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IoTアプリケーションの情報セキュリティリスク そのスマートデバイス、本当に安全?

IoTは生活を利便性にしてくれる一方で、セキュリティ面では数多くのリスクを孕んでいます。セキュリティ問題に対し完全な対策を取るのは、製品開発者であっても困難を極めており、近年ではIoTデバイスに対するサイバー攻撃や、情報セキュリティの落とし穴といった問題が続出しています。 「知らない」では済まされない? IoTデバイスのリスク IoTデバイスが遭遇するリスクとはどのようなものでしょうか。例えば、映画の中でハッカーがシステムに侵入して情報を不正に入手するような光景は、現実にも起こり得ることです。デバイスのセキュリティが万全でなければ、攻撃者はネットワークのパスワードを入手してデータを盗み取り、仮定内のIoTデバイスさえも操作できてしまいます。近年普及しているスマートロックやホームセキュリティが攻撃を受ければ、深刻な事態に陥ることでしょう。 次の映像をご覧ください。 この映像からも分かるように、デバイスにパスワードが設定されていても、単純なパスワードであれば数秒で解読されてしまいます。 IoT時代では、どんな無線デバイスでもハッキングされるおそれがあります。スマートロックやホームセキュリティだけでなく、ネットワークカメラ、IoV、無線オーディオ、Mesh APやNASなども攻撃者の標的になり得るのです。 Wi-Fi製品の安全性検証 製品のセキュリティを強化 アリオンは2004年から無線検証の分野で実績を重ねてきました。Wi-Fi Alliance公認の試験機関として、Wi-Fi認証試験や無線デバイスの問題を全面的に解決するとともに、IoTデバイスのセキュリティ保護を強化し、潜在リスクの検出・製品の安全性向上をお手伝いしています。 もはやIoT化は必然的な流れとなっています。様々な業界で技術的なイノベーションやブレークスルーが追求される一方で、メーカー側は慎重にセキュリティ問題に向き合い、リスク管理を行う必要があります。セキュリティ上の懸念点を払拭した上で完成したIoT製品は、ユーザーに便利で安全なスマート空間を提供できることでしょう。 [...]

スマートアシスタント ✕ スマートフォン 互換性検証 結果レポート

(この投稿は前回の続きです) スマートアシスタントはエンタメ情報の提供や天気やレシピといった情報検索、そして家庭内やオフィス、ホテルにあるスマートデバイスの操作や管理といった様々な用途で利用されています。一般的に、スマートアシスタントが命令を実行するためには、無線ルーターと接続してオンライン状態にする、Bluetooth経由でスマートフォンと同期させる、といった他のデバイスとの連携が必要です。 アリオンで接続性を確認するために無線ルーター20台、スマートフォン20台、そしてスマートアシスタント6台を様々な組み合わせでペアリングした際、一部の組み合わせで互換性に問題があることが浮き彫りになりました。今回は、Wi-Fi/Bluetoothの認証を取得した製品であっても、市場にある様々な製品同士による複雑なマッチングによっては、互換性の問題が発生する、という現象について述べています。アリオンが行なったWi-Fi/Bluetoothの互換性検証の結果をベースに、通信遅延、接続の失敗、UXの不一致、製品同士の接続性に起因する機能の欠陥について説明します。   よく使われるスマートアシスタントの機能 スマートアシスタントの機能の中で、成熟期に達している技術はエンターテインメント系の用途(例:音楽、ラジオ等)で、スマートアシスタントを所有する人たちの多くは、これらを利用している傾向にあります。米Voicebot AI.の調査によると、2018年1月には75%を超えるユーザーがスマートアシスタントを経由して音楽を聴いていることがわかります。Kim Bayley氏(CEO of Entertainment Retailers Association)とGeoff Taylor氏(CEO of BPI [...]

