Allion Labs

広く普及しているBluetooth技術は、すでに私たちの日常生活に溶け込んでおり、イヤホン、キーボード、マウスなどのワイヤレス製品によく見られます。Bluetooth技術は、ワイヤレスデータと音声通信のオープンなグローバル仕様であり、様々なデバイス間で接続され、ワイヤレス通信を可能にし、様々なドメインシステム間でデータを送受信することができます。テクノロジーの進化に伴い、接続可能なデバイスの種類は想像をはるかに超え、Bluetoothのバージョンも様々なアプリケーションの形態に応じて進化し続けており、広く利用されている IoTワイヤレステクノロジーの1つとなっています。

Bluetooth SIGが「将来2026年までBluetoothデバイスの出荷が増加する」と予想している様に、Bluetoothなどの急速に成長するテクノロジプラットフォームは、絶えず進化を続けています。新しいBluetooth 5.3バージョンのリリースはその価値を維持し、エコシステムの成長を促進します。

図:Bluetooth搭載機器の年間出荷台数予測(出典:Bluetooth SIG) 

Bluetoothが更に進化 – 最新バージョン「Bluetooth 5.3」

2021年7月13日、Bluetooth SIGは最新のBluetoothコア仕様 – バージョン 5.3を正式にリリースしました。現時点(2023年3月)では「Bluetooth 5.3」が最新です。

バージョン5.3のリリースに伴い、Bluetooth Low Energy(LE)のメインアップデートで、パフォーマンスの向上や干渉防止機能の強化、消費電力の削減などがなされ、デバイス間通信の冗長性が減少しました。これらのアップデートにより、Bluetooth LE関連のデバイスとアプリケーションが改善されます。

※Bluetooth 5.3バージョンについて詳しくはBluetooth SIG公式サイトよりご確認いただけます。

1. 低速接続(Connection Sub-rating)により、応答性が向上

通信間隔を動的に変更します。通信頻度を下げて通信間隔を長くして節電します。データ送信が必要な場合は、短い間隔に変更して応答時間を短縮し、より多くの情報をすばやく送信します。

2. 双方向通信によりチャネルの干渉を回避

以前は、中央のデバイスだけがチャンネルを決定できました。Bluetooth 5.3では、チャンネル割り当て機能が更新され、検出された条件に応じて周辺機器をサポートし、使用可能なチャンネルを中央デバイスに返信します。

3. 周期的なブロードキャストの受信を無視して省電力を強化

通常Bluetooth LEデバイスは、一定の周期でデータを複数回送信します。送信デバイスは、送信するデータにAdvDataInfoをつけることが可能になり、重複したパケットを判別できるようになりました。もし重複があれば、デバイスは受信を停止し、デバイスが重複したパケットをホストに送信しないようにします。ホストに送信されるデータをフィルタリングすることにより、低電力デバイスは重複パケットを無視することでさらに電力を節約できます。

影の様に付き添うBluetooth

個人使用からオフィスでの使用まで、近距離接続を確立して、デバイス間またはコンピューター間の有線接続を不要にし、ノートパソコン/デストップパソコン/キーボード/マウス/イヤホンといった様々なデジタル機器など、多くの製品で長い間使用されてきました。

Bluetooth LE規格により、Bluetooth対応可能なアプリケーションが更に増え、Bluetoothテクノロジーの使用範囲が、家庭/オフィスから自動車産業/工業/医療機器にまで広がっています。

  • 個人居宅/オフィス:ゲームコントローラー、自撮り棒、Bluetooth紛失防止タグ、イヤホン、スピーカー、プリンター、パソコン、マウス、キーボード、スマートフォン、カメラ。
  • 自動車およびオートバイ産業:キーレスロック解除、OBD、タイヤ空気圧監視、オーディオコントロール、車載/ヘルメットハンズフリー通話、ステアリングコントローラー。
  • 医療業界:耳・額体温計、耳式体温計、血圧計、体重体脂肪計、血糖計、酸素濃度計、心拍計。いずれもBluetoothワイヤレス送信機能を備えており、Bluetoothセンサーを介して、慢性患者は自分の健康指標を測定し、Bluetoothデバイスで介護者に送信可能。
  • スポーツテクノロジー:ウェアラブルリストやスマートウォッチ、Bluetoothセンサーを内蔵したボール/バット/ラケット。
  • 産業/農業アプリケーション:ケーブル交換、温度/振動/流量センサー、資産がBluetoothスタートポロジのサポートの下、これらの情報をゲートウェイに送信し、次にサーバーに送信して、リアルタイム監視、自動制御、データ分析などを行う。

Bluetooth製品間の相互接続性・互換性問題とは

Bluetoothは最も基本的なプロトコルでその仕様が定義されていますが、実際の業界では、チップメーカー/アプリケーションファウンドリ/ブランドデザイン/マシン全体のアプリケーション機能の各種設計から、製品数が非常に多く、相互接続も多元化しており、これらの設計の違いも様々な問題につながるため、無視できません。

 直面する課題 

1. Bluetoothは長期的かつ広範囲で使用されており、バージョンが多く複数あるため、異なるバージョン間で互換性の問題がある

2. 車載用市場は寿命が長く、一部のチップが古い/ソフトウェアが長期間更新されておらず、互換性の問題が発生しやすい

3. 一部のBluetoothデバイスは公開バージョンのドライバーが使用されているが、様々なサードパーティアプリケーションでも使用されている。特定及び最適化されていないドライバーは、サードパーティアプリでも問題が発生する可能性あり

