Tag Archives: Type-C

リスクが潜むUSB-Cデバイス:Vbusスルーレートの実測

Allion Labs USB-Cの登場以来、これまでのプラグアンドプレイという特性の他に、Windows OSによるユニバーサルドライバーのサポートも加わり、さらには15W電源供給とUSB Power Delivery充電技術も搭載され、こうしたメリットを組み合わせ、USBデバイスの普及が一層進んでいます。しかし、USB-Cの独自性により、USBデバイス間の通信がこれまでより複雑になり、USB-C製品の開発設計の難易度も高まっています。 USB-Cデバイス利用におけるリスクと事例の紹介 USB接続はホスト側、ケーブル、デバイス側の3つの製品から切り離すことはできません。これらの3種類の製品を設計する際、信号の伝送品質、電源(供給/電圧降下/消費電力)の安定性、ホスト側とデバイス側の正確な通信を考慮する必要があります。従来のUSBコネクタを使用していた時代では、電源の役割を識別するのが比較的簡単で、ホスト側と供給側が、デバイス側と受電側がそれぞれペアとなっていました。数が一致しているためミスマッチすることなく、使用シナリオも比較的シンプルでした。 しかしUSB-Cになると、DRP(Dual Role Power)という新しいコンセプトが導入されました。現在最も一般的な利用シナリオは、デバイス側が充電可能なバッテリーを搭載したホスト側を逆方向で充電することです。USB Power Deliveryをサポートする場合、高ワット数(SPR: 100W、EPR: 240)で急速充電が可能となるため、メーカーは電源回路の設計に注意する必要があります。 [...]

新トレンド「天井スピーカー」 ホームシアター構築の新たな課題

 テレビ/スクリーン・プロジェクター・ホームシアターオーディオは、ホームシアター環境を構成する三つの要素です。ディスプレイ技術の進化に従い、ディスプレイの解像度が向上してきましたが、今まで画面の精緻さを求めてきた消費者は、今度はオーディオの質に注目し、より高度な映像・音声体験を求め始めました。近年、様々なAV規格が登場し、新たなホームシアターの連携体系が誕生しています。その中でもDolbyとDTSの二つのサラウンドシステムが市場の主流になっています。  例えばDolbyシステムの場合、スピーカー数は最初のDolby Pro Logic 5.1チャンネルから、最高規格のDolby Atmos 24.1.10チャンネルに進化してきました。Dolby Atmosについて説明すると、これはドルビーラボラトリーズが2012年4月に発表したサラウンド記録再生方式です。従来のチャンネル依存(Channel Dependency)を捨て、音声をオーディオ要素(Audio Element)にミキシングし、一つのサウンドオブジェクト(Sound Object)にまとめます。3D空間のどこにでも配置でき、音声のソース・移動方向と位置を正確に配置できるため、サラウンド効果を平面から立体に進化させ、よりリアルなビデオ・オーディオエクスペリエンスを実現させました。また、Atmosのオーディオ技術をユーザー側が享受できるようにするために、ドルビーラボラトリーズは新たな音声コーディング技術「Dolby ED2」を開発しました。Dolby ED2はDolby Eの拡張技術のため、下位互換性を持っています。新たなプロフェッショナルメタデータ(Professional Metadata, [...]

ハイスペックなゲーミングモニター 品質検証の要とは?

