Allion Labs / Ryan Huang
TR-398 Issue 2 Corrigendum 1の一連の記事で、既にいくつかのテスト項目(6.3.1 Range Versus Rate Test、6.3.2 Spatial Consistency Test、6.4.1 Multiple STAs Performance Test)について説明・分析しました。今回ご紹介するのは、TR-398 issue 2 Corrigendum 1テストプランの中で、APが4 SS以上をサポートし、且つダウンリンクMU-MIMOをサポートしている場合、必須のテスト項目となる6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Test(ダウンリンクMU-MIMOパフォーマンステスト)についてです。
6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Testrmance Test の概要
6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Testのテストコンセプトは、主に1 つの2SSアンテナと2つの1SSワイヤレスデバイス(STA)を介してAPに接続し、伝送スループットを測定することです。さまざまなテスト条件下で測定されたスループットに基づいて、ダウンリンクMU-MIMO機能が「効果的にパフォーマンスを改善」できるかを判定します。
注意してほしいのは、テストの際、まずAPのOFDMA機能をオフにすること(これは11axをサポートするための特別なAPUT設定です。11acをテストする場合は、サポートされていないため、オフにする必要はありません。)で、次に以下の3つのダウンリンク伝送スループットテストを実行します。
1. ダウンリンクMU-MIMO機能をオンにして、各ワイヤレス機器(STAとAPUTを含む)の伝送スループットテストを「個別に単独で実施」する
2. 各ワイヤレス機器のダウンリンクMU-MIMO機能をオンにして、伝送スループットテストを「同時に実行」する
3. 各ワイヤレス機器のダウンリンクMU-MIMO機能を「オフ」にして、伝送スループットテストを同時に実行する(APがダウンリンクMU-MIMOをオフにする機能をサポートしていない場合、本テストは実行しなくてもよい)
図:さまざまな段階でのテストイメージ
テスト基準
テスト基準は2つに分けられ、合格とみなされるには基準の両方を満たさなければなりません。1つ目の基準は、上記の2番目のテストの合計伝送スループットが、1番目のテストのすべての伝送スループットの合計45%を超える必要があります。
2つ目の基準は、上記の2番目のテストの総伝送スループットが3番目のテストの総伝送スループットよりも大きいことです。 (*註)
*註:APがダウンリンクMU-MIMO機能のオフをサポートしていることが前提です。
一見複雑に見えるかもしれませんが、上記の2つのテストのメインとなる基準は、一言で言えば「ダウンリンクMU-MIMOをオンにしたときの伝送性能が、オフにしたときよりも優れていなければならない」ということです。
よくある質問
6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Testでは、テスト基準に合格できないAPのほとんどは、テスト基準の最初の部分に合格していないことがよくあります。下の図の実測例の様に、2回目(Second Time Throughput)のテストの合計は849.65Mbpsであり、1回目(First Time Throughput)テストの合計よりも45%低くなります(1936.48 x 0.45=871.416 Mbps)。
図:6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Testのテスト結果
この試験に合格するにはすべきこと
アリオンのこれまでのテスト経験によると、APがテスト基準に合格しない場合、その多くは次の2つの理由が考えられます。
最初に、テストの前にOFDMA機能がきちんとオフになっているか確認しましょう。通常、一般的なAPではこの機能がデフォルトで有効に設定されており、一般的なユーザーインターフェースでは、ユーザーがこの機能を自分でオフにすることはほとんどありません。このことから、アリオンは各テストの前に、OFDMAをどのようにオフにするかお客様にお尋ねしています。
また、アンテナも問題が起こりやすい部分です。ダウンリンクMU-MIMOは各アンテナ(Beamforming Function、ビームフォーミング機能)が揃っているかどうかに細心の注意を払っているため、各アンテナが揃っていれば、この項目は簡単に合格する可能性が高くなります。
お客様が6.4.3 Downlink MU-MIMO Performance Testのテスト基準を満たすことができない場合、通常アリオンは、OFDMA機能とアンテナの2つによく見られるから、問題の解決策を探ることをお勧めしています。
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