Tag Archives: SSD

ストレージサーバーの性能不足、SSDの互換性評価が鍵

Allion Labs  クラウドサービスの世代交代で、主要なストレージメディアが変化 テクノロジーの発展に伴いストレージメディアも絶えず進化を続けており、ソリッドステートドライブ(SSD)が新世代ストレージメディアの代表格となっています。 サーバー業界において、初期はSASハードディスク(HDD)が主流でしたが、特に近年はNVMe SSDの台頭により、このタイプのSSDがストレージサーバーに多く導入されるようになりました。こうしたトレンドを受けて、業界は関連するフォームファクターを策定してこれをサポートし、サーバー業界で最も代表的なものはU.2/U.3およびEDSFF E1/E3となっています。NVMe SSDの最大のメリットは標準のPCIeを採用していることで、そのスループットはPCIeの仕様に従い向上し続けています。現在のサーバー業界ではPCIe 4.0 x4が主流で、その理論上のスループットは最大7.88GB/sに達しており、次世代のPCIe 5.0 x4では15.75GB/sに達するとされており、これは他の規格では実現できません。 SSD規格を調達する際の重要なポイント:互換性/ファームウェア/テスト方法 クラウドサービスプロバイダーは、ストレージサーバーの展開時に、その用途を考慮して異なるSSD規格を選択します。たとえば、読み取り集中型のSSDは頻繁な書き込み操作を必要としない用途に適しており、主に大きなブロックや連続したデータモードを扱うワークロードに対応します。一方、書き込み集中型のSSDは書き込み集中型の用途に適しており、ビッグデータ分析、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、メインストリームサーバー、ストレージシステムなどの分野で使用されます。ハイブリッド型SSDは、メディアストリーミング、データウェアハウス、ウェブサーバーなど、書き込み・読み取りが混在する用途向きです。 運営業者や調達担当者は、サーバーの用途に応じてより適切な規格のSSDを選択しますが、製品の仕様書を参照して購入すると、以下のような要因から、期待していたようなパフォーマンスが導入後に見られない可能性があります。 [...]

なぜThunderbolt SSDの転送性能がこれほど低い?アイパターンテストで解明
なぜThunderbolt SSDの転送性能がこれほど低い?アイパターンテストで解明

Allion Labs  まず本題に入る前に、以下の使用シーンを想像してみてください。おそらく皆さんもよく経験された状況だと思います。 あるユーザーはストレージ体験を向上させるため、自身が持つノートブックがThunderbolt 3/4をサポートしていたことから、市販されているThunderbolt 3のNVMe SSDを購入しました。使用してみたところ、SSDの読み書き速度がUSB3.2 Gen2程度止まりで、Thunderbolt 3のスペックに達していないことが判明しました。これはユーザーの期待に応えられていないばかりか、「使える」とすら言えない状態でした。 これは単にそのユーザーの運が悪く、問題のある商品を購入してしまったからというだけという話ではなく、率直に言えば、このようなケースは珍しいものではありません。一般論として、ソフトウェアなどの要因(たとえば特定のドライバーをインストールしないとThunderbolt 3/4の転送速度に到達できない場合など)を除けば、多くのユーザーが似たような経験をしています。では、自分のコンピュータがUSB3.2 Gen1で、購入したSSDのスペックも同様にUSB3.2 Gen1であるにもかかわらず、なぜ転送速度がUSB3.2 Gen1の速度に達しないのでしょうか?また本案のように、コンピュータとSSDの両方ともThunderbolt 3およびThunderbolt [...]

OCP Cloud SSD 1.0aコンプライアンステストとは?