スマートアシスタント検証の”イマ” 主要な3つの問題を解説

音声認識は、遠隔操作を行うための方法として、もはや一般的に普及した技術となりました。アマゾン、グーグル、アップルといったITジャイアントたちは、音声認識システムを自前で開発し始め「スマートアシスタント」として市場に持ち込みました。 一般的に、スマートアシスタントは音楽やラジオ放送などエンタメ関連サービスや情報検索(天気、翻訳、レシピなど)などに使われたり、家の中にあるスマートデバイスの操作や管理などで使われたりしています。この”スマート”なアシスタントは、IoT時代を更に推し進めようと試みるメーカー群から熱い視線を浴びています。 例えば、2014年にはAmazonがAlexaを発表、2016年にはGoogleが開発者向け会議「Google I/O」でGoogle Homeを正式に発表しました。そして2017年にはLINEがAIアシスタント「Clova(クローバ)」を発表しています。一方で中国市場では、2016年にJindongのスマートアシスタントであるDingdongが、2017年にはXiaomiとAlibabaがそれぞれXiaoAiとTmall Ganiというサービスを立ち上げました。2018年現在、スマートアシスタント市場はまさに戦国時代と言った様相を呈しています。 優れた機能を持っていると、一方で複雑な検証が必要です。アリオンの様々な試験経験に基づくエキスパートは、スマートアシスタントに起こりがちな一般的課題について、「認識の失敗」、「解釈の間違い」、そして「無線信号の干渉」という3つに分類しました。また、市場にある様々なスマートアシスタントに関する問題を検証するべく、いくつかのトライアルケースを準備しました。今回のブログでは、スマートデバイスが提供するユーザーエクスペリエンスは、製品そのものだけではなく、様々なアプリケーションとも関連する点について記述しています。   スマートアシスタントアプリで見られがちな問題とは 1. 音声の誤認問題 通常、人は初めて部屋に入るとき、照明やエアコンのスイッチの場所を把握する時間が必要です。スマートアシスタントをこうした家電製品の「コントロールハブ」として機能させることで、人々はすぐに照明やTVの電源をつけたり、音声認識でチャンネルを変更できるようになったりします。しかし、音声認識が誤った言葉を拾ったり、会話を誤解したりする可能性があるため、誤った指示となることがよくありました。 あるトライアルケースで、音声アシスタントに「3分後に空気清浄機をOFFにする」ように指示しました。にもかかわらず、音声アシスタントは「3分」というキーワードを拾うことができず、即座に空気清浄機をOFFにしてしまいました。我々が繰り返し試験を行ったところ、製品仕様に定義された文章や単語であっても、認識できない(誤認)といった問題が発生することが多く見られました。これらの問題はユーザー満足度の低下に直結していることが考えられます。   2. [...]

IoTの“目に見えない”リスクを可視化する ~ IoT製品の潜在リスクと対策セミナーを開催 ~

アリオンは2018年4月18日、都内でIoT製品検証に関するセミナーイベント『品質検証のエキスパートが伝授! IoT製品の潜在リスクと対策』を開催しました。セミナーにはIoT Newsを運営する株式会社アールジーン代表をつとめる小泉耕二氏、アリオン株式会社コンシューマー事業部 石山一直、同標準化・認証事業部の飯田雅也、そして台湾Allion Labs Inc.のThomas Chang (トーマス・チャン)の4名が登壇し、本格化するIoTのトレンドや起こり始めた問題点、課題をクリアするためにどのような支援サポートが求められるかを解説しました。                     図1(左)と2(右):会場の様子 IoTの真価を引き出す「モノのインテリジェント化」 IoT NEWSの代表を務める小泉氏はセミナー冒頭で、CESやMWCなど世界各国で開催されたイベントから得た見解を基に、昨今のIoTトレンドと潜在リスクについて解説しました。小泉氏によると、2016年当時はZigBee、Z-Wave、Thread等通信規格に関するトピックが多く、事業者がアライアンスのメンバーに入ることで提供製品が「コネクテッド」(接続されている)であることが重要とされていましたが、製品が接続されるだけでは価値が生まれにくい状況があったといいます。 しかし、2017年にはAmazon Echoをはじめとするスマートスピーカ群がイノベーションをけん引する年となり「2017年では<テーマ化>によりスマートホーム業界に変化の兆しがみられた」(小泉氏)といいます。「テーマ化」とは接続したモノ同士が特定のテーマに対し連動し、自動でアクションを実施することを指します。例えば、スマートスピーカに「おはよう」と言うと、朝やるべきこと(カーテンを開けて、電気をつける等)が自動的に行われるというものです。さらに将来的にはAlexaやGoogle Assistant等エンジン自体の進化により、モノ自体が人の行った行動を機械学習し行動に移す「インテリジェント化」する流れが来ることを予測しました。 [...]