家庭用ゲーム業界の目まぐるしい発展は、ハードウェアと周辺機器の進化に影響を及ぼしています。注目を集めているのがゲーミングモニター市場の成長です。Trend Forceの傘下にあるWitsViewが発表したレポートによると、2017年のゲーミングモニター出荷量は約250万台で、年間成長率は80%にも及ぶそうです。また、2018年は前年より120万台増の370万台となることが予想されています。急速に成長しているゲーム市場において、モニター品質はユーザーから重要な要素の一つとして見られています。一方、ゲーミングPCのユーザーが常にハイスペックな製品を求めている傾向にあることは、開発者たちにとって決して無視できないポテンシャルリスクとなっています。 USB Type-Cはゲーム機器でも幅広く利用されており、USB Type-C技術を搭載したデバイスは今後ゲーム機器におけるスタンダードになると見られています。従来は映像や給電に複数のインターフェースが必要でしたが、USB Type-Cだと一つの接続ポートで給電(PD)と映像・音声出力を同時に実現できるようになります。当然、機能が便利になればなるほど、その裏側で動いている技術は複雑であることが伺えます。ここでは、アリオンが実際に測定したことで判明した、USB Type-C対応モニターによくある五つの問題点を紹介します。   モニターの抱えるポテンシャルリスク モニターとして最低限の機能とは、画面が問題なく表示されることです。しかし、市販モニターであっても一部メーカーの製品では使用中のブラックアウトやプラグアンドプレイの不具合、最大解像度への切り替えができない、といった画面表示に関する不具合が発生することがしばしばあります。ユーザーがゲームを楽しもうとしている最中にこんな不具合が発生してしまったとしたら、メーカーに対してどんな気持ちが芽生えるでしょう。ユーザーエクスペリエンスやユーザー満足度だけではなく、ブランドそのものにもダメージを与えることになりかねません。  1. モニター接続時にブラックアウト アリオンで試験を行った結果、ブラックアウト問題が発生したモニターは全体のおよそ2割に及びました。代表的な事例は次のとおりです。 USB Type-C経由でモニターとデバイスを接続したとき、モニターがブラックアウトする [...]

製品に潜む安全性のリスクとは?

現代を生きるわたしたちが日常生活を営む上で、スマートデバイスの存在は欠かすことができません。スマートフォンをはじめとするこれらのデバイスは、スケジュール管理、レストラン予約、知人への連絡、天気情報の確認など、日常のあらゆるシーンで使われています。スマートデバイスに対する依存度が増していく中で、製品の取扱いに関する注意事項や安全性について、メーカー側が暗黙の了解として提供してくれるものと考える人は、多いのではないでしょうか。 一般消費者向け製品の安全性についてマスコミが取り上げている内容を確認したとき、我々の注意を引いたのは、製品の多くは安全性に関する検証が企業内部で行われていた、という点でした。設計から製造、検証まで一貫した体制によって生み出された製品は、企業側に立って言えば効率の良いプロセスで処理することができるため、その意味合いやメリットが大きいことは理解できます。しかし一方で、自分たちの製品を自分たちで評価することになるため、評価の正当性には疑問の余地が残ります。 昨今のニュース報道で大きな問題となっている製品の異常発熱・発火・爆発の一因としてバッテリー内部のショートがあります。こうした問題を防ぐために、リチウムイオンバッテリーの中には陰極と陽極を分離するセパレーターシートが内蔵されています。仮にこのシートに穴が空いてしまい電極同士が接触すると、バッテリーの温度が急上昇します。リチウムイオンバッテリーは大きなエネルギーを持っているため、温度も非常に高くなります。この熱によってバッテリーの電解液に使用されている有機媒体を気化させ、熱(またはスパーク)によって発火することがあります。一つのセルで発火が起こると、連鎖的に他のセルへも燃え移り、バッテリーパック全体が発火します。 本稿では、携帯電話などスマートデバイスの安全性確認に関連性があるアリオンのサービス「ハードウェア品質検証(HQA)」と「USB-IFコンプライアンスプログラム」、「MCPCモバイル充電安全認証」をご紹介致します。 ハードウェア品質検証(HQA) ハードウェア設計において、開発初期の段階で発見されなかった問題点が後に大きな問題として立ち上がることがあります。そこで、アリオンのハードウェア設計検証では、開発初期の段階における重要課題の発見をサポートします。アリオンのエンジニアが設計回路と配置配線をチェックし、製品に潜む問題点の指摘と改善提案をタイムリーに行います。 シグナルインテグリティ 主要コンポーネント検証 RF信号検証(無線通信・高速信号) シグナルインテグリティの主な試験項目の一つに、電源管理試験があります。これは、AC/DCの電力や電圧、突入電流、保護機能を確認するなど、様々な角度から安全性に関する確認を行います。 USBコンプライアンスプログラム USBコンプライアンスプログラムは、USB製品を開発するための基礎的な課題であり、他社製品との接続性といったより大きな枠組みと密接に関係しています。この試験では、ケーブル、デバイス、コネクタ、アダプタ、給電能力に関連した各種細かく分類された試験を行います。 USB標準規格は、USBのハードウェアインターフェースとコンポーネントの設計について規定しています。USB-IFは製品仕様の準拠確認のために、認証プログラムを定めました。認証試験に合格することのできた製品は、USB-IFのウェブページにあるIntegrators Listに製品が掲載され、USBロゴ利用の権利が与えられます。 特に、USBの新たなインターフェース規格であるUSB [...]