クラウドコンピューティングとクラウドストレージの急速な発展に伴い、ネットワークサービスプロバイダーのサーバーに対するニーズも高まっており、クラウドサービスプロバイダーは、大規模な情報へのアクセスが可能なハードウェア仕様要件を満たすために、さらに多くのデータセンターを作り続ける必要があります。一般的に、データセンターは通常共通のアーキテクチャを持つサーバーを使用するか、比較的大規模なデータセンターの中には、多くの時間を費やしてサーバーの仕様を独自に設計・計画するケースもあります。 OCP (Open Compute Project)とは? これを踏まえて、Facebook(Metaの前身)は2011年4月にデータセンターを設立し、開設と同時にOpen Compute Project(OCP)を立ち上げ、データセンターやサーバーを含む一連のハードウェア設計がオープンソース化しています。その後、Google、Microsoft、Intel、Dellなどの大手企業や、台湾の一部現地サーバーメーカーも相次いで参加し、現在では、国際的なITテクノロジー企業が共同で運営するデータセンターオープンアーキテクチャ技術の開発組織となっています。また日本市場に向けて「オープンコンピュートプロジェクトジャパン」 (Open Compute Project Japan)を設立しました。 Facebookがこのプロジェクトを立ち上げた目的は、データセンターのソフトウェアとハ​​ードウェアの設計方法を公開して、より多くのメーカーと共同でデータセンターを開発・設計・メンテナンスを進めることで、データセンターの効率を向上させ、サーバー全体の電力消費を効果的に削減し、サーバーのパフォーマンスを向上させてエネルギー消費を削減すること、また同時に、大規模データセンターの技術仕様と基準を策定し、クラウドサービス業界内で高効率・省エネ技術が交換できるプラットフォームを提供することでした。 OCPアーキテクチャと関連認証試験についての説明 現在OCPは、主にストレージ、サーバー、ラックと電源、冷却環境、データセンターファシリティ、ハードウェアの管理、ネットワークなどのカテゴリを含む、オープンアーキテクチャテクノロジを開発しています。ストレージコンポーネントについては、OCPにNVMe [...]

サーバーの振動が機械駆動式HDDのパフォーマンスに与える影響

今日ソリッドステートドライブ(SSD)が市場の主流になりつつあり、内蔵ストレージデバイスを選ぶ場合、一般ユーザーは従来の機械駆動式HDD(HDD)を優先して選ばなくなりました。本当にHDDは段階的に淘汰されてしまうのでしょうか? HDDは市場から消えておらず、依然として一定のシェアを占めています。SSDに比べてストレージ容量が大きいだけでなく、価格も比較的安く、サーバーなど多くのストレージスペースを必要とするデバイスの場合、コールドデータを保存するストレージの最初の選択肢です。 ハードディスク(HDD)の構造について このトピックに入る前に、HDDのアーキテクチャについて簡単に紹介しましょう。HDDは、主に磁気ディスク、磁気ヘッド、ランプ、モーター、制御回路基板、SATA/SAS接続インターフェースなどの部品で構成されています。磁気ヘッドは、ディスクの半径方向に沿って水平に移動します。毎分数千回転というディスクの高速回転で、指定された位置にディスク上の磁気ヘッドを位置決めして、データの書き込み/読み取りを行います。 図1:HDDの構造 上記から明らかなように、機械駆動式HDDは、回転するディスクと、データの読み取り&書き込みのために、ディスクにほぼ貼り付けられている磁気ヘッドに依存しています。そのため、HDDの動作中に、外部の振動や移動及び落下などの予期せぬ干渉が加わると、HDDに予期せぬ問題が発生し、最悪の場合ヘッド/ディスクが損傷し、HDDの破損につながります。HDDがサーバー環境に設置されている場合、移動や落下に遭遇する可能性は低くなりますが、発熱が大きいことを考慮し、サーバーには通常、放熱を補助する高効率の冷却ファンが装備されています。高効率ファンの高速回転による筐体の振動は避けられません。ハイエンドのエンタープライズクラスのHDDは主にサーバーで使用され、高い信頼性が謳われるHDDが本当に信頼に足るものかどうか、サーバーの動作中、高周波振動の環境下で、通常の伝送性能を維持できるのでしょうか? 検証事例から実測値を比較してみた アリオンは、サーバー関連コンポーネントの専門的なテストラボとして、関連する問題の検証に対応する検証ノウハウを有しており、実際のアプリケーション環境を通じて、HDDがテストに合格できるかどうかを確認しました。次の図2は、検証を実行する準備が整ったサーバーの概略図です。実際のテストでは、サーバー内のすべてのHDDスロットにHDDが設置され、カスタマイズされたソフトウェアに従いファンの速度が制御されています。ファンの速度をさまざまなパーセンテージに設定した上で、同時にHDDでパフォーマンステストを実行し、テスト結果を記録しました。また、テスト実施前に、他の設備の振動による干渉を避けるため、テスト用HDDを安定したプラットフォームに置いた上でパフォーマンステストを実行し、結果を基準値として収集しました。パフォーマンステストの方法は、書き込みテストを行い、4K/256Kのブロックサイズと一致させることです。さまざまなブランドのHDDの違いを比較するために、メインブランドが製造するエンタープライズクラスのHDDを3つ選び、テストを実施しました。 図2:検証を実行する準備が整ったサーバーの概略図 ファンの速度は、最高速度の半分の速度、即ち50%の速度設定から始まり、その後10%ずつ徐々に高めていき、最終的にファンの最大速度に達しました。異なる速度範囲で、性能が基準値と大きく異なるかどうかを比較します。  A. 256KB のシーケンシャル書き込みの場合  まずは、この3台のHDDの性能を256KBシーケンシャル書き込み時の元データと比較してみましょう。下のグラフ(図3)からわかる通り、256KB のシーケンシャル書き込みの場合、3台の [...]

