Allion Labs

技術の発展により、無線機能がPCに搭載されるのは一般的となり、こうした統合はユーザーに便利さをもたらしています。しかし、この利便性が追求される一方で、無線機能にはいくつかの潜在的なリスクを伴います。このため、無線信号の信頼性はもっと重視されなければなりません。

例えば、無線で接続することは多くのシーンでみられますが、無線信号の安定性と接続の信頼性は外部の干渉に影響を受けやすいです。電波干渉や、無線信号の干渉、または他の無線デバイスとの影響などが、接続品質の不安定性を引き起こし、それがユーザーエクスペリエンスに影響を与える可能性があります。ただし、無線性能が本当に低下しているかどうかを検証できることは基本的なことに過ぎません。より重要なのは、問題点を特定し、それに対する改善方法です。アリオンは実際事例を通じて、PCの無線性能の低下をどのように改善するかをご説明します。

アリオンのデバッグ実例

あるお客様のPC製品が市場に投入された後、無線性能の不良により数多くのエンドユーザーからクレームが寄せられました。このような緊急事態に直面する際、お客様はアリオンの保有する専門的なコンサルティングチームの協力が必須であると意識し、早急に製品の問題を改善できるよう、問題の特定と分析支援をアリオンに求めました。

 Step.1 スループットの実測:アンテナのVSWR(電圧立波比)とアイソレーション(アンテナ隔離度)

アリオンのコンサルティングチームはまず、スループットの測定を実施しました。測定の結果、ベースラインのデータが実際に悪かったことが確認されました。問題点の位置を特定するため、アリオンはさらにアンテナのVSWRおよびアイソレーションの測定を行い、以下の結果が得られました。

  • VSWR(電圧立波比)

測定周波数範囲は2GHzから6GHzまでです。赤い線はWi-Fiの動作周波数帯域を表し、青線と緑線はそれぞれメインアンテナ(Main Antenna)と補助アンテナ(Aux Antenna)を示しています。

VSWRテストの結果では、2.5GHz帯域においてメインアンテナと補助アンテナが一般的な基準である3を超えていることで、曲線グラフでは、設計の動作周波数が低いほうに偏りがでることが確認されました。5GHz帯域のスループットに問題がないため、VSWRに関する改善は現時点で不要となります。今後5GHz帯域のスループット値を向上させたい場合、またVSWRの調整を行いましょう。

次に、アイソレーションデータをみて、改善する問題点があるかどうかを確認します。

  • アンテナアイソレーション

測定周波数範囲は2GHz〜6GHzで、赤い線はWi-Fiの動作周波数バンドです。

アンテナアイソレーションは2.4GHzおよび2.5GHzの周波数でそれぞれ-11.23 dBおよび-14.9dBで、両方とも一般的な基準である-20〜-30dBを下回っており、隔離度の不足によるスループットの性能が低下する可能性があると考えられます。

➡ 結論:上記のVSWRおよびアンテナアイソレーションのテスト結果をまとめて確認すると、今回の試験対象であるPCにはアンテナの設計上の問題点があり、これがスループットの低下につながることが推測されます。

 Step.2 PCの無線性能を向上させるには:アイソレーションの最適化とスループットの検証 

アンテナの測定が終了し、VSWRおよびアイソレーションの問題に焦点を当てて調整とテストの実施を行いましょう。VSWRはアンテナ本体の構造に対し調整する必要がありますが、このお客様は工場内の原材料管理の制限から、「残念ですがアンテナ構造を変更できない」と述べました。そのため、アリオンのコンサルティングチームはその代わりに、アイソレーションの問題から調整するよう提案しました。

測定結果によると、2.4GHzではアイソレーションのテスト値は-11.23dB、2.5GHzでは-14.9dBです。下の図からわかるように、2本のアンテナは製品の同じ側に設置され、距離が3センチ未満です。したがって、アンテナの位置とアイソレーションの数値により、アリオンコンサルティングチームは2本のアンテナが近すぎてスループットの低下原因になっているのではないかと仮定しました。