充電問題か?USB Type-C Power Delivery充電試験

あるGoogleのエンジニアが、オンラインストアで販売されていたUSB Type-Cケーブルの試験を行ったことで、思いもよらない災難を受けることになりました。使用したケーブルが基準に準拠していない設計だったために、Chromebook Pixelに接続して試験を行った際、そのPCを破損させてしまいました。ケーブル内のワイヤのハンダ付けが間違っていたことにより、電流が間違った場所(orピン)に流れてしまったことが原因でした。また今年の2月に、Appleは2015年6月以前に生産されたケーブル設計に欠陥があったとし、Apple純正USB Type-Cケーブルの回収を行いました。該当するケーブルだとMacBookに充電できないか、あるいは充電が途切れる現象が発生する可能性がありました。 USB Type-Cは、上下リバーシブル挿抜、最大10Gbpsに対応などが特徴です。また、USB Power Delivery(PD)を適用することで、充電とデータ送信を個別にサポートすることができます。BC1.2では7.5Wだった電力供給量が、PDでは最大で100Wと飛躍的に向上しています。USB-IFの充電規格以外ではUSB Type-CはQuick Charging(QC)にも対応しています。映像関係だと、Alternate Modeでは1本のケーブルでDisplayPort映像信号の出力ができます。このため、従来のUSB規格と比較してケーブルの構造が非常の複雑になっています。ケーブル・コネクタメーカーは開発段階でUSB-IFの仕様に準拠が必要のほか、製品品質と安全設計を確保しなければなりません。さらに、自社のType-C製品(ケーブル含む)が様々な使用状況下でスムーズに動作できるかどうかを検証し、電源供給能力の異常、システムの停止、コンポーネントへの影響など、不測の事態が起きないよう注意深く調査する必要があるのです。   図1. USB Type-Cエコシステム [...]

DisplayPort 1.4とUSB Type-Cの融合 “DP Alt mode”

  アリオンは2016年6月、映像関連の周辺機器やインターフェースに関する業界標準化団体であるVideo Electronics Standard Association(以下VESA)と共同でワークショップを開催しました。VESAはDPを推進するためにアジアで推進活動を行っており、アリオンはこれに協力する形で、日本、台湾、中国で開催したワークショップに参加しています。この中でVESAはUSB Type-CとDisplayPort 1.4(以下略称DPまたはDP1.4)の連携について大きくアピールしました。DPが持つ数ある機能の中で、『DP Alt Mode』ではUSB Type-Cデバイスと接続することで、映像と音楽をType-Cケーブルを通して出力が可能となります。Type-C関連のデバイスは現在最も注目を集めるテーマの一つです。Type-CとDPによって、携帯電話、モニター、ヘッドマウントディスプレイといった製品群はより高度な使い勝手と視聴体験の提供を実現しています。 今回のワークショップでは、VESA標準認定部長であるJim Choate氏から、DPの最新技術が紹介されました。Jim氏は始めに、DP 1.4は以前のバージョン(Version 1.3)と比べ大きな性能の向上があり、さらに今回のバージョンには多くの機能面のアッグレードが含まれていることを述べました。例えば、ビデオインターフェイスの圧縮規格である「Display Stream [...]