Allion Labs / Ralph Liao 

前回の記事でも触れましたが、Mac OS 12 Montereyのリリース後、ようやくMacがAdaptive-Sync機能に対応することになりました。

MacでVRR機能を有効にするには?

使用するMacがVRRの要件を満たし、Adaptive Syncをサポートするモニターと組み合わせて使用する場合、以下のパスでMac VRRを有効にすることができます。

  • Appleメニュー>システム環境設定>ディスプレイ>表示設定>外部ディスプレイを選択>更新頻度のドロップダウンメニューから「可変」(Variable)を選択

※注意:Adaptive Sync機能を停止する場合は、更新頻度のドロップダウンメニューから更新頻度を選択するだけです。例えば、60ヘルツを選択してください。

MacのグラフィックとAMD/NVIDIAのグラフィックはどちらがすごい?

2020年11月11日、Apple社はM1という自社製チップを発表し、それ以降、IntelアーキテクチャのCPUやAMDのグラフィックスカードから脱却することが始まりました。当時、業界はApple社のこの動きに期待を抱き、Apple社もその期待に応え、CPU/GPUの演算および省電力性能において、非常に優れた性能を発揮しました。そして、翌年の2021年10月18日、Apple社はM1チップアーキテクチャのアップグレード版としてM1 ProとM1 Maxを発表し、CPU/GPUの性能は間違いなくより高いレベルに向上しました。しかし、M1 Pro/M1 Maxはモバイル版のマシン、つまりMacbook向けにリリースされたものでした。では、M1 Mac Mini以外に、Apple社のデスクトップPCでより強力なものはないのでしょうか?

誰もがM1 ProとM1 Maxに驚嘆していたところに、2022年3月8日、Apple社はM1 Ultraチップを搭載したMac Studioを発表して演算能力の向上に成功し、再び注目を集めました。

しかし、M1アーキテクチャシステムがこれほど強力だと、AMD/NVIDIAのグラフィックスチップに対応するのはどのレベルになるのでしょうか。通常グラフィックスカードの比較には、秒間浮動小数点演算回数(FLOPS = Floating-point operations per second)を使用して、おおよその相対的な対応レベルを推算します。以下の表をご参照ください:

上記の比較表から分かるように、Apple社はプロフェッショナルなグラフィックスカードの分野において、現時点でAMDやNVIDIAの後塵を拝していますが、Apple社がこの二年間で発表した自社製チップは、既にAMDやNVIDIAのデスクトップ向けのミドルレンジグラフィックスカードの能力に追いついています。したがって、現時点でApple社はゲーム市場への参入を発表していませんが、自社製チップや新しいOSがVRRやその他の一連の操作をサポートすることで、将来Apple社がキラー製品を発売し、ゲーム市場を席巻する日が来るかもしれません。

Macでゲームできる?

新しいアーキテクチャのMacは、CPUの能力が向上しただけでなく、上述した様に、GPUにおいても一定程度のゲーム機能も持っています。そのため、Macの使用シーンは、グラフィックデザインや編集といった既存の概念から、ゲームプレイにまで拡大しました。ただし、すべてのゲームがMacをサポートしているわけではないため、プレイする前に、Macバージョンをサポートしているか注意しなければなりません。Steamを例にとると、下の画像のように、Apple社のマークが表示されているゲームがMacをサポートしています。

私たちは、SteamでMacをサポートしている3つのゲームと、Adaptive Syncをサポートしている3台のモニターを選び、MacBook Air M1およびMacBook Pro M1 Maxで、VRRを有効にした場合のパフォーマンスを測定しました。

 MacBook Air M1システムの実測パフォーマンス 

テストを実行する前に、外部モニターの更新頻度を「可変」に設定しました。このとき、一部のモニターで異常が発生することに注意が必要です。

その後、ゲームをプレイし始めると、以下の3つのゲームのFPS(Steamの内部設定)とモニター自体のFPS(モニターの設定で表示)が、以下の様にMacBook Air M1上でいずれも一致しない状態が発生しました。

実験結果から、MacBook Air M1のゲームパフォーマンスが明らかに不足していることが分かります。SteamのFPSリフレッシュレートを向上させるには、より高性能なグラフィックスカードが必要なため、モニターのFPSを可変に設定していますが、Steam出力のFPSと一致しません。

 MacBook Pro M1 Maxシステムの実測パフォーマンス 

続いてMacBook Pro M1 Maxの実測パフォーマンスを比較してみましょう。

SteamのFPS変更速度は内蔵されたFPS速度よりも速くないため、画面速度がかなり変化したにも関わらず、SteamのFPSが更新されない状態が発生することがありますが、全体的には、ゲームのFPSはゲーム出力に応じて変化します。

筆者は、テスト検証時に、A社とM社のモニターの解像度が3840×2160 @144Hzと2560×1440 @165Hzに達することを発見しました。さらに、MacBook Pro M1 Maxを使用しても、対応するFPSをシステムが出力することができない(性能不足のため)ため、Macが高解像度のゲームに対応する上で、現時点で力不足の状況にあるのは否めません。しかし、Apple社が自社チップ上で推進するM1シリーズのゲーム体験のレベルを考えると、将来Apple社製品でのゲームプレイに期待が持てます。

さらに筆者は、これらのゲームをプレイする際に、非常に特殊な状況を目にしました。VRRを有効にした状態で、システムがMacBook Air M1であれMacBook Pro M1 Maxであれ、ゲームを終了してMacのホーム画面に戻ると、画面の左上にあるビルトインの更新率表示が、最初に設定された値から最高更新率に変更されていることがあります。その後、ディスプレイ設定を確認すると、更新率が実際に変更されていることがわかりますが、変動しているのではなく、画面の最高更新率に変更されています。全体としては使用に影響を与えませんが、ユーザーにとっては、システムが通知なしに元の設定を自動調整するので、製品に対するユーザーの印象に、多少なりとも影響を与えてしまう可能性があるでしょう。

業界で最も広範囲で包括的なカバレッジと更新率を備えたアップルエコシステム

アリオンは、50台以上のVRR対応ゲーミングモニターや、様々なグレードの高級ゲームディスプレイカードなどの機器を備えており、関連エコシステム上の周辺機器にも対応しています。業界で最も広範囲で包括的なカバレッジと更新率を提供しており、Adaptive Syncをサポートするシステムにおいても、全シリーズの機器を備えています。そのため、Mac上のVRRに関する問題を最初の段階で解決し、エンドカスタマーからの関連するクレームを減らすことがか確保できます。

また、お客様の製品に最適なテスト項目の策定、競合他社製品との比較テストなども対応することが可能です。本記事の内容やテストに関してご質問などございましたら、アリオンのお問い合わせフォームからお問い合わせください。次回はWindowsにおけるVRRの実際の効果についてご紹介しますので、ご期待ください!

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