Allion Labs / Ralph Liao 

 

誰もが手に持つスマートフォンは、小さなプライベートパソコンを持ち歩いているようなもので、便利な現代において、以前はできなかったことの多くができるようになりました。古代の大富豪や王族貴族は、奴隷やメイド、家政婦を召し抱え、日常の厄介事をまかせていましたが、テクノロジーで便利になった現代では、人を雇うことなく、スマートホームデバイスを使ってタスクを完了させることができます。「手動じゃなく口で」や「手動じゃなく自動で」と、望むと望まざるとに関わらず、スマートホームデバイスは徐々に私達の生活に浸透しています。

想像してみてください。目覚まし時計を使って朝起床し、仕事に行く前にコーヒーを淹れて1日の気分を上げるしかない。今はスマートホームデバイスを使えば、スマートカーテン、スマートスピーカー、人感センサー、スマートソケットを通して、日常手で行っていた手作業を完了することができます。スマートカーテンを使用して起床時間とカーテンの開口率を設定します。スマートスピーカーと連携して、設定した時間に目覚ましソングを再生します。アラームにびっくりして目を覚ますのではなく、カーテンを使って徐々に日光の明るさをコントロールし、スマートスピーカーから流れる音楽の音量を弱から強へ調整します。1日の始まりです。そして、人感センサーが起床を感知し、スマートソケットでコーヒーマシンの電源を入れて香醇なコーヒーを淹れ、充実した1日が始まります。この様に、どのようなスマートホームデバイスの組み合わせがいいか、何かとIoT時代の忙しい現代人でもよくよく検討しなければなりません。

市場には何百ものスマートホームデバイスとプラットフォームがありますが、では一体どれを選ぶべきでしょうか?以下では、様々なプラットフォームと接続方法について分析を行います。自分の好みやコスパに応じて、普段から使い慣れたモバイルデバイスのOSやアプリに対応した商品を選びましょう。

 

スマートホームプラットフォームの紹介

市場には何千ものスマートホームプラットフォームがあります。多くの場合、メーカーがスマートホームデバイスをリリースすれば、それをコントロールするアプリがリリースされるため、ユーザーは様々なメーカーの使用方法を学んで慣れる必要があります。このため、大手ブランドが立ち上げたスマートホームプラットフォームに参加すれば、自身が使い慣れたインターフェースと使用法でスマートホームデバイスを仕様することができます。以下では、市場でよく見る一般的なスマートホームプラットフォームを紹介します。

市場でよく見る一般的なスマートホームプラットフォームを紹介

※参考リンク

Homekitアクセサリ

Google homeアクセサリ

Alexaスマートホームアクセサリ

Mijiaスマートホームアクセサリ(中国語)

 

スマートデバイスの接続方法

スマートホームプラットフォームの他にも、接続方法が異なれば、スマートホームプラットフォームでのパフォーマンスも異なります。購入前に家庭環境と既存の設備を鑑み、自身に最適な接続方法を見つけましょう。

 

 Zigbee 

スマートデバイスの接続方法 - Zigbee

Zigbeeはスマートホーム機器の一般的な接続方式ですが、スマートフォン/タブレットはこの伝送プロトコルではスマートデバイスと通信できないため、ブリッジ(ゲートウェイ)で中継接続が必要です。

メリット

1. デバイスの消費電力が少なく、長い時間使用できるため、頻繁にバッテリーを交換する必要がない

2. 異なるZigbeeデバイスがブリッジで紐付けされ、ブリッジが無線LANルーター/APと接続します。無線LANルーター/APを交換しても、無線LANルーター/APと再び紐付けする必要はありません。

デメリット

Zigbeeデバイス単体では使用できないため、別途ブリッジを購入する必要がある。

 

 Bluetooth 

スマートデバイスの接続方法 - Bluetooth

Bluetoothは以前から開発されてきた通信プロトコルであり、私たちの身の回りのほとんどのスマートフォン/タブレットに内蔵されています。Bluetoothを利用してスマートホームデバイスと接続する場合、スマートフォン/タブレットを直接接続する(専用アプリが必要)ことも、ホームハブ(例: Apple TV)に直接接続することもできます。

メリット

ホームハブを介して接続するかどうかを選択できるので、モバイルデバイスでスマートデバイスに直接接続してコントロールするかことができます。

デメリット

1. 反応速度が遅く、動作が遅くなる

2. Zigbeeに比べ、消費電力が高い

 

 Wi-Fi 

スマートデバイスの接続方法 - Wi-Fi

ホームWi-Fi APは非常に普及しているデバイスで、自宅でワイヤレスインターネットにアクセスすることができます。W-Fiを使用してスマートホームデバイスを接続する場合、スマートホームデバイスはクライアントとしてルーターに直接接続できます。

メリット

1. ホームハブが不要で、ルーターに直接接続するだけ。

2. セットアップが簡単で速い。

デメリット

1. 接続機器が多すぎるとルーターの性能に影響し、反応が遅くなる。

2. ルーターを変更した場合、再度紐付けが必要。

 

 Thread 

スマートデバイスの接続方法 - Thread

Threadは他の接続方法と比べて比較的新しい通信プロトコルであり、スマートホームデバイスはハブで接続する必要があります。シリアル接続方式を採用し、機器同士が通信してメッシュネットワーク(Mesh)を形成するのが特徴です。