4. 業界での新しいテクノロジーの導入により、メーカーはBluetoothアプリケーションにまだ調整の余地があり、まだ発見されていない問題が存在する可能性がある

5. IoT(モノのインターネット)の時代では、Bluetoothブリッジ/スマートフォン/タブレット/コンピューター/オペレーティングシステム/ブラウザー/エコシステムに接続するためにBluetoothアプリケーションが追加され、互換性は更に難しくなる

 互換性問題の事例(一部) 

1. Bluetoothイヤホンの音量をコントロールできない

2. Bluetooth接続を認識しない(ペアリングできない)

3. Cortana BluetoothスタイラスでCortanaが起動しない

4. 接続後、Bluetoothが認識されないデバイスとして表示される

5. テレビの音声出力をBluetoothスピーカーに切り替えられない

Bluetooth製品間の相互接続性・互換性問題を回避するには?

上記の主な問題を例に、Bluetooth搭載製品に対して以下のテストを推奨します。

 互換性テスト 

テストの目的は、お客様の製品が、市販されている他ブランドのソフトウェアやハードウェアとスムーズに動作することを確認することです。

アリオンは、様々なブランドが製造した各種型番の機器を1500台以上持ち、多様なユーザーシナリオ検証に対応することが可能です。

・Bluetooth設備

PC 400台+、MAC 90台+、タブレット70台+、スマートフォン370台+、Bluetoothイヤホン150台+、Bluetoothスピーカー110台+、アンプ30台+、Bluetoothレシーバー20台+、車載IVI 15台+、ビデオ・カメラ20台+、テレビ50台+、ウェアラブル端末70台+ など。

・操作環境

各種OS/ブラウザ

 機能テスト 

Bluetoothアプリケーションの機能は複雑で、各アプリケーションプログラムの設計には独自の特徴があるため、ユーザーの習慣に合わせて、設計上の不具合や問題を事前に見つけ出します。

  • 検証プラン:開封設定/機能確認/オンラインアップデート/低バッテリーによる影響/多言語検証 など

 耐久性テスト 

新世代のBluetoothアプリケーションは消費電力が少なく、耐久性と安定性がユーザーの主な注目点となっています。

  • 検証プラン:バッテリー消費テスト/Bluetooth切断サイクルテスト/長時間プレイテスト など

 ワイヤレス干渉テスト 

Bluetoothワイヤレステクノロジーは、全世界共通の周波数帯域(2.4GHz)を使用しているため、特定の家電製品、マッサージチェア、コードレス電話、車庫のリモコン、電子レンジなど、いずれかの周波数帯域を使用すると、予測できない干渉源に遭遇し干渉を受ける可能性があります。

  • 検証プラン:周辺機器の干渉影響/設置場所とBluetoothブリッジの距離 など

Bluetooth認証プロセスが複雑…誰に相談すればいい?

Bluetooth SIGはBluetooth仕様を策定および推進していますが、製品カテゴリが多様であり、宣言機能と対応する認証テスト項目の要件も異なっています。

アリオンはBluetooth SIGに認定された認証試験機関(BQTF)として、長年の経験より、新しい機能や新バージョンの製品を導入する場合、その認証手続きの内容を把握できていないお客様が少なくないです。認証試験では、バージョンの識別だけでなく、様々なデバイスの種類と構成(新製品/既存製品/追加設計/認証後のBluetoothモジュール)について多くの規制と制限があり、このことが認証内容の要件とプロセスをより複雑にしています。

アリオンのワンストップサービス

Bluetooth SIGが認定した、アリオンのBluetooth 品質エキスパートBQC(Bluetooth Qualification Consultant)は、アライアンスメンバーへのアカウント申請から、各バージョンごとのテスト、認証取得に至るまで、お客様を全力でサポートしています。

1. お客様のBluetoothデバイス向けのテスト項目の評価やテスト時間のコンサルティング、テストプランの提案など

2. Bluetooth認証試験の実施、テスト結果とデバッグサービスの提供

3. 認証試験結果のレビューやその結果をBluetooth SIGサイトへのアップロードのお手伝い

専門サービスとテストデータベースの活用

30年近いサービス経験を持つアリオンは、製品開発の各段階で、対応するハードウェア、ソフトウェア、UX(ユーザー体験)、ロゴ認証プログラムを提供するだけでなく、レポートの整合とデバッグサービスに対応します。

1. 自社開発したJIRAレポーティングシステムで、年間ビッグデータを活用することで、テストプランに貢献

2. プロトコル分析(Ellisys Bluetooth Vanguard)デバッグサービスを提供

問題に応じて関連するログを提供し、パケットのキャプチャ/データスループット/通信周波数帯域/トポロジ構造/スペクトル分析/ロジック分析/エラー検出…などの問題分析を行います。

3. 専門テスト環境を保有

電波隔離ボックス・電波隔離室・温湿度コントロールボックスを完備しています。

上記のテスト項目の他にも、アリオンではお客様の製品に合わせたテスト項目の設計も承っております。

関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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