現実社会にある要因でスマートデバイスを検証しよう

IHSマークイットの調査によると、IoTデバイスの将来的な総数は、2017年の270億台から年間平均12%増加し続け、2030年には1250億台に達すると予想されています。無数のデバイスがインターネットに接続されることで、一部の無線チャンネルにアクセスが集中して接続上の問題が起きてしまい、結果的にユーザーエクスペリエンスの悪化へと繋がることが懸念されています。 従来の1対1形式の通信と異なり、IoTデバイスは1対Many形式の通信形態を取ります。IoTデバイスの性能は3つの要素に左右されます。製品そのものの性能、ネットワーク接続性、そしてユーザー環境/行動です。このため、製品を市場で販売する前に、これらの検証を行う新たな必要に迫られています。この記事では、現実社会にある要因を認識することで、ワイヤレス接続問題を解決するために使用されるIoTデバイス検証手法「ヒートマップ分析」の利用方法について説明します。 ユーザーがよく遭遇する一般的な接続問題を次で解説します。   1. 不安定な接続性 デバイスとデバイス(あるいはデバイスとAP)の距離と家庭内などの装飾物は、信号品質に影響を与える大きな要因です。例えば、リビングではWi-Fiアンテナがすべて表示されている状態なのに、ベッドルームでは1本しか立っていない、といったことがあります。無線信号は建築物のドアや壁面、その他構造物によって容易に状態が変化します。 2. 通信遅延問題 もう一つは、通信の待ち時間に関する通信遅延問題です。スマートフォンのアンテナ表示が全て立っている場合でも、ネットワークの寸断などが見られることがあります。通信遅延は、同じ空間で共存する信号(Wi-FiやZigbee、Threadなど)によって発生します。 3. ローミングキャパシティ不足 無線APの対応範囲には限りがあるので、接続デバイスは移動時の接続を維持するためにAPをローミングする必要があります。しかし、デバイスが様々なAPの中でスイッチングしていくことで、通信遅延や寸断などが発生することがあります。例えば、ロボット掃除機がキッチンの清掃からダイニングルームの清掃へと移行中(AP AからAP Bへとローミング中)にコマンドの送受信ができない、といったことが時折見られます。このような場合、掃除機はネットワークに再接続する必要があるため、ユーザー側の手間がかかってしまいます。 [...]

検証結果から分かったIoT製品の問題点とは?

IoTと技術革新によって製品区分の垣根を超えた接続性の多様化が進んだことで、様々なIT製品を駆使した新しいライフスタイルが一般的になりました。例えば、帰宅時の掛け声ひとつで照明やエアコン、テレビなどの電源をONにできるようになるなど、日々の生活はますます便利になりつつあります。しかし、スマートデバイスがより広く利用されるにつれ、開発現場が遭遇する問題が多くなっていることもまた事実です。 この記事では、デバイス間の通信形態が一対一から多数対多数へと変化していることを踏まえ、製品の「クロスクラウド(複数のクラウド環境にまたがる)通信」、「一貫性に欠けるUI(ユーザーインターフェース)設計」、そして「無線信号の干渉」にありがちな問題点について紹介しています。   IoTテクノロジーと公共安全性 IoTテクノロジーは、現代の日常生活において様々な場所で役立てられています。ネットワークを経由して様々な製品(時計や家電、スマートフォンなど)と相互接続し、離れた場所から環境や人に対する識別、監視などを実現しています。また、周辺の状況や公共安全をモニターするために監視カメラや探知機といったスマートデバイス/センサーが至る所に設置されいます。例えば、外部から侵入者が施設内に入ろうとスマートウインドウに手をかけた時に、センサーが作動してセキュリティモードに切り替わり、警報機と監視カメラが起動します。 これまでのセキュリティシステムは、従来だと単に状況をユーザーに発信するだけでした。IoTによって相互に連携したシステム構築が可能となったことで状況に応じた対応ができるため、素早い行動が可能となります。 これらの製品群が実際の環境下で使用された際の信頼性を確認するために、アリオンIoTイノベーションセンター内にあるスマートキャンパス区画には、スマートガス探知機や警報機、施錠システムといった様々な設備を設置しています。そこで、アリオンでこれらの設備について検証を行ったところ、クラウド含めた全体で通信遅延を確認しました。   複数のクラウドにまたがった通信環境で遅延が発生 「There’s Smoke!」(煙だ!)と名付けたシチュエーションモデルでは、煙探知器はスマート照明とユーザーの持つモバイル端末に接続されています。教室内に煙がある時、警報機が作動して避難アナウンスを発し、照明が点滅することで出口がどこにあるのかを示します。また、他のキャンパスや施設内にいる生徒にも避難メッセージが発信されます。このシステムは緊急事態が発生した際に、個人が通知を受信できるように構築されています。以下の図はデータパッケージの通信経路を示したものです。  最初に、煙探知機はWi-Fi経由で「There’s Smoke!」から「クラウド1」にデータパッケージを送信します。そして、「クラウド1」はWi-Fiまたは4Gネットワーク経由で各モバイル端末へと緊急メッセージを送信し、同時に「クラウド2」と通信することでスマート照明をアクティブにします。しかし、我々が試験を行ったところ、クラウド1とクラウド2の間では10秒~40秒の遅延があったことを確認しています。人命が関わっている以上、この遅延期間は深刻な事態を招きかねません。   IoTテクノロジーとスマートリビング [...]

