Allion Labs / Cache Her

Wi-Fi技術はこれまで様々な電子機器に応用されてきました。スマートライフの品質に対するユーザーの要求の高まりとともに、車の通信システムにおいてもWi-fi技術が追加されるようになり、ドライブ体験や車内で利用できるエンターテイメントサービスの利便性が向上しています。

例:

  1. ワイヤレスで画像や動画を見る
  2. Car Play と Android Autoを利用
  3. 車内の各種IoT デバイス
  4. 車内でワイヤレスネットワークの接続機能を提供

この記事では、主に車で提供可能なワイヤレスネットワークサービスについて紹介します。

SIMカードは10年も前から車に取り付けることができていました。その主な目的は、車の測位・運転データの送信・緊急救助サービス等で、ドライバーや乗客にネットワークサービスを提供するものではありませんでした。

しかし、通信とインターネットサービスの急速な発展により、今日では音楽鑑賞やカーナビ、地図検索等、車内で利用できるサービスは多様化しており、乗客が利用できるワイヤレスネットワークサービスも提供されています。 IVI機器は4G / 5G SIMカード(またはe-SIM)とともに、車載IoTデバイスをサポートする小型なワイヤレスネットワークサービスステーションです。特に長時間の運転環境において、乗客を楽しませるインターネットツールを提供します。

現在、車載用ホットスポットととして、公共交通機関での利用が一般的です。例えば、高速鉄道や長距離バスでは、ビジネスやインターネットエンターテインメント向けにワイヤレスネットワークが提供されていますが、いくつかの自動車メーカーが車載用ワイヤレスネットワークサービスを導入するなど、自家用車のワイヤレスネットワークが徐々に普及しています。

車と車のワイヤレスネットワーク接続機能とパフォーマンスの課題

車用ワイヤレスのハードウェアとソフトウェアの設計には、サポートされている周波数帯域(2.4G / 5G)・接続可能なデバイスの数・伝送速度・アップロードとダウンロードを同時に行う機能・マルチユーザー機能・ネットワーク伝送の遅延・他機器の干渉による影響・アプリケーションのパフォーマンスと遅延・各種ネットワークデバイスとの互換性等の問題があります。

実際に再現しました:車におけるワイヤレス性能の比較

アリオンは、ワイヤレスネットワーク共有をサポートする2台のIVI機器(モデルAとモデルB)を選び、ワイヤレスネットワークのパフォーマンスをテストしました。図1は、4人乗りの自動車で乗客が各座席でモバイル端末(スマートフォン・タブレット・ノートパソコン等)を使用し、ワイヤレスネットワークのパフォーマンスを共有している状況をシュミレーションしています。

図1:テストのイメージ

 車載用ワイヤレス機能のテスト項目: 

  1. 最大同時接続下の安定性
  2. 最大伝送速度
  3. ワイヤレスネットワークの通信時間の公平性テスト
  4. 距離と伝送速度のパフォーマンス
  5. 車内の各座席における伝送の公平性
  6. マルチデバイスの同時利用パフォーマンス
  7. 連続接続/切断環境下での安定性
  8. 長期使用時の安定性
  9. 無線信号の共存下での機能

 接続機器: 

異なる端末を用いることでテスト結果に差異が出ないようにするため、このテストではすべてGoogle Pixel4を使用しました。

 テスト結果の比較: 

1. 最大同時接続下の安定性

モデルAとモデルBはどちらも安定しており、複数のデバイスが同時に接続されている場合も設定したトラフィック(2Mbps)で維持されています。また、モデルA,モデルBとも、アップロード時のパケットエラー率は0%に維持されていますが、モデルAではダウンロード中のパケットエラー率が各端末デバイスで14%〜18%と高く、ダウンロードには大いに改善の余地があります。モデルBのダウンロードにはそのような問題はありません。

2. 最大伝送速度

一般的な無線ルーターの場合、伝送速度はリンクレートまたは物理レートの約70%〜80%である必要があります。しかし、テスト結果によると、モデルBの伝送速度は45.3Mbpsで、接続速度(65Mbps)の約70%です。一方、モデルAの伝送速度はわずか39.9Mbpsと、接続速度(65Mbps)の約60%にとどまるなどパフォーマンスはやや劣っており、この部分には改善の余地があります。

3. ワイヤレスネットワークの通信時間の公平性テスト

このテストの目的は、2つの端末が異なる距離で使用され、割り当てられた時間とトラフィックが公平であるかどうかを確認することです。テスト結果から、全体的な伝送速度はモデルBがモデルAよりも優れていることが分かります。モデルAとモデルBの伝送速度の差は15%以下ですが、モデルBのばらつきはモデルAよりも小さく、安定しています。

