Allion Labs 

今日、ワイヤレス信号はオフィス、レストラン、公共施設、散歩道、家の中等どこにでもあり、いずれも肉眼では見ることができません。インターネット接続を提供することは、現代生活において不可欠かつ重要な環境要素です。

自身の環境でワイヤレス信号が弱くて困ったことは、誰もが経験したり聞いたことがあるでしょう。年越しのタイミングでスマートフォンの電波が完全に途絶えて電話できなくなったり、会社のオンライン会議中に音が途切れたり、レストランで食事中にメールが受信できなかったり…このようなワイヤレス信号の問題は、生活において支障となっています。

電波が弱いのは、無線LANルーター製品自身のせいなのか?

アリオンは、以前とあるお客様からテストの委託を受けました。お客様の説明によると、3階のオフィスエリアで以前からWi-Fiの電波が弱く、メールの送受信が不安定になったり、ファイル転送でエラーが発生したり、会議室でのオンライン会議でネット接続が不安定になったりと、事務作業や会議で多くの支障となり、間接的に生産性の低下やビジネスロスのリスクにつながっていました。

そこでアリオンは、ワイヤレステストの豊富な経験に基づき、現場で初期検査しお客様の問題点を理解した上で、一連のワイヤレス信号テストソリューションを策定しました。また検査結果を整理した後、信号カバレッジや無線LANルーターと環境設定を改善するための具体的な案を、ネットワーク管理担当者に提供しました。

このケースでは、以下の様なテストを策定し、フィールドでのワイヤレス信号の実際の状況を検証し、お客様の最適な改善案を提案しました。

 A. 初期現場検査(Initial Field Check) 

まず現場の平面図で面積などのハードウェア情報を取得し、ネットワーク管理担当者を通じてルーターの配置を調べ、無線LANルーターのメーカーや仕様などの客観的な情報を取得しました。そして、現場のオフィス空間の全体的な配置と材質について、初期記録として作成を進めました。

・現場配置について

1. 3階の現場全体に2つの無線LANルーターのみ配置

2. 内部スタッフが使用するチャンネル:2.4GHz ch1 & ch11 / 5GHz ch52 & ch116

3. 従業員が使用する信号強度は理想的ではなく、-68dBm前後。ユーザーエクスペリエンス向上のために、信号強度は-60dBm未満を推奨

図:XG1のSSIDは従業員が社内で使用しており、信号強度が-68dBBm前後であることがわかります。

 B. Heatmap (RSSI, Received Signal Strength Indication) 受信信号強度のヒートマップ測定 

Acrylic Wi-Fi Heatmapsを使用し、以下の通り徒歩移動に対する信号のRSSI測定結果が出ました。

※電波強度を赤(強)→緑(中)→青(弱)で表示しています。

上記のヒートマップから、テーブル、椅子、キャビネット、壁などの干渉や、無線LANルーターのアンテナの向きと配置により、白い無信号のデッドゾーンができていることが分かります(*註)

註:右下のレストランエリアは非計測エリア

 C. スループット(Throughput)測定 

ワイヤレススループット測定の目的は、ワイヤレスエリアネットワークのパフォーマンスをより直感的に反映することです。

**2.4Gの最大スループットは約150Mbps、5Gは約600Mbpsです。

 D. 遅延(Latency)測定 

ワイヤレス信号接続の経験から言えば、遅延が50ミリ秒未満であれば、良好な接続品質を維持することができます。

緑が多い場所ほど、遅延が大きくなっていることがわかります。

 E. パケットエラー率(Packet Error Rate)測定 

ワイヤレス信号接続の経験から言えば、エラー率が1%未満だとより良い接続品質を維持することができます。エラー率が低いほど受信信号が安定し、再送信の回数が少なくなり、遅延も少なくなります。

アリオンの分析と提案

1. アリオンによる分析を元にネットワーク管理者と確認したところ、当時現場内のルーターの構成は、会議室への信号供給とそのカバレッジを優先するため、すべての従業員の作業エリアをカバーできていない。

2. 無線LANルーターの配置とアンテナの向きによって、無信号デッドゾーンができてしまう。

3. 壁や屋内の柱でブロックされ、Wi-Fi信号が減少する。

4. 無線LANルーターの配置場所について、現状のポイントABをポイントCおよびDに変更すべきである。

5. 配置場所と方法を変更すると、RSSI信号強度が-50dBm未満となる。

図:改善後、信号強度が約-47dBBmに留まっていることがわかります。

6. この他、無線LANルーターの配置を調整することで、信号カバレッジを改善することもできる。

例えば、多くのオフィスでルーターは天井の中に直接配置されているため、減衰や金属干渉の問題が発生し、ワイヤレス信号のパフォーマンスが低下します。

7. ルーターは、壁と柱による信号の分離を防ぐように配置する必要がある。

一般的な装飾材料によって生成される信号マスキング値は次の通りです。

無線環境評価テストにご興味がある方はこちら

このケースで実際に現場で測定したところ、無線LANルーターの構成に問題があることがわかりました。有名メーカーの無線LANルーターを使用していても、配置を間違えればパフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。さらに、通常、オフィスでは多くのコンピュータやスマートフォンが使用されており、これらのデバイスでワイヤレス信号が同時に送受信されると、お互いの干渉によってワイヤレスネットワーク全体が不安定になってしまいます。

無線LANルーター向けのテストソリューションに加えて、無線干渉の側面から、環境デバッグと改善を実行することをお勧めします。また、多くの従業員が同時に多くの無線デバイスを使用して無線LANルーターに接続するオフィス環境では、接続の安定性と多数の接続に対するストレステストを策定し、現在ネットワークに供給している無線LANルーターが、オフィスのネットワークニーズを満たすことができるかをテストしてみてください。

アリオンは無線ヒートマップ検証の提供だけでなく、追加可能なワイヤレス性能テストに対応することが可能です。

詳細は以下の通りです。

1. 接続安定性テスト:基本接続試験, 接続繰り返し試験

2. 接続ストレステスト:長時間ストレス試験, 複数ユーザー接続試験

3. ローミングテスト:基本ローミング試験、高速なローミング試験

高品質なワイヤレスオフィス環境の実現のため、アリオンが提供する様々なワイヤレス性能テストおよびオンサイト測定サービスをぜひご活用ください。

本記事の内容や無線関連テストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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