2016年 SSD技術のトレンドと今後の発展

2016年はSSDにとって飛躍の年になりそうです。SSDは、これまでストレージ業界の主流だったHDDと比べると様々な優位性を持っています。データへのアクセスが速いこと、機械的な動作がないため外部からの衝撃に対する耐性が高いこと、騒音と発熱の問題のどちらもHDDに比べ小さいなど、様々な点を挙げることができます。ここ数年、半導体の製造プロセス技術の急速な進化の後押しを受けSSDの記憶容量は急激に成長し続けており、容量単位の価格もそれに伴い下降し続けています。このような状況により、SSDは高性能、高容量、低価格の3つの利点を併せ持ったことで、現在のストレージ市場の主流となっています。 アリオンはSSD Alliance(略称SSDA)のメンバーとしても活動しています。今回の記事では、SSDAにおける活動で得た2016年の中華圏におけるSSD業界の展望と、各メーカーの技術開発、およびSSDAの会員企業の動向について記載します。SSDA会員企業には、ワールドワイドでメモリーモジュールの販売を行っているADATA Technology(以下ADATA)、フラッシュメモリとDRAMストレージの産業用制御プロダクトのリーダー的なブランドであるATP Electronics(以下ATP)、高速インターフェイスのSSD制御チップの技術開発とサービスを提供するMaxiotek Corporation(以下Maxiotek)、そして中国市場で重要なポジションを占めるSSDメーカーである深セン市金勝電子科技有限公司(KingSpec/金勝維、以下KingSpec)などが所属しています。 今回の記事では主なトピックが4つあります。1つ目は、一部メーカーで容量の大きな2D TLC NAND Flashが採用され始めている点。2つ目は、3D NANDのポジション争いが2016年後半に起きる点。3つ目は、PCIe/NVMeインターフェイスの製品がストレージ性能を全面的に向上させる形でリリースする点。最後に4つ目は、産業用制御と企業用SSDに対する市場の要求が拡大している点についてです。 SSDの主流が2D TLC NANDに移行 SSDの材料コスト(BOM [...]

産業用コンピュータのSSD品質検証 4つのポイント

アリオンはSSD分野における検証実績を豊富に持っています。今回は産業用コンピュータ(IPC:Industrial PC)で使用されるSSDの品質検証とパフォーマンス検証についてご紹介いたします。  産業用コンピュータとSSDを取り巻く環境とは  産業用コンピュータは現代社会において、自動車・ゲーム機器・航空・医療・軍事・通信・サーバ設備といった幅広い分野で活用されています。ガートナー社の調査によると、2014年では1200万台だったIPCの出荷台数は、2017年には1500万台近く出荷されると予想されており、およそ3年で25%もの成長を遂げる分野であると見込まれています。 そんな中、世界経済の中でも存在感を示しているのが中国市場です。中国では90年台からIPC分野に積極的な参入を続けており、IPCベンダーが続々と誕生しました。中国市場と世界市場におけるIPCの発展比率の比較(図1)を見ると、中国市場ではインフラ整備とエネルギー分野への投資が大きな比率を占める一方で、医療設備への投資比率が低いことが分かります。2014年時点で、中国政府は鉄道システムの構築を36都市で計画しており、中国国内のIPCベンダーがその開発を担いました。各大都市の鉄道システムへの投資金額は5億7000万人民元(日本円で約109億円)にのぼる見通しです。 IPC市場 世界市場比率 中国市場比率 産業自動化 48% 21% インテリジェントサービス 8% 11% 鉄道・インフラ [...]