スマートホーム製品は互換性が命

多岐の分野に渡るIoT(Internet of Things:モノのインターネット、以下IoT)の中でも、最も注目を集めているのが『スマートホーム』です。近年、GoogleやApple、Amazonなどの大手企業が対応デバイスを新たに開発しており、IoTスマートホーム分野のトップを目指して鎬を削っています。スマートホームという概念が登場してから、メーカー各社は製品を「スマート化」させるだけでなく、市場では製品同士の互換性を求められており、各社にとって改善のポイントとなっています。   スマートデバイスブームが巻き起こるも…互換性に不安あり 「スマートホーム」では、様々な通信方式や直感的な操作を実現するために、より「スマート」であることに加え利便性が追求されています。AI(人工知能)に関する技術の進歩に伴い、特に音声認識システムが普及したことを受け、スマートホーム製品の利用率が右肩上がりに伸びてきています。AIを利用したAlexa搭載のスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズが発売されてから、北米市場では約1000万台が販売されました。Googleを始めとした他の企業も追随しており、スマートホームの消費市場は加熱の一途を辿っています。 EE Times Taiwanのレポートによると、全世界のスマートホーム関連製品の総数は、2013年の3000万個から2018年には約10億個まで増加すると予測されており、2017年から2018年までの一年間で4億個増加すると予想しています。しかし、一般的な実用に耐え得るスマートデバイスを選択するのは、決して容易ではありません。このため、Amazonでは製品の互換性に関するコンサルティングサービスを自社で提供しています。 スマートホーム業界は急速な発展を遂げていますが、実用面では製品のパフォーマンスが発揮できないといった問題に直面することが多々あることでしょう。アリオンはグローバル市場の一番人気を誇るスマートデバイスを収集しています。また、ベッドルームやリビング、風呂などがある一般的な家庭を舞台にした、スマートホームのコンセプトラボを構築しています。この環境では、様々な製品でインストールから実用に至る使用状況を検証できます。   設定段階から問題発生! アリオンの検証チームがスマートホームラボを構築する際、最初の設定段階から問題が発生しました。コントロールハブ(Control Hub)をテレビに接続したとき、製品間の規格が適合していても一部のテレビを操作できないことがありました。 [...]

新製品の開発工程に欠かせない検証プロセス

新製品を市場でヒットさせるためには、消費者の製品に対する期待値を開発段階から高めていくことが鍵となります。新製品を販売するまでには、設計からプロトタイプの製作、量産に至るまで数多くの段階を要すため、膨大な労働時間を投入する必要があります。企画から製品販売まで一貫した設計のコンセプトをどうやって維持するのか。期待していた通りの機能と性能はどうやって確保するのか。どのように製品の品質を保障するのか。こうした観点での検証は、新製品の開発プロセスにおいて欠かせないものとなっています。   新製品の検証 開発の最終段階で製品検証を行うと、ソフトウェア/ハードウェア設計が原因で問題が複雑化し、解決が困難になる恐れがあります。さらに、開発初期の段階で発見されなかった問題点が見つかると、それに伴う設計変更が必要となり、開発スケジュールの長期化とコスト増加という新たな問題が引き起こされることもあります。新製品の検証は開発のプロセスによって異なる目的があります。 製品の検証プロセスは一般的に技術検証試験(Engineering Validation Test: EVT)、設計検証試験(Design Validation Test: DVT)、生産検証試験(Product Validation Test: PVT)の三つの段階に分かれています。   [...]