Allion Labs 

近年各自動車メーカーは販促の重要な項目の一つとして、インテリジェントキャビン機能の豊富さや便利さ、万能性などをメインに打ち出しています。広告宣伝の波及効果もあり、インテリジェントキャビンに対する消費者の期待がますます高まっており、車の購入に際して非常に重要な決め手となっています。

より卓越したドライビング体験を提供しつつ、ユーザーの高い期待に応えるため、アリオンは主な自動車メーカーやTier 1サプライヤーからサポートに関する問い合わせを多くいただいています。

製品仕様の策定、品質検証、ユーザーシナリオのシミュレーション、生産ラインへの自動化AIの導入に至るまで、様々な面で協力し、消費者の心にブランドの信頼を確立することを目指しています。

市場調査機関Canalysの資料によると、2022年に販売された新車の85%以上が、スマートフォンと接続可能な車載プラットフォーム機能を搭載しています。

注目すべきは、現時点で世界の自動車販売を累積したデータによると、800以上の車種がApple CarPlayをサポートしており、500以上の車種がAndroid Autoをサポートしていることです。

高級車ブランドの主要なメーカーであるメルセデス・ベンツも、CarPlayおよびAndroid Autoのサポートを欠かしたことはありません。更に昨年(2022年)Apple WWDC(Worldwide Developers Conference)で発表されたCarPlayの大幅なアップデート共同開発プロジェクトにも参加しています。

スマートフォンで車載プラットフォームにワイヤレス接続することで、ドライブ時のユーザーの利便性が向上する一方で、同時に実際の利用に伴い潜在的な問題が生じる可能性があります。各自動車メーカーの新しい車種がCarPlayやAndroid Autoの認証を取得していたとしても、実際のユーザー体験において機能性や互換性の問題がまだ解決されていないことがあります。

今回はMercedes-AMG GLE Coupe 53をお借りして、実際のユーザーの視点からCarPlay、Android Auto、Bluetoothなど様々な接続環境下における操作時の機能と利便性を評価してみました。

評価結果

 ケース1 

・ 利用シーン:iPhoneをカーステレオに接続し、「CarPlayモード」でGoogle Mapsをカーナビとして使う場合。

・ 問題点:CarPlayモードで(USB接続)Google Mapを起動すると、地図を完全に表示できない異常が発生(画面には位置を示すアイコンがあるが、地図全体の背景が黒く表示される)しますが、Apple Mapsに切り替えると正常に表示されます。

・ ユーザーへの影響:ナビゲーションアプリの普及率を考えると、地図ナビゲーションを使う際、多くのユーザーがApple MapsよりもGoogle Maps優先して使用しています。しかし、このケースのように地図が黒い背景のまま表示されると、ユーザーは正常にナビゲーション機能を利用することができません。間違いなく、ベンツのCarPlayモードにおける基本的な機能品質への期待を大きく損なうものです。

 ケース2 

・ 利用シーン: Bluetooth接続によるネットワークの接続設定を削除したい場合

・ 問題点:Bluetoothでネットワークに接続している際、認証済みのデバイスを削除できない問題が発生します。

・ ユーザーへの影響:認証済みのネットワークデバイスに接続しているスマートフォンが表示されています。削除しようと画面右側にあるゴミ箱のアイコンをタップしても反応がなく、ユーザーエクスペリエンスに否定的な影響を与える可能性があります。

 ケース3 

・ 使用シーン:iPhoneを車のカーステレオに接続し、「CarPlayモード」で通信アプリLINEを使用する場合。

・ 問題点:CarPlayモードで(USB接続)LINEで「通話」を行う際、連絡先リストの名前に同じキーワード(例:Leo)が含まれていると、画面に「空白のリスト」が表示され、連絡先を正しく選択できない異常が発生します。

・ ユーザーへの影響:相手の電話番号がわからない場合、多くの人はLINE通話を利用します。運転中に通話機能を使用する際に連絡先が正しく表示されなければ、ドライバーの注意が散漫になり、安全な運転に影響を及ぼしていまいます。これでは、CarPlayやサードパーティのアプリケーションの基本的な機能統合が否定的に評価される可能性が高まるでしょう。

 ケース4 

・ 使用シーン:車のBluetooth機能を使用し、スマートフォンとペアリングを行いたい場合

・ 問題点:最初の設定画面でBluetoothのペアリング設定をすぐに見つけることができません。メディア機能をタップしてから、画面下部にあるスマートフォンのアイコンをタップして、関連するペアリング設定にアクセスしなければなりません。

・ ユーザーへの影響:多くのユーザーは、関連機能を探し出すのに多くの時間をかけたくありません。そのため、数分以内に機能を見つけることができなければ「この機能は使いづらい」という印象を持ってしまいますこれは、車のユーザーインターフェースの利便性に対する期待にマイナスの影響を与える可能性があります。

 ケース5 

・ 使用シーン:ペアリング済のスマートフォンをすぐに切り替えたい場合

・ 問題点:今回の評価では、Bluetooth接続のクイックリストに最大でスマートフォンを2台しか設定できず、3台以上をペアリングする場合、クイックリストを再設定しなければならず更に時間がかかります。

・ ユーザーへの影響:ベンツGLEは「ファミリーでの使用」を打ち出していますが、小さな家庭であっても少なくとも3台のスマートフォンを接続する可能性があります。設定を行うために余計な時間がかかり、さらにクイックリストで、どのスマートフォンをデフォルトにするか設定しなければなりません。数分以内に解決策を見つからないと、ユーザーは使いづらさを感じる可能性が高くなり、ユーザーインターフェースの利便性に対する期待に、否定的な評価をする可能性があります。

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