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2023年のBluetooth SIGの報告によると、2027年には世界で約70億台ものBluetoothデバイスが存在し、その中でもオーディオ関連のデバイスが約15億台に上ると予想されています。下のグラフで示した調査では、今後5年間でLE-onlyのオーディオデバイスが従来のBluetoothオーディオ(A2DP)のアプリケーションに徐々に置き換わって、より省電力、より高音質、より高い圧縮率となり、個人向けの使用に合った製品になると予想されています。

Bluetooth搭載機器の年間出荷台数予測(出典:Bluetooth SIG)

図:Bluetooth搭載機器の年間出荷台数予測(出典:Bluetooth SIG) 

Bluetooth LEオーディオ と LC3とは

Bluetooth LEオーディオは、Bluetooth規格5.2以上に基づいた新しい技術であり、より高品質なオーディオ伝送を提供することが可能です。中でも新しいオーディオエンコーディングの技術であるLC3エンコーディングは、より効率のよいオーディオ圧縮と高音質を実現しています。

LC3エンコーディングは、通常ビデオ会議や音声通話など、低遅延のアプリケーションシーンで使用される低遅延オーディオエンコーディング技術です。高効率な圧縮を実現しつつ非常に低い遅延を保ちながら、より高い音質を提供することができます。

従来のオーディオエンコーディング技術に比べて、LC3エンコーディングにはより高い圧縮効率があり、同じデータ転送速度でより高音質なオーディオを伝送することができます。また、LC3エンコーディングはエラートレランス性能も高く、低品質のネットワーク環境下でも良好な音質を維持することも可能です。

また、LC3エンコーディングは可変ビットレート(VBR)エンコーディングをサポートしています。これは、転送プロセスにおいてエンコーダが音声信号の複雑さに基づいてエンコードレートを自動的に調整できることを意味し、より効率的な圧縮を実現しています。こうした技術は音声の伝送や保存に非常に役に立ち、より高品質な音声圧縮と高い音質を可能とするため、ユーザーはより高音質な音声体験を楽しむことができます。

過去のSBCエンコードに比べ、新しいBluetooth LC3エンコードは同じ転送速度でより高音質の音声を提供したり、低い転送速度ながら品質の高いコンテンツを提供することができます。これにより、開発者はより柔軟性をもってLC3エンコードで開発することが可能となり、音声品質や消費電力などの製品設計の上で、容易に優先順位を策定することができます。以下、LC3エンコードとSBCエンコードを比較しました。

オーディオエンコーディング品質の優劣を判断するには、いくつか方法があります。最も一般的な方法は、圧縮された音声と解凍された音声を実際に人が聞いて比較することです。この他にも、以下に示すような標準の量子化方法でオーディオコーディングパフォーマンスを測定する方法があります。

オーディオエンコーディング品質の優劣を判断するには、標準の量子化方法でオーディオコーディングパフォーマンスを測定する方法があります

 

Bluetooth LC3エンコード仕様

Bluetooth LC3エンコード仕様では、下の図で示す通り、音声情報ファイルで使用するための効率的なBluetoothサウンドエンコード(コーデック)が定義されており、このエンコードは、音声および音楽を変動するビットレートで圧縮することができます。LC3はどのようなBluetooth音声情報ファイルにも適していて、どのようなチャンネル状況でも音声品質を満たして伝送することができます。LC3は、ブロックベースの変換サウンドエンコードであり、低遅延演算を備えて低圧縮アプリケーションを提供し、かなり広範囲なビットレートを使用可能です。圧縮と解凍は、8 kHz、16 kHz、24 kHz、32 kHzおよび48 kHzのサンプリングレートで、10ミリ秒と7.5ミリ秒のストリーミング間隔で同時に動作することができます。

 

LC3のメリット

軽量設計なので、リソースの少ないアプリケーションに適しています。

  • 低いメモリ要件RAM(10kW未満)およびROM(16kW未満*)
  • 低い演算ユニット要件および低消費電力要件
  • 柔軟なエンコードパラメーター
  • 8、16、24、32、44.1、48 kHz のサンプリングレートをサポート
  • 各チャンネル16kbps – 320kbpsのビットレートをサポート
  • ハイレゾ対応(最大96kHz)
  • 超低遅延モード (2.5ms 対 5ms)

 

LC3エンコードツールと生成プロセス

様々なサンプリングレートやストリーミングの長さに基づいてエンコードを実行できるように、現在Bluetooth SIGはLC3エンコードツールを提供しています。以下の表に示すように、自動的にLC3エンコードツールを実行して、異なるサンプリングレートとストリーミングの長さに基づいて、エンコードファイルとデコードファイルを生成します。また、テストWAVEファイル形式も受け入れることができるため、一部のWAVEファイル形式がBluetooth SIGのLC3エンコードツールに必要なファイル形式に準拠していなくても、エンコードおよびデコードファイルを生成できます。エンコード&デコードのファイルが生成される全体のプロセスは以下の図の通りです。

エンコード&デコードのファイルが生成される全体のプロセス

現在Bluetooth SIGの公式ウェブサイトで、LC3をサポートしている製品はApple Watch 8やiPhone 14 Pro、Samsungの最新スマートフォンであるGalaxy S23 Ultraなどがあります。Bluetoothチップとモジュールの認証に加えて、200以上のソフトウェアOSがLC3認証に合格しており、将来LEオーディオ製品が消費市場の重要なトレンドになるでしょう。

 

Bluetooth認証プロセスが複雑…誰に相談すればいい?

アリオンのBluetooth技術専門家チームは、LEオーディオ向けに以下のLC3エンコード/デコードフォーマット変換ツールを提供しており、LEオーディオ製品で様々なオーディオフォーマットの伝送をテストすることができます。

これに加え、アリオンはBluetooth SIGに認定された認証試験機関(BQTF)として、長年の経験より、新しい機能や新バージョンの製品を導入する場合、その認証手続きの内容を把握できていないお客様が少なくないです。認証試験では、バージョンの識別だけでなく、様々なデバイスの種類と構成(新製品/既存製品/追加設計/認証後のBluetoothモジュール)について多くの規制と制限があり、このことが認証内容の要件とプロセスをより複雑にしています。

 

アリオンのワンストップサービス

Bluetooth SIGが認定した、アリオンのBluetooth 品質エキスパートBQC(Bluetooth Qualification Consultant)は、アライアンスメンバーへのアカウント申請から、各バージョンごとのテスト、認証取得に至るまで、お客様を全力でサポートしています。

1. お客様のBluetoothデバイス向けのテスト項目の評価やテスト時間のコンサルティング、テストプランの提案など

2. Bluetooth認証試験の実施、テスト結果とデバッグサービスの提供

3. 認証試験結果のレビューやその結果をBluetooth SIGサイトへのアップロードのお手伝い

上記のテスト項目の他にも、アリオンではお客様の製品に合わせたテスト項目の設計も承っております。

関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

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