、磁界共鳴方式を推進するA4WPと、電磁誘導方式を推進するPMAに対する脅威となることでしょう。こうした危機意識がA4WPとPMAを共同開発に向かわせる間接的な契機となりました。二つの団体が持つ技術が共有されれば、WPCの牙城を切り崩す対抗馬になり得ることでしょう。 WPCが発表しているワイヤレス給電の標準規格「Qi」は現段階においてもなお、距離的な制限がある、給電能力が5Wに限られている、EMIの影響を受けやすい等々、全体の運用プロセスとしては安定していない点があります(「Qi」についてアリオンではWPCワイヤレス給電試験を実施しました。詳細は「The [...]

CES2014レポート:ポスト・スマートフォンの時代 ウェアラブルデバイス

  米ラスベガスで開催された「2014 International CES」(CES2014)を振り返ると、ウェアラブルテクノロジー(Wearable Technology)デバイスは今年の展示物の中でも特に大きな注目を受けた製品でした。各メーカーはスマートブレスレット、スマートウォッチ、スマートグラスといったウェアラブルデバイスを全力でプロモーションしました。機能面において、ウェアラブル技術はこれまでのスマートフォンやテレビのように、ソフトウェアやハードウェアの技術革新を強調するのではなく、人々の生活と深く関わる中で利用される様々な技術をアピールしています。例えば、医療分野とフィットネス分野で新しい需要を喚起することなどが挙げられます。2013年から発展を開始したウェアラブル技術は、僅か1年の間に展示会の主役になりました。 IMS Researchの調査結果では、2011年時点で20億米ドルだったウェアラブルデバイス市場における世界の売上高は、2016年には60億米ドルに達するものと予測されています。出荷台数に関しても、2011年には1400万台程度だった台数が、2016年には1億7100万台にまで増加することが予測されており、今後の大きな市場の発展が見込まれています。 ウェアラブル技術の技術展開を全体的に見てみると、それが無線データ転送技術に関わるBluetoothと、生体反応の精密な感知技術に集中していることが分かります。ウェアラブルデバイスはユーザーの生体反応(脈拍数、心拍数、体温、血圧など)を収集、記録、管理することができ、これらのデータを携帯やクラウドシステムに伝送することが可能です。ここで中心的な役回りを果たすのがBluetooth技術、特にBluetooth 4.0 LE, BLEです。Low Energyモードにより、長時間低電力で継続的な生体反応記録を可能とするこれらの技術は、数あるウェアラブル技術の中で最も優れた無線通信技術に選ばれました。アリオンのBluetooth BQTF ロゴ認証サービスは、Bluetooth技術の通信品質を確保するロゴ認証試験を提供する他、デバイス間の互換性や通信品質など、関連した品質検証を包括してご提供します。 スマートフォン市場が一定の成熟度まで発展した昨今において、これらの技術の応用を用いたウェアラブルデバイスは、コストを掛けることなく製造可能です。ウェアラブルデバイスに求められるのは、身体運動との連携に関わるニーズを満たしたものです。CES2014で分かったのは、ウェアラブルデバイスへの関心はますます上昇していることです。これはSony、LGといった家電メーカーの他、Nike、Adidasのといった著名なスポーツブランドも相次いで特色あるウェアラブルデバイスを発表したことから明らかです。 [...]

新ガジェット、スマートウォッチの時代到来へ

ポストPC時代を迎え、スマートフォン、タブレットPCといったモバイル電子製品が大々的に普及し、各大手メーカーもウェアラブル製品の開発に着手しました。大手メーカーとは具体的にはGoogle、SONY、Nike及びQualcomm等であり、相次いでウェアラブル製品の全体計画作成を開始しております。この中で、スマートウォッチが現在最もホットな商品です。市場には様々なメーカーが発表した幾多のスマートウォッチが存在していますが、全てが消費者に好まれているわけではありません。今年9月末に発表されたサムソン(Samsung)のスマートウォッチGalaxy Gearは、消費者からの悪評が絶えません。メディアによると、Galaxy Gearを購入した消費者のうち、30%が使用後に返品を申し出ています。これは消費者が実際に製品を使用した後、その製品に対する不満がいかに高いかを示しています。HISアナリストはこの製品の欠点を次の3つであると述べています。(1)販売価格が高過ぎる(300 USD)、(2)電池が長持ちしない、(3)互換性が限られており、他メーカーの携帯電話と接続することができない。これにより、スマートウォッチは製品の設計及び開発面において多くの改善点があることが分かります。 図1:サムソンのGalaxy Gearは「一般製品になりすましたプロトタイプ」と批判される (A prototype masquerading as a commercial product)」─Ian Fogg,HISアナリスト 市場にあるスマートウォッチはタッチ式とボタン式、二種類のインターフェースが存在しています。写真閲覧機能があるものや、更には音声コントロールができるものもあります。スマートウォッチのような新興市場に対し、アリオンは検証の専門企業としてスマートウォッチの発展とマーケットトレンドに高い関心を寄せています。現状のスマートウォッチ市場を把握し、製品インターフェースがユーザーにとって扱いやすいものであるかどうかを確認するため、アリオンは三種類の異なるメーカーから発売されたスマートウォッチを用いてテストを行いました。電子製品を熟知した5名のパワーユーザーによるユーザビリティテストを通じ、ユーザーの角度からスマートウォッチの見た目、ユーザーインターフェース、機能性の3つの項目について評価および分析を行いました。 [...]