メリット

1. メッシュネットワークにより、ネットワーク接続全体の安定性と応答速度が向上し、遅延が非常に少なくなる。

2. メッシュネットワークを自力で修復でき、ノード障害によるマヒもない。

デメリット

市場で販売されている製品が少ない。

Threadをサポートしている製品は次の通り。

1. ハブデバイスHomePod mini、Apple TV、Google Nest Hub Max

2. 無線LANルーター:Eero 6 Pro、Google Nest WiFi

3. ほかの関連製品:Nanoleaf Essentials電球とテープライト、Eveドア窓センサー、Eve Energyスマートコンセント、Bellin Wemoスマートコンセント

 

全てを統一した「Matter」

これまで、スマートホームデバイス製造開発の各メーカーは、数あるプラットフォームと基準となる技術の中から一つを選び、スマートホームデバイスを開発してきたため、別のプラットフォームやその下で製造されたデバイスと相互に接続することができませんでした。一部のスマートホームデバイスが、異なるプラットフォームをサポートしている場合を除き、多くは単一のプラットフォームだけをサポートしており、別のプラットフォームのスマートホームデバイスをコントロールすることができませんでした。

市場関係者の多くは、こうしたスマートホームの閉鎖性が、新しいデバイスの開発にも、消費者の購入使用にも役に立たないと考え、スマートホームの開発コストを減らし、製品の互換性を向上させるため、ZigBee Allianceのメンバーである米Amazon、Apple、Googleなどのテクノロジー企業が、特許料を免除する新しい協定の開発と推進を共同で開始し、ワーキンググループ「Project CHIP」(Project Connected Home over IP)を立ち上げました。その後、ZigBee AllianceはConnectivity Standards Alliance(略CSA)に改名され、Project CHIP は「Matter」に名称が変更されました。こうして、新しいIoT基準「Matter」が誕生し、スマートホームデバイスのメーカー、サポートしているプラットフォーム、基準となる接続テクノロジー(Zigbee、Bluetooth、Wi-Fi、Thread等)に関係なく、Matterを使えばこれらのデバイスを相互運用でき、使いやすさも向上します。現在250社を超える企業がCSAに参加しています。

簡単に言えば、HomeKitプラットフォームを使い慣れている消費者は、Amazonや Googleのスマートホームデバイスを購入し、HomeKitプラットフォームインターフェイスを使用して操作することができます。また、その逆も可能です。

新しいIoT基準「Matter」

 Matterの仕組み 

Matterの仕組み

 使用している技術 

Matterの基準は、インターネットプロトコル(IPベース)上に構築され、次のテクノロジー接続に利用にされています。

  • Bluetooth(BLE)、Wi-Fi、Thread、DOCSIS、Cellular、Ethernet、802.15.4(Zigbee)

◆参照:Connectivity Standards Alliance公式サイト

※注1:DOCSIS, Data-Over-Cable Service Interface Specifications(有線データサービスインターフェイスの仕様)

※注2:802.15.4は、低速ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク (LR-WPAN)で利用されるIEEEの物理層およびメディアアクセス制御層の仕様。このプロトコルは最小限の電力しか消費せず、通常は個人の活動空間(直径10m以下)で動作するシンプルなデバイスをサポートしている。

メリット

つまり、Matterを使用すると、以下の様なメリットがあります。

1. セキュリティの強化
2. 安い設置コスト
3. 購入オプションがフレキシブルで多様
4. 高い互換性
5. クロスプラットフォーム統合

 

考えられる潜在的な欠点

Matterは、接続するスマートホームデバイスとプラットフォーム双方の機能の一致を強制していないので、双方それぞれが持つ機能が制限され、ギャップが生まれる可能性があります。

例えば、Amazonがビデオカメラをリリースしたとします。このカメラは、Matterのアーキテクチャの恩恵を受け、Homekitプラットフォームに接続してHomekit上でデバイスを表示することもでき、Homekitプラットフォーム上でビデオ録画や画像のプレビューなどの操作を行うこともできますが、人体センシング、顔認識、詳細ログ、セキュリティトリガーなど、込み入った操作はHomekit上では実行できず、高度な操作を実現するにはAmazonのアプリを使用しなければなりません。この様に、Homekit上の機能とAmazonアプリの機能とで、かなりのギャップが生まれてしまう場合があります。

 

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アリオンは1,000台以上のスマートデバイスを提供し、完全な互換性検証テストに加えて、様々なプラットフォームや接続されたデバイス上でお客様の製品がスムーズに動作することを確認しています。お客様の製品が、最高のユーザーエクスペリエンスを提供できるようにし、研究開発の初期段階で潜在的な問題を検出して、エンドユーザーの不適切な使用経験と顧客の苦情を減らします。

  • 接続性・互換性テスト(Compatibility Test):ノート型パソコン/携帯電話/タブレットやテレビ/モニター/プロジェクタ
  • 機能性テスト (Functionality Test)
  • リミットレス干渉テスト(Wireless De-sense Test)
  • ユーザーエクスペリエンステスト(User Experience Test)
  • 競合分析と品質向上コンサルティング (Competitive Analysis and Consulting)

以上のテストを実施するだけでなく、お客様の製品に最適なテスト項目の策定、競合他社製品との比較テストなども対応することが可能です。本記事の内容やテストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームからお問い合わせください。

 

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