近年では、コネクテッドカーの市場占有率の増加に伴い、自動車用アプリケーションケーションやそのプラットフォームの開発も進んでいます。車の所有者はスマートフォンを通して車載インフォテイメントやクラウドに接続できます。接続後に車両のリモートコントロール機能や自動車の位置測位機能、メンテナンスおよび修理の記録検索機能などの機能を利用することが可能になります。これは、応用範囲が従来の「車を中心とした乗り物」から「人を中心とした移動空間」へと徐々に発展していることを意味するでしょう。
しかし自動車メーカーにとってアプリ開発して運営していく経験値が少ないため、アプリケーション/クラウドのサービスプロバイダ(Service Provider)と緊密な提携し、お互いスムーズに業務を進められるようにする必要があります。「ニーズや要求を出す自動車メーカ」、「機能開発やインターフェース設計するアプリケーションサービスプロバイダ」そして「車両とスマホアプリケーション間のクラウドデータの同期や転送を手掛けるクラウドサービスプロバイダ」の三者が連携して業務を進めるにあたり、自動車用アプリケーションのリリースサイクルを考慮したタイトなスケジュールの中、即時性と品質を兼ね備えなければならないというような事例をいくつか目の当たりにしました。こんな時こそ、当社のような第三者試験機関の存在が非常に重要となります。
自動車用アプリケーションによくある問題点
アプリケーションと車両の接続問題
- 遅延、接続不可、ユーザーによる条件下では正常に動作しない
- 異なるスマホまたはソフトウェアバージョンの更新でペアリングに失敗する
- 異なる接続環境またはクラウド通信を使用した場合
他のスマートフォンや車両とアプリケーションケーションとの互換性問題
- インストール、アップデート、起動不可、アカウント管理やセキュリティに関する問題点
- リモート操作ができない、または機能性の問題
- データが車両や現状と同期していない、インフォメーションが不正確、またはUI表示に関する問題点
- レスポンスが遅い、スムーズじゃない、ディスプレイ間の表示が遅すぎる、アプリケーションケーションプログラムがラグる
- スマホの状態を変更すると異常が発生する(スリープ状態を解除した後…など)
カスタマイズコンサルティング ― 事例紹介
当社では、常に更新が求められ、即時性を重視した自動車用アプリケーションの開発スケジュールに対応できるよう、プロジェクトの現状とお客様のニーズをしっかり把握することで、様々な製品タイプと規模に応じたテストプランを提案いたします。過去の経験から事例を以下にまとめました。
事例1:アプリケーションのインストール/アップデート/起動ができない
- アカウントログイン用のOTP認証異常によるログインができない(NG)
事例2:アプリケーションが表示する内容が正しくない
- アプリケーション上に表示される車両製造年が「null」となっている(NG)
☑ このような問題に対しては、当社は各バージョンのアプリケーションがリリースされる前に「Smoke Test」という小規模な簡易テストを行い、発生しやすい問題または基本機能が正常に動作できるかどうかを確認します。上記のような問題は、このテストを通じて迅速に問題点の洗い出しをすることが可能です。
事例3:機能性の問題、またはUI表示に関する問題点
- ユーザーがオプションの「Service」をクリックすると、アプリケーションのPOI(Point of Interest)画面には「No Result」と表示される(NG)
- アプリケーションのログイン認証のフローにおいて、スペックによると確認コードの再送信回数は3回までを制限するはずですが、実際には3回以上可能(NG)
☑ この事例では、ユーザーが近くの興味を持って訪問した場所をナビで確認しようとした際に、オプションの「Service」をクリックしてしまったため、POI画面が「No Result」となってしまいました。これに加え、アプリケーションのログイン認証において、確認コードの再送信の上限回数設定がスペックに適合していないなどといった問題点は、簡単な手順で見つかるようなものではありません。基本機能の問題ではありませんが、車の所有者やユーザーがこのような問題に直面すると、不満または低い評価といったクレームに繋がります。
☑ このような問題に対し、「Sanity Test」と呼ばれる機能試験を行います。この試験は比較的多くのテスト条件を網羅し、一定の条件範囲内での機能動作やアプリケーションのUI表示が正常に動作するかどうかを確認します。
事例4:データが車両や現状と同期していない問題
- アプリケーションに表示されているルートの出発地と実際の出発地が違う(NG)
- アプリケーションに記録されている経路と実際に走行した経路に違いがある(NG)
☑ このような問題は実際走行しないと発見できません。当社では状況に応じて定期的に走行試験である「Road Test」を行い、実際のユーザー条件下で機能が正常に動作するか、データがリアルタイムに同期されるかを確認します。
デバッグサポート ― 迅速に問題点を洗い出し、開発スピード向上に貢献
開発の過程におけるアプリケーションのバージョンアップでは、新しい機能を導入するほか、主にはデバッグを行った後の改善と変更を新しいバージョンにアップデートします。アリオンはアプリケーションの問題点に基づき、プロジェクトが対処している状況とお客様のニーズを応じた検証ソリューションで問題点の解決をお手伝いいたします。
例えば:
リリース前のデバック作業
アプリケーションのバージョン更新前に、アップデートで導入する予定のバグに対する解決策に対して検証を行い、新しいバージョンのアプリケーションがリリースされた後に元々あったバグが発生しないことを確認し、アプリケーションの再リリースやバグが残留していたことによって、長引いた検討・改善のために時間やコストを取られないようにしています。
定期的に不具合検証テスト
この試験では、プロジェクトの分業とお客様のニーズを基に、問題点に対して検証テストを行い、「問題点の再現性と手順の見直し」、「問題が発生したときの原因と問題点の洗い出し」など、いくつかの重要なポイントを押さえます。常に更新し続け、一刻一秒を争うアプリケーションの開発スケジュールの中で、時間の短縮だけでなく、迅速に問題点を発見できるようお客様をサポートいたします。
その他にも、アリオンは柔軟なスケジュールと即時対応体制を整えております。綿密かつ迅速な打ち合わせにより、各バージョンのアプリケーション更新前後に前述したカスタマイズコンサルティングとデバッグサポートを組み合わせることで、製品品質の向上および顧客満足度の改善に貢献いたします。
自動車用アプリケーション評価テストにご興味がある方はこちら
アリオンは自動車用アプリケーションの開発会社を支援してきた過去の経験がありました。各バージョンにおいて30~40個以上の未解決バグがありますが、ユーザーからのクレームが多数受けていた状態から、わずか2か月で未解決のバッグ数が残り一桁までに減少させました。残っているのは終期の設計変更と、それに伴い新たに発生した問題点のみとなり、早急にプロジェクト終了を迎えられるようにしたことをサポートしました。
当社はお客様の要望に沿った最適なテストプランをご提案いたします。また自動車用アプリケーション向けの自動化検証ソリューションを提供することも可能です。
関連サービスについてご興味がある方はお気軽にアリオンにお問い合わせください。