この仮説を検証するため、2つのアンテナの間に2つの異なる絶縁材料を配置し実験を行いました。右側のネットワークアナライザの画面から、吸波材と銅箔がいずれもアイソレーションを向上させることができ、2.4GHzのアイソレーションは-12.23dBから-14dBに改善されました。また、2.5GHzのアイソレーションも-14.9dBから-16.5dBに上がりました。

続いて、スループット値から絶縁材料によって性能を向上させるかどうかを検証しました。そのテスト結果は以下の表を見てみましょう。絶縁材料を使用した場合、Channel 1の通信距離20mでのスループットは23.05Mbpsから37.52Mbpsと47.38Mbpsになり、通信距離100mでは6.5Mbpsから11.24Mbpsと18.32Mbpsに改善されました。これにより、アイソレーションを改善することは確かにスループット性能への向上に貢献することが確認されました。

アイソレーションの改善とスループットの検証を通じて、明らかに「2本のアンテナ間の距離が近すぎてスループット値が低下している」という仮説が証明されています。この検証結果に基づき、アリオンはお客様に対しアンテナの位置を変更し、フロントサイドとバックサイドにそれぞれ1本のアンテナに変更することを提案しました。この対策は、アンテナの隔離度の向上だけでなく、アンテナのカバー率も拡大します。

 Step.3 お客様が製品の問題を修正し、無線性能の向上が明らかになった 

お客様がアンテナの位置を変更し、前後に調整した後、アリオンは変更後の効果を確認するためスループットテストを実施しました。測定結果は以下の通り示されています。アンテナ位置を変更した後、スループットデータは明らかに改善され、RX Channel 1(黄色でマークされている)の通信距離20mでは27.73から74.07に改善され、その他のChannelや距離においてもスループットの向上が見られます。

本事例からアンテナの設計変更や、アンテナ本体、アンテナの設置場所など、いずれもスループット結果に影響することがご理解いただけると思います。

Faster、Easier、Better ― PCの無線パフォーマンスコンサルティングサービス

アリオンは豊富な無線性能テスト経験を保有しており、根本的な製品問題点の発見に加え、最適なアドバイスと改善案を提案することが可能です。またお客様の製品のスループット改善と最適化をサポートするだけでなく、接続可能なワイヤレス製品や異なるワイヤレスプロトコルの利用シナリオなどといった実環境における無線干渉シナリオをシミュレーションしテストを実施することが可能です。製品開発の各段階においてもお客様が製品の品質を厳格に管理し、より迅速、簡単、より正確なソリューションによって、お客様が遭遇する可能のある多くの問題を排除し、製品の開発を加速することができます。

 Faster ー より迅速 

RFおよび無線テストにおいて、アリオンは数多くの成功事例を積み重ね、長年にわたり世界有数の大手企業の外部委託ラボとして製品の問題を改善できるよう協力しています。製品の欠陥と故障箇所をより迅速に特定し、製品の市場投入までの開発とデバッグ時間を短縮することをお手伝いします。

  • 製品問題点の特定と無線性能の向上を迅速にサポート
  • ワイヤレスインターフェアランスの検証環境を迅速に構築
  • 製品の開発検証戦略をより迅速にご提案
  • 検証プランをより迅速にご提供

 Easier ー より簡単 

アリオンはAI自動化ソリューションを通じて、すべてのテストが「一貫性、定量化、再現性」を保証し、より効率的に製品の性能を向上できるよう支援します。

  • より効率的なテスト手法
  • 時間とコストを更に削減可能なテストプラン
  • より正確なテスト結果

 Better ー より正確 

アリオンは、30年以上にわたるテスト実績と経験があり、幅広い分野の専門家によるチームおよび充実したテスト環境と機器を備えるだけでなく、ユーザーシナリオにおける豊富なテスト経験をもとに、ユーザー体験の向上を支援し、関連するエコシステムの拡大に貢献いたします。

  • より優れたユーザーシナリオテスト
  • より優れたコンサルティングソリューションの策定
  • 専門的なデバッグサポートと問題の特定

関連の検証テストサービスについてより詳しい情報をお求めの場合は、アリオンのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

あわせて読みたい