4. 距離と伝送速度のパフォーマンス

車内では各座席間の距離はそれほど変わらないため(2メートル以下)、Wi-Fi信号の減衰はそれほど大きくなりません。各座席でのモデルAとモデルBの伝送速度も許容範囲内です(1080Pオンラインストリーミングビデオの視聴時、約10Mbps)。また、モデルBの各座席でのダウンリンク/アップリンク伝送速度のパフォーマンスはモデルAよりも優れています。

5. 車内の各座席における伝送の公平性

上記の実験データから、モデルBはモデルAよりも車内のダウンリンクおよびアップリンクの伝送速度が優れていることが分かります。 さらに、モデルBのバリエーションはモデルAよりも優れており、安定しています。

6. マルチデバイスの同時利用パフォーマンス

このテストの目的は、複数の人が同時に接続している場合の伝送速度を比較することです。テスト結果によると、モデルAとモデルBの全体的なパフォーマンスは、単独ユーザーの伝送速度よりも劣っていることが分かります。最低の伝送速度はわずか7.11Mbpsと8.2Mbpsですが、この様なトラフィックは通常の音声通信の使用や通常品質のビデオストリーミングの視聴には問題ありません。しかし、複数ユーザーが同時にビデオストリームを視聴した場合や、単独ユーザーがフルHD画質(1080p/i)で視聴した場合、遅延の発生やユーザーエクスペリエンスが悪くなる可能性があります。

7. 連続接続/切断環境下での安定性

テスト結果によると、モデルAとモデルBは、連続したな接続/切断の環境下で安定したWi-Fiパフォーマンスを維持していることが分かります。 モデルBのパフォーマンスはほぼ0%であり、モデルAよりも優れています。

8. 長期使用時の安定性

テストの結果、モデルAとモデルBのWi-Fiパフォーマンスは、長時間の接続(12時間)でも安定しており、すべてのパケットエラー率が0.1%未満であることを示しています。

9. 無線信号の共存下での機能

ワイヤレスルーターの場合、環境干渉(同一チャネルおよび隣接チャネルの干渉)がパフォーマンスに大きく影響し、干渉がある環境とない環境の差は60%以下である必要があります。しかし実験では、同じ周波数信号からの干渉がある場合、モデルAとモデルBの伝送速度はそれぞれ91.8%と85%とギャップがあり、元の速度の10%〜15%しか残っていません。これは、外部無線信号が存在する場合、モデルAとモデルBのWi-Fiパフォーマンスが急激に低下することを意味しており、バッファリングや遅延が発生します。

テスト結果のまとめ

分かりやすくするために、上記のテストデータを次の様に表にまとめました。各項目を比較すると、モデルBのパフォーマンスはモデルAよりも高く、モデルBメーカー製の商品の品質が比較的優れていることが分かります。

Item                                  Product Model A Model B
Maximum Connection Test – – Better
Maximum Throughput Test – – Better
Airtime Fairness Test – – Better
Range Versus Rate Test – – Better
Spatial Consistency Test – – Better
Multiple STAs Performance Test – – Better
Multiple Association/Disassociation Stability Test – – Better
Long Term Stability Test Same
AP Coexistence Test Same

アリオンの車載IVIシステム検証ソリューション

アリオンは、上記の無線性能試験に加え、以下の検証ソリューションも提供しております。

  1. 車内高速伝送インターフェースの検証
  • 高速信号および低速信号の評価
  • 各種伝送インターフェースの測定
  • カスタマイズされたフィクスチャーの設計・提供
  1. 車載IVIシステムの品質評価試験
  • 主な車載IVIシステム(CarPlay、Android Auto、CarLife、HiCar)でのテストを実施
  • 各種ロゴ認証の取得をサポート:HDMI、USB、Wi-Fi、Bluetooth®、SD、MMC
  • 相互接続性テスト

3. 車載アプリケーションのレビュー評価、改善提案

  • 競合他社の分析と比較、ベンチマークテストの実施
  • アプリストアにおける車の所有者のレビューとフィードバックの分析、収集
  • アプリケーションの改善提案
  • テスト仕様策定のサポート

4. 車載音声アシスタント評価・AIソリューション

  • ユーザーシナリオのシミュレーション:異なる環境下における言葉の検知性や反応性を含む精度の測定
  • 音声ライブラリの用意:性別、年齢、言語、方言などのバリエーションを含んだ12,000以上の音声コマンド
  • オーディオ品質評価:ITU-T / Apple CarPlay / Amazon Alexa

旅行中など、運転手以外の乗客が常に車載IVIシステムを利用します。より高品質で安定性が重視される車載IVIシステム。アリオンはカーエレクトロニクス技術の検証ノウハウを基に、世界有数の大手自動車企業と緊密な関係を築いており、IVI製品向けの総合的な検証ソリューションを提供します。